#絵本
もっと おおきな たいほうを
ウサギはラジオの仕事を終えると、急ぎ足で駅へ向かった。飛び乗った電車の窓からは、夕暮れの景色が、心地よいリズムを刻んで流れていく。やがて小さな駅に到着すると、彼女は静かに図書館へと足を向けた。
閉館間近で慌ただしい窓口を通り過ぎ、児童書コーナーに向かうと、求めていた本を探し始めた。彼女が手にしたのは、二見正直さんの「もっと おおきな たいほうを」という絵本だった。閲覧席に腰を下ろすと、最初のペー
モンテロッソのピンクの壁
暖かさがやってくると、人はふと旅をしたくなる。旅立つのにちゃんとした理由など要らない。でも何処へ行く? 猫のハスカップにはなんの迷いもなかった。「モンテロッソへいかなくちゃ」
「不思議な旅をする本が読みたいわ」と願ったのはウサギだった。そんな彼女にカメが薦めたのは、江國香織さんの「モンテロッソのピンクの壁」という絵本。その表紙には、まるで「白ワインで蒸した鮭みたいな」ピンクの壁が大きく描かれてい