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seiji_arita
2024年1月25日 14:37
「残照」深く歪み堕ちていく太陽の残照明け方の空に浮かんだ薄い三日月苛立ちの影が繰り返す不規則な循環淀みを含んだある種の流れを暗部が包み隠す其処にある秘密を知っているのは僕と君だけだった今 記憶や想い出がゆっくりと老いてゆく静かなる一幕の幻影
2024年1月24日 23:36
「マーマレード」薔薇の模様の透かし彫りのカーテン揺れた気がした 閉ざされた窓きっと気のせいだ明かりの灯って無いシャンデリアそれは何処か悲しみに似ていた夜の翼が見えない糸を作りその細い無数の糸が僕を縛り付けていた此処はいったい何処なんだろう 独り呟いた忘れなさい 誰かがそう答えた確かに聴き覚えのある女の声だったホットウィスキーにスプーンですくった
2024年1月23日 02:43
「彩花」咲きたくて 咲きたくて もう一度 綺麗に咲きたくて貴方の首筋で 胸元で その唇で 小さな想いが静かな恋に変わり 恋が愛に咲き変わる夜僕の傍で 心の中で咲き続けるひと溶かし合い 受け入れ合い この身を束ね ふたりの色彩で染まる花びらもう一度 綺麗に咲きたくて
2024年1月21日 15:30
「頭上の星」僕は何処まで行っても僕であり彼は彼であり彼女は彼女であり続ける陰が陰であり 陽は陽であり続ける様に川は理由も無くただ流れている動かない水が流れを持つ時 始めて生きている意味を知る想像力の範囲を超えた物語はいとも簡単に圧殺され暗闇の中で彼が僕に話しかける戦場で眠る 兵士の頭上にも星は輝くと僕が僕であり続ける事に気が付いた時彼も
2024年1月20日 14:56
「不実な雨と小さな同意」低く暗い雲が空を覆い垂れ込めていた憂鬱そうに傘をさして歩く人彼女は僕の唇に人差し指を置いて全てを閉じ込めた 不実な恋人がそうする様に彼女は静かに目を閉じて…そう言った僕は小さな声でうなずいた空っぽの空間に何かが流れ込んで来るのを感じていた些細な現実と不必要な寄り道とその遠く先に見える降り出した雨いくら探しても見つから
2024年1月15日 23:17
「MISIA」夜に咲く白い花 濡れた星明かり月夜を渡る風の音 正確に時を刻まない狂った時計と時の概念を必要としない蒼くて細い三日月非現実的で不思議な光を放つ星達が花びらを照らす夜 その花には輪郭が無く影を持たない事を僕は知っていた 本当は怖いんだと君は小さく囁いた逢えなかった夜を悔やんではいない通り過ぎて行った赤いアウディ夢に花 花に
2024年1月14日 12:46
「遺書」淡い色調の風景が淡々と場面の転換も無く続く切れ目なく流れるエンドレスミュージックの様に深い本心を語る彼女の穏やか声 そして遺書心に抱えた小さな地獄に感謝したそれを知らない人には小さな幸せに気付けない奇妙な空白に名前の無い風が吹く覚醒の手掛かりを失った夢深く椅子に腰掛け 片足を切落とされた幻覚の中で未来の夢を見ていた古い手紙や日記 写真ア
2024年1月10日 20:40
「真白に輝く黒き羽根」僕は彼女の小さな唇の動きを見逃さなかったほんの少し口元が動いた気のせいじゃ無い君は夢の中で眠り続けている悪い夢を忘れる事が出来ないまま白く鋭利な刃の様な三日月霞んで消えそうな星屑闇に包まれた漆黒の夜時は巡り時間は流れる今は静かに太陽が燃える時を待つやがて生まれた朝が眩しい陽の光を連れ君を照らす黒き羽根は光を帯び真白に輝く
2024年1月5日 12:16
「葡萄酒の上に浮かんだ月」秘密に縛られた心その箱の蓋を開ける事は貴方自身を物語の一部に取り入れてある意味での犠牲者にしてしまい共有していかなくてはならないそう 俯いて囁いた深い沈黙が意味を帯び彼女の語り始めた言葉を注意深く拾い集めた限定された空間の空にしか無い観覧車が廻る ゆっくりと静かに僕は彼女と共に其れに乗っていた大きな運命の輪に結びつけられ
2024年1月2日 17:35
「冬の月光」逢う事の無い陽の光 こだまし誘われ僕は言葉無く ただ影を踏む瞬く時は夜半の風と名も無き剣疵跡ひとつ残さぬままにあの鐘を鳴らし夜を迎える冬の月光 生き延びた言葉 記憶に留めそして 影を踏む真の慈愛をと叫び また 影を踏む