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たかぱん
2024年7月30日 08:00
社内旅行や社内云々というのは、若い人は好まないため廃れてきていると思いきや、看護師職の妻の務める小さな医院では、時折、イベントがある。歌舞伎や演劇の鑑賞や、一流ホテルや料亭での食事もある。良いものに触れるということは、人間を豊かにするということなのかどうか、趣旨を知るわけではないが、粋な計らいに見える。 先日は、鮨をご馳走になったという。 妻は、人間観察が性分である。職務上、患者がどういう
2024年7月26日 07:45
エリック・リデル。この名を聞いただけでワクワクする。映画「炎のランナー」のメイン・キャラクターである。もちろん、ハロルド・エイブラハムスも同じ位置にあるが、ここではエリックのほうに注目したい。それは、百年前のパリ五輪のことである。 それは1924年7月6日なのか13日なのか。映画の筋道でいくと、6日の予選を否んだことになる。日曜日の競技には出場しない、と言ったのだ。これには故国イギリスでも、「
2024年7月14日 10:24
ここのところ、立派な装丁の本を読み返している。要するにハードカバーというものだ。一日に触れる本は十冊以内くらいにしているが、そのうちの一冊を、この再読本にしているのだ。せっかく、かつてそれなりの金額を払って購入したものだ。一度読んでおしまい、ではもったいない気がしたのだ。もちろん、それだけ読む価値がある、と思うからである。 加藤常昭先生が訳した、ドイツの先生のハードカバーをずっと読み直していた
2024年7月8日 11:35
文学作品のあらすじを集めた本がある。手っ取り早く、その物語がどういう内容であるのかを教えてくれる。受験生のために役立つ本であるようだが、中には、大人相手に編集したものもある。「中学生の数学を◯時間で……」のような企画の意図に近いものと思われる。 だが、これは文学が相手である。文学をあらすじで見てしまうというのは、心ある文学者ならば、すべての人が否定する行為であろう。そもそも、文学たるものは、あ
2024年7月6日 10:41
京都から福岡に、私個人としては戻ったような形になったのだが、震災の後に引っ越した。そのとき、福岡の教会については無知だった。京都で信仰が与えられたからだ。 実際足を踏み入れてみると、ずいぶん緩いというか、信仰に対する厳しさのようなものが感じられない風土を感じたが、初めて体験する、よいこともあった。それは、礼拝後の語り合いである。 否、礼拝後ではない。それは礼拝の中であった。説教の後、小グル
2024年6月30日 10:31
実力テストであれば、テスト終了後、後ろから前に回して集める。自分の名前を上に見ながら、束の一番上に重ねる。こうすると、座席順からして、出席簿順に答案用紙が並ぶのだ。 ところが、中学生の大きな模擬試験だとやり方が違う。果たして他の教師は決まり通りやっているのかどうか知らないが、私は問題用紙に書いてある通りのやり方で集める。時間になったら、答案用紙を裏返しにして置くのだ。そして、「自分の用紙には触
2024年6月16日 10:21
加藤常昭先生の本は、振り返ってみると、ずいぶん読んでいる。代表作はもちろんのこと、聖書講話シリーズや、道シリーズなどもある。翻訳ものを含めると、個人別にして一番多く持っているだろう。だが、「説教全集」は、一冊も持っていなかった。なにしろ高いのだ。そして、きりがないからだ。 しかし、D教会で一年間説教を続けた2003年度のものが入った巻があるという。D教会のH牧師から聞いたので、「これは」と思っ
2024年6月12日 11:43
私は、京都に住んでいるときには、自動車運転免許証の必要を感じなかった。そもそも、限られた石油を自分の欲望のために消費する自動車というものに、拒否反応を懐いていたのである。しかし、福岡に戻るという道が示されたとき、運転できるようにはなっておきたいと思うようになった。子どもたちを育てるためですあるが、いまはそのことを細かくお伝えする必要はない。 京都の自動車学校に入った。市の中心部に住んでいたので
2024年6月6日 09:16
新教出版社『福音と世界』誌は、いつも新たなチャレンジを投げかけてくれる。お決まりの良い子でいるキリスト教雑誌もいい。心が洗われる。本誌は、心が洗われる効果は殆どない。だが、常に新たな視点をもたらしてくれる。知らないことを教えてくれる人が多いというのは、私にとり良い雑誌である。もちろん、それらは真摯な姿勢であり、多面的な調査や研究に基づいた記述であり、信頼のおけるもの、という理解に基づいての意見であ
2024年5月29日 11:09
以下は、カール・バルトのよく知られている、1922年に語られた講演「キリスト教会の宣教の困窮と約束」の新しい翻訳である。――ここから「はじめに」が始まる。訳者のひとり、加藤常昭氏の手によるものである。本書の発行後、一か月を待たずして、召されることとなった。 主宰する説教塾で必要があって翻訳したものである。それが出版に値するということで、「新訳」として世に問われることとなった。これは、百年後の現
2024年5月27日 09:28
説教塾ブックレット。21世紀になってから、「説教塾紀要」の一部を一般に広く知ってもらうために、というような形で発行されたシリーズがある。その第11弾として、2012年に『まことの説教を求めて』が発行された。副題に「加藤常昭の説教論」と付いており、著者は藤原導夫牧師である。説教塾の一員であり、要でもある。 今回は、その書評のようなことをするつもりはない。ただ、そのごく一部から励まされた点を証しし
2024年5月3日 10:17
自分の手の届く世界ではなかった。説教のプロたちの営みは、遠い雲の上の世界だった。「説教塾紀要」の存在は知っていたが、自分が読むようなものではない、と思っていた。 だが、主宰の加藤常昭先生の最後の説教が掲載されていると聞き、迷わず購入の手続きをとった。2024年3月発行の最新版である。 2023年10月8日のその礼拝の末席を私は汚していた。加藤先生と時を共有してその説教を聴くのは、初めてだっ
2024年5月1日 11:54
「ファースト・オブ・メイ」と聞いて、ピンとくる人はかなりの年配になるだろうか。映画「小さな恋のメロディ」の挿入歌である。邦題は「若葉のころ」とつけられ、映画のシーンに相応しいタイトルとなった。ビージーズが、まだディスコサウンドに入る前の名作である。それは、5月1日を指すのだろうか。もっと広く指してもよいのだろうか。「駆け出し」の意味もあるというから、幼くて一途な恋をモチーフに、「子どもたちの世界」
2024年4月29日 10:31
(トマス・H・トロウガー;レオノラ・タブス・ティスデール・吉村和雄訳・日本キリスト教団出版局) 私にとって3000円+税とは高価な本だ。だが、気になっていた。キリスト教の礼拝説教というものに執着のある私だから、テーマが気になる、というのも事実だ。だが、この共著の一人が、トロウガーであるという点が、どうしても見逃せなかった。『豊かな説教へ 想像力の働き』を読んだからだ。日本の説教塾でも、説教と想