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君と僕の知らない物語 第2話、および第2話
他人に理解されなくても構わないと思うようになったのはいつからだったろう。
「あの、もし人違いだったらごめんなさい。もしかして宍戸《ししど》君?」
ある休日の午後。近所のカフェで少し値の張る珈琲に舌鼓を打ちながら最近買った文庫本を読んでいた自分に声をかけてきたのは、カウンター席で隣に座っていた女性だった。一瞬ナンパや勧誘の類かとも思ったが、相手に告げられた名前が合っていたことからおそらくそれは
君と僕の知らない物語 第1話、あるいは第3話
少しだけ悪い子になろう。そう思った。
今は深夜の一時を少し過ぎた頃。両親は寝室でとっくに休んでいる。壁越しにも聞こえてくる父の豪快ないびきがその証拠だ。今この家で起きているのは私だけ。両親が目を覚まさなければ今なら何をしても私を咎める人はいない。思春期真っ盛りなクラスの男の子たちなら親が寝ているのをいいことに肌色が多いウェブサイトを覗いたりするのかもしれないが、私は違った。
「………」
声を