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中部地区英語教育学会で発表しました

2022年6月25-26日、第51回中部地区英語教育学会(福井大会: オンライン開催)に参加し、一件の自由研究発表を行った。

タイトルは「私の授業は自律的な学習者の育成を促したのか」

2022年3月末まで勤務した静岡県の中高一貫校で、当時の中学3年生に対してアンケート・インタビューを通して行った実践研究。

「複線径路・等至点モデリング」という手法を用いて、生徒の人生における英語学習に対する認識・取り組みの変化が起きた時点を「分岐点」として示し、私の授業やその他の働きかけが彼らの英語学習にどのような影響を及ぼしたかを分析した。

なお、この手法については昨年12月に出会った時点でモヤモヤしつつも可能性を感じてもいた。コメント欄含め勉強になるので再掲。

授業実践の改善(のための視点の獲得・深化)を目的とした実践研究でありつつ、授業自体が直接的に生徒にどのような変化を起こさせたかという考え方は取らず、生徒自身の人生を英語学習に焦点を当てて振り返ったときに私の働きかけが何かしらの影響を及ぼす社会的要因であったかという関心に沿って進めた点はこの研究の特徴と言える。

これは子どもの学習を促す要素は学校教育に限定されず、子どもはあらゆることから何かを学んだり、何も学ばなかったりするという考え方をベースにしている。以下に示す、広田照幸氏の近刊の図が分かりやすい。

(広田, 2022, p. 29, 図2-1をもとに作成)

研究のメインは(アンケートや日頃の関わりから取り出した)3名の生徒へのインタビューの分析。それを通して以下のRQsに答えた。

  1. 自律的に英語を学習する中学生は,どのような過程を経てそうなったか

  2. 私の授業は自律的な英語学習への態度を育てることにどう影響したか

RQ1「過程」については、複数の自律的学習者に共通してみられたのは以下の特徴だ。

英語に対して一度ネガティブな気持ちを持ったところから、その気持ちを払拭した。(3名の生徒全員が中1時点で英語にネガティブな気持ちを抱いた)
英語学習に留まらない、人生における目標や夢を明確に持った。

一方で、自律性が養われなかった学習者については、英語に対するネガティブな気持ちを払拭できないまま努力だけが先行していた。


RQ2「影響」については、以下の通り。

私の授業や授業外での企画・声かけが生徒の自律性を促す要因となることもあった。
一方で私の授業スタイルが生徒たちのモチベーションや学習方略の面に悪影響を与えた可能性もある。
特に自律的学習者像から遠ざかっているタイミングで、自律性を高める支援・指導が出来ていなかった。

今後論文化し、中部地区英語教育学会紀要への掲載を目指す。

それに先立って詳しい内容に興味がある方は、以下のリンクからSNSやメール等で是非ご連絡ください。

※この研究に際して、生徒には研究発表・論文・ブログ・SNS等での発信について許可を取っています。

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