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外国語教育_in class

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#学校教育

中部地区英語教育学会で発表しました

中部地区英語教育学会で発表しました

2022年6月25-26日、第51回中部地区英語教育学会(福井大会: オンライン開催)に参加し、一件の自由研究発表を行った。

タイトルは「私の授業は自律的な学習者の育成を促したのか」

2022年3月末まで勤務した静岡県の中高一貫校で、当時の中学3年生に対してアンケート・インタビューを通して行った実践研究。

「複線径路・等至点モデリング」という手法を用いて、生徒の人生における英語学習に対する認

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英語学習はゲームなのだろうか?

英語学習はゲームなのだろうか?

平尾昌宏(2022)『人生はゲームなのだろうか?—<答えのなさそうな問題>に答える哲学』を読んだ。

この本をごく簡単に紹介した上で,「英語学習はゲームなのだろうか?」という問いに答えを出したい。

ゲームとは何か?ここでの「ゲーム」にはいわゆるスマホやゲーム機で遊ぶコンピュータゲームだけでなく,スポーツの試合やテーブルゲームも含む。

「目指すべき終わり」というのは,相手に勝利するとか,高いスコ

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スライドを用いたリーディングタスク

スライドを用いたリーディングタスク

それなりの長さのある英文を読む際,頭から文法訳読ではかなり辛い。
私が定期的に用いているのがkeynoteを用いたリーディングタスクだ。(もちろん,power pointでも構わない)

以前の記事で紹介したものと同じ系統の,よりクリエイティビティの求められる活動と言える。

以前の記事の授業が「知識・技能」を問う課題だとしたら,今回のものはそれに加えて「思考・判断・表現」にもタップしていると言え

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国際英語論の授業(高校1年生)その2

国際英語論の授業(高校1年生)その2

本記事は下の記事の続きになります。

高校1年生が様々な英語変種の会話例を聞いた後に,「日本英語」があるとしたらどのような会話例になるかを考え,録画・録音した授業。その完成品をクラス全体で共有した上で,それぞれのグループや個々の学習者がどのようなことを意識したのかを少し掘ってみた。

高校生の考える,日本英語の発話まずやはり注目が集まりがちだったのが「発音」である。
「カタカナ英語」というキーワー

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中部地区英語教育学会で発表しました。

中部地区英語教育学会で発表しました。

6月26-27の週末,中部地区英語教育学会に参加しました。
学部4年の時,信州大学で発表した時から(中止になった昨年以外)毎年参加・発表してきた大変お世話になっている場所です。

今回を含めて4回の参加で発表してきたのは,
「高等学校英語授業における生徒の英語使用の特徴 ―ディベート特有の対話構造の視点から―」
「英語教育におけるメタファー使用の役割」
「英語教員養成課程の学生による対話的な英文法

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『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

去年の夏に買ってこの春休みにようやく『学校英語教育のコミュニケーション論』(榎本, 2019)を読んだが,本当に読んでおいて良かった,軽く命を救われたレベルの話。

本の内容をざっくり自分程度にざっくり話せる内容の本ではないけど,学校で行われる英語の授業の中で本当に起きている「コミュニケーション」とはどのようなものなのかを,著者である榎本先生が実際の高校の教室に入り込んでつぶさに観察したもので,英

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単語学習を面白く,知的にしたい

久々の投稿です。
今回のテーマは単語学習。
少し前まで授業の帯活動で"One Sentence Writing"をやっていましたが,それは露骨な模擬試験対策でした。生徒にも「結構書けるようになった気はするけど,細かいミスばっか気になるからつまんない」と言われてしまいました。ごめんね。

というわけで,模試後から即興性の高いスピーキングやリスニング,そして語彙学習など色々な活動を10~15分程度授業

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教員1年目,オンライン授業をざっくり振り返る

2020年3月まで,中学・大学での非常勤講師,そして塾でのバイトをしていましたが,今年4月,ついに初めての正規採用先での英語教師としての仕事が始まりました。

メインの担当は中2。それから高2と高3も少し。

着任から4ヶ月,この激動の2020年,ここまでどのようにオンラインで授業をしてきたか記録として残しておこうと思います。

数年後懐かしい気持ちで微笑ましく読み返せれば良いんですが。

使用し

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サイコパスが考案した課題

前回の記事で,教科書の本文の導入について書きました。

今回はその本文を読み終わった後,教科書に用意されていた課題に対して,僕が本気でキレ散らかした話です。

以前の記事で仲 (2017)の「言語観教育」に触れました。

あれを読む前の実践なのであれに触発されたというわけではないですが,まさに言語観教育に繋げ得る実践なのでは,と今振り返って思っています。

が,あくまでこれは僕が本気でキレて散らか

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"Open your textbook to page..."の前に

こんにちは,かわむらです。

5月上旬,今の勤務校に来てから初めて教科書の長めのReadingに入ったのでその時の導入について書いてみます。

ただの思いつきでやってみただけですが,個人的に楽しかったので。

やったことは,教科書の本文についているタイトルから「どんなことが書いてある本文だと思う?」と問いかける。ただそれだけです。

"We are going to read a passage,

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「先生!Google翻訳使っていいですか?」

怒涛の12連休となったGWの課題が続々と提出されてきました。

課題の一つが「休校期間中の自分の生活」または「休校期間中の発見」について,プレゼンかスピーチかレポートで発表するというもの。

この課題,レポートにしろプレゼン・スピーチにしろ中2とは思えないほど長い文章を書けている(話せている)子が複数人いました。
彼ら(の多く)は機械翻訳を使って,日本語で書いた文を英語に変え,そのままコピペしてい

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「うちはうち,よそはよそ」 - 学びの個別最適化って?

「うちはうち,よそはよそ」 - 学びの個別最適化って?

子どもの頃「テストの点良かったらケータイ買って。〇〇(仲良しの友人)とか△△(そんな仲良くないけど名前だけ利用)はもう買ってもらっとる」とか言うと,お母さんに「うちはうち,よそはよそ」と言われましたよね。

そしていざテストが終わると「××ちゃん(親同士が仲良し)はこの前のテスト,全教科90点超えたらしいよ。あんたももっと頑張らんとね」と。

反抗期だったかわむら少年は当然「うちはうち,よそはよそ

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Morning has come. Open your eyes.

以前,非常勤講師として数ヶ月だけ勤務させていただいた学校の中学3年生と英語で人狼ゲームをした時の話です。当時の授業メモとおぼろげな記憶を頼りに書いてみます。

(人狼ゲームを知らない方はコチラ)
https://www.bodoge-intl.com/list/insapo/hazimete/

人狼ゲームをやるに至った経緯当時の勤務校はゴリゴリの習熟度別クラスで,仮にここではそれぞれのクラスを上

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Anytime, something uncertain is interesting.

Anytime, something uncertain is interesting.

自分が中学生の時の英語の授業で納得させてもらえなかったことの中でも3本の指に入るであろうこと。
次の二つのセリフを同じ先生が何のためらいもなく言うのです。

・「someは肯定文。anyは疑問文と否定文です」

「"Would you like some tea?"これ大事だからこのまま覚えてね」

あれ?疑問文なのにsomeだ。もちろん,かわむら少年は質問しますが,「それはちょっと難しいんだよね

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