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seiji_arita
2024年5月29日 01:36
「Good Luck」ソファーで猫が眠っているアメリカンショートヘアバルコニーから夜の海 その上に琥珀色の月が輝いて僕はワインの瓶を静かに開ける そんな風景を信号待ちのサイドミラーの中に描いて素敵な夜を想像していた信号は青に変わり僕はアクセルを踏み込む時事的で複雑な定義に溢れた街を走り抜ける思想性は何処にあるの 助手席の彼女はそう僕に聞く多分
2024年4月19日 15:14
「神の月」起き忘れられた野心と色褪せた希望空白に似た諦めが目に見える空を無感覚に覆い尽くす其処に浮かび上がる薄い刃物の様な三日月は失うべきものは何も無い 命さえも そう静かに語る何日も風の強い夜が続く時々わけもなく涙が溢れただけどそんなに孤独じゃないよお前もそうだろう そう三日月に囁いた俺は意識の枠の外側で自分自身の神に触れるお前達の神じゃ
2024年3月28日 16:25
「魔女狩りの詩」生きる事を目的として戦い続ける 目には見えない圧倒的な力を持つものが襲う其れに相対する救いに似た光を求めたあらゆるものを ただ黙々と受け入れ其処にあるものを呑み込み全てを赦した其の優しさに身を委ねた僕等の時間がそれぞれの経路を辿り流れる恐怖や希望絶望の中に揺らぐ炎を見ただが君は心の奥底で死を望んでいるその流れがひとつに
2024年3月10日 20:10
「暗雲の隙間」雲が千切れる様に割れ僅かな月明かりが射す暗雲の隙間 途切れ途切れの光が僕の胸の中に隠された言葉を照らし浮き彫りにしては消えてゆく淡い青色の世界が訪れては消え去るそして無音の漆黒が全てを包み込む肉を削ぎ落とした骨格から発する意識の放射が暗闇を貫く其の凝縮された陰影を網膜と脳裏に焼き付ける僕は思考の切れ端を追い続ける脳内の架空の白紙
2024年2月28日 21:07
「追憶の果て」細かい雨が降る 雨は僕の目には映らず人知れず静かに音も無く地面を濡らしていた其れは新しい季節の到来を 意味している様に思えた夢の無い深い眠りが通り過ぎる足音が聴こえ何かが僕の中で終わってしまったそんな感覚を誤魔化し続けていたもともとピースが揃って無いパズルは完成する事は無い わかっていた結末だった雨に濡れた街に枯れた花を捧げ
2024年2月10日 00:26
「月の南 星の下」辛い時には幸せなふりをするの 君の口癖僕は瞳を閉じ耳を済ませ 其処にあるはずのものを思い描いた ほんの少しの間だけ手を握り合っていた僕は世界に近づこうとしていた近づきたかった その普通と呼ばれる世界に僕は自分が自分自身であり君は君自身である 他の誰でも無い事に不思議な安心感を覚えていた彼等の創り出したものは いつも僕や君を
2024年1月28日 11:46
「風と月と流星」消え残った星が幾つか頭上に見える明け方区切られた記憶の空に見えた断片 あの夜 流星が描いた線を思い出していた束の間の儚い一瞬の煌めき僕を呑み込み含んだその光は限定された意識の窓に映し出された命の微粒子で描かれた その光の線に特別な絆と強い親密感を感じ取っていた白昼の街が備えた祝祭的な色彩と太陽の明かりが僕の中の非対称性を浮き彫
2023年12月19日 16:55
「細くて白い月」カーテンの僅かな隙間から骨の様な細くて白い月が見えたカフェオレとポテトサラダ スクランブルエッグとトーストバターは付ける? それとも苺ジャム?僕は煙草を咥えたまま バター そう答えた彼女の部屋のテラスからは川が見えた 水面に映る歓楽街のネオンが見えた朝は苦手だって そう彼女は言ったユニットバスのトイレには膣内を洗浄する見た事も
2023年11月27日 19:20
「氷の月」事実と事実の隙間を埋める幻想の様な夢希望を込めた思考から来る妄想それは罪な事なのだろうか立体的でかつ鮮明に浮かび上がる場面些細な相違や乖離はたいして重要では無い複雑で複合的な心模様を紐解き明確化する必要も無い全ては自分自身の心の中にある 変わり続ける多面体に反射する光を追いかけ続けて息を切らした氷で出来た月が溶け始める夢を見た僕はた
2022年12月25日 22:54
「12月26日」部屋に飾った半分の月夢中で探した自分自身の証君と僕の答えなんて聞くまでもない同じ夜空を見上げて同じ月に恋してたわかるだろう耳を澄ませてごらんよ僕の声が遠くから届いたら微笑んでくれよ君の声が聴こえたら僕は手を振るから想い出を掻き集めて十字を切った失くした半分の月を掴もうと手を伸ばした夜明けはまた夜を呼び夜は夜明けを連れて来る