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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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2022年6月の記事一覧

あがる

あがる

人間は誰しも「あがる」ものである。今では結婚式も少なくなったがスピーチであがり、「おめでとう」と挨拶をしたはいいが二の句が継げなくなって冷や汗をかいている場面など、昔はよく目にしたものだ。
片思いの異性を前にしどろもどろになった経験のある方もおありだろう。

そういう状況に陥るとにっちもさっちも行かなくなり、なんとかせねばと思うのだが、そう思えば思うほどかえってそれが仇となり、ますます泥沼にはまっ

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ぽつんと一軒家

日曜の夜は「ぽつんと一軒家」を観る。カミさんは「イッテQ」を観たそうなので、何となくたまに観る。大河ドラマは録画して置いて別の日に観ることになっている。

多くの同じ世代の人が結構「ぽつんと一軒家」に嵌っていると聞くのだが、確かにいい。あんな暮らしがしてみたいと思ってみたりする。何だか、ただただ忙しく毎日が過ぎていくと、やむにやまれず、ああ自然の中で原点に帰りたいと思うのかもしれない。

紫陽花が

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高校の国語から文学が消える?

高校の国語から文学が消える?

一般の方はご興味がないかもしれませんが、ちょっと柄にもなく真面目な国語の話をしてみたいと思います。

学校によって違いがあるので僕の現在の経験で書きますが、一般的に大学進学を前提とした科目の置き方は現在はこんな感じになります。

1年生

旧課程
■国語総合→現代文中心に週2時間、古典中心に週3時間、計週5時間。

新課程が今の一年生から導入されていますが、新課程ではこんなふうに科目が変わりました

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裸足

裸足

まったくの愚話と思って読んでいただきたい。

若い頃、と言っても40歳くらいまで僕は素足でいた。素足と書くと何か恰好良いが、要するにハダシである。無論、ハダシでペタペタ歩いているわけではない。ちゃんとサンダルは履いている。
僕は別に何とも感じないのだが、真冬でもハダシにサンダルなので、周囲の人から「あんたを見てると寒くなる」と疎外された。「よく平気ね」と変人扱いも受けるが、別段気にもしなかった。

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たにんごと?

たにんごと?

みなさんは、「大地震」「神戸牛」を何と読みますか?

僕にとって「大地震・大舞台」は「だいじしん・だいぶたい」だったのですが、「おおじしん・おおぶたい」と聞くことが多くなり、ちょっと違和感なのです。

たぶん、「音読みの漢語と結びつくものは音読みで読む」という小さい頃に教育された?単純な原則に僕の単純な頭が違和感の原因のようで、「日常に溶け込んで日常の言葉として和語化したものは「おお」と読むことの

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礼子先生と猫

礼子先生と猫

一時期、テストの解答用紙の最後に自由欄として「何か書きなさい」というスペースを設けていたことがある。

何が書かれるのか楽しみではあったが、不勉強を詫びるゴメンナサイ的な辞が多く、次いで問題が難しいとか字が読みにくいといった文句が多かった。点をくれ!敵な哀訴も負けてはいない。

中には「石はなぜ石か」というものもあった。
「何か書きなさい」と書いてある横に「何か」とだけ書いてあるのもいくつかある。

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ガキと主夫生活

ガキと主夫生活

「ゴツモンがモノクロモンに変化した」子は叫びつつ風呂に入り来る

小学校3年のガキである息子と2人暮らしをした時期があった。別にカミさんに逃げられた訳ではないので、結婚を申し込みたいと思う方がいるかもしれないが、ご遠慮願いたい。お気持ちだけはありがたく受け取らせていただくことにする。本当は“お気持ち”だけでは勿体ないのだが、やむを得ない。

実はカミさんのお母さんが肺ガンと診断され(実は手術後の説

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雨の匂ひ

雨の匂ひ

雨のにほひ かすかに風の運ぶ夜を 焼酎に梅落として憩ふ

金田一春彦氏の小文に

国文学者に栗花落裕さんという方がある。「栗花落」が苗字で、これはツユリさんと読む。毎年梅雨の候になるとクリの花が散る。このことから「栗花落」と書いてツユイリと読むので、ツユリはその転だ。

とあります。

今年も栗が花を付ける頃になって、今週にも梅雨入りしそうな気配です。

梅雨は、古典では?「五月雨」。よく生徒には

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金のわらじ

金のわらじ

かつて、地学専攻の同僚が研修で海外に行ったということで、地形やら地層やらの写真を撮って来てスライドにして生徒に見せたらしいのだが、その日の帰り、生徒が「先生、セナスって何?」と聞いて来た。「セナス?」と怪訝な顔をすると、「理科の先生が言ってた」と言う。

「何かの専門用語じゃないか」と適当に答えておいたのだが、一応セナスとは何か、その教員に後で聞いてみると、「何って、飛行機だよ。小さいプロペラの」

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