- 運営しているクリエイター
#創作大賞2023
【生きづらいと感じている全ての人へ。連載①】小説
『小説』
曇りと晴れが交互に過ぎてく平日の13時。
チェーン店のコーヒー屋さんで、ホットドッグとアイスコーヒーのトールサイズを買って小説を読みはじめる。表紙の熱帯魚に惹かれて、思わずパケ買いした1冊。
コーヒーと交互に読み進めるも、最初の1ページを過ぎないうちに雑念がよぎる。
…はて。この小説の登場人物は、ごく普通のどこにでもいるような人物なのに、なんで主人公なんだろう。私は一度も主人公になれた
【生きづらいと感じている全ての人へ。連載③】夕飯
小説を読むのをそこそこで切り上げて、飲み終わったコーヒーカップを返却口に戻す。
昨日も一昨日も、体調不良を言い訳に夕飯作りをさぼってしまったから今日こそは任務を果たさないと。
それに今日は水曜日。夕飯はお味噌汁だけ作ればいい日。
これは、私が無理をしないように夫が設けてくれた夕飯作りのルールだ。
だが、それさえやる気が沸かないくらいに私の心は荒んでいる。
そして、すでに色々考えすぎて弊労して
【生きづらいと感じている全ての人へ。連載④】夫
夫とは大学生時代のアルバイトで知り合った。
最初の印象は、優しいお兄さん。
学年が一つ上でアルバイトとしても先輩だったし、一つしか変わらないのに落ち着いていて、堂々としている。
将来の事も明確にしていて、大人っぽくて、私の周りにはいないタイプだった。
それに親しみやすくて、少しふざけて笑いを取るなんて事もある。
そんな彼を見て、なんて普通!と思った。
そして、その普通さが人としてとても魅力的だ
【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑤】憧れ
私はこの二人を、祀りあげるくらいに尊敬していた。
素晴らしい、そうなりたい、と何度も伝えた。
どんな子育てをしたらそうなるのか、はたまた親御さんが大変立派なのか。
普通とは遺伝なのか?
次第に、自分と二人の違いをいくつも見つけて、二人には合ってわたしには不足している事をどうにか埋めようと必死になった。
でも、真似しようとしても上手くいかない。二人のようにはなれない。
そのうち私はどんどん卑屈に
【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑦】ポジティブ心理学
2回目以降のカウンセリングや勉強はリモートで行われた。
自分の思考癖や得意な事を統計学によって導き出された分類項目に分け、客観的に把握し、それを心理学と合わせて対処方法を学ぶというものだった。
1ヶ月の学びが終わる頃には、オンラインで何人かが集まり毎月の課題に対してどう感じたか、どのように実践したかなどを発表し合った。
そして、白黒思考で自分のダメなところばかりに目がいってしまう私にとっては、や
【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑩完結】現在
…
走馬灯かと思うほど、過去の事を思い出していた。
16時を過ぎている事に気づき、我に返って本屋を少し徘徊する。
そこにはいろんな人の、たくさんの想い、思想が詰まった本の束。
それはいたるところに積まれていたり、きっちり棚に並んでいたり、堂々と飾られていたり。
その風景を見ていると、不思議と心が和らいでいくのを感じた。
それぞれの世界がこんなにたくさんある中で、私のこの変な世界はとても小さくて
【生きづらいと感じている全ての人へ。連載】あとがき
これを小説と言っていいのか分からないくらい、つたない文章でお恥ずかしい限りですが、とにかく誰か一人でもいいから、これを読んで共感して、重ねて、ほっとしてくれたら嬉しい、その思いで書きなぐりました。
なんせ、初めての事ですから、驚くほど幼稚で既視感のある文章である事は認識しております。
どうか読まれる方の優しい心でスルーしていただければ幸いです。
そして、私のように、漠然と孤独でどうしようもなく