ぽわぽわ | 七咲 蓮

詩、ゆるい物語。たまにちゃんとした物語。 【旅記録やエッセイなどゆるく書いているぽわ…

ぽわぽわ | 七咲 蓮

詩、ゆるい物語。たまにちゃんとした物語。 【旅記録やエッセイなどゆるく書いているぽわぽわの裏面】▶︎https://note.com/hachi19_pochi03

マガジン

記事一覧

【必修スキル】 毎週ショートショートnote

 金持ち教習所へ合宿で入った。 「お金に好かれる人であれ」  講師の言葉から始まった合宿の内容は酷いものだった。  一日百回の前屈をさせられ、慣れるまでは腰を常に…

【悪魔の果実】 毎週ショートショートnote

 茹だるような暑さの中、友人と並んで縁側でスイカを食べていた。  頭上に吊るされた安いガラスの風鈴の音と、背後の部屋から流れてくる扇風機のぬるい風を感じて、次第…

【世界一の歌手】 1 minutes novels #30

 1分程度で読める物語。  お題「歌手」x「爆弾」

【バーラ】 毎週ショートショートnote

 あるアマチュアの天体観測士から新しい恒星が見つかったと天文学会に報告があった。  見つかった星は先の尖った楕円形をしていて、数日間は記者会見の様子がニュースで…

23

【ゴールデンタイム】 1 minutes novels #29

 1分程度で読める物語。  お題「金曜日」x「許せない」

18

【帰郷】 ショートショート#4

 八月も半ばに差し掛かった頃、私はこの土地に帰ってきた。高台から見える小さな村。私の生まれ育った故郷だ。 「あら、久しぶりじゃない」  洋子さんだった。久しぶりで…

36

【白猫】 詩#28

 四つ葉のクローバーを見つけたと  嬉しそうにはしゃぐ子供の声がする  それをむしり取ってまた別の子供に見せる  小さな幸せの輪が広がっていく  どうすればあんな…

30

【烙印】 ショートショート#3

 十時を過ぎた頃、学校の前に着いた。担任の岩田が二階の職員室の窓から外を眺めているのが見える。岩田は俺に気付いたらしく、怪訝な表情を浮かべた。そしてすぐに職員室…

15

【からっ風】 詩#27

 からっ風 あちらこちら吹き止まぬ  煽られ 花弁は舞っている  不自由そうに舞っている  希望も気付けば夢物語  悴む手には力無く  涙も乾かす からっ風  それ…

【ころころ転がる】 詩#26

 たくさんの優しさに  触れ合うことで  尖った先は削がれていく  丸みはどんどん増していく  丸くなったわたしは転がって  ころころ ころころ より丸く  柔らか…

【ぽわぽわの裏面】

 ぽわぽわでは【詩】【小説】を書いていますが、 実は別のアカウントで【エッセイ】や【旅の記録】を書いています。 ぽわぽわのアカウントを見つけてくださった皆様には…

【恋するカメラ】 詩#25

 両手で作った世界にたった一つのカメラ  わたしの好きなあなたがいる世界を収めてみる  両手で作った世界にたった一つのフォトフレーム  あなたが好きなわたしのいる…

【しわあせの薬】 1 minutes novels #28

 1分程度で読める物語。  お題「魔女」x「しあわせ」

【魔女の薬】 1 minutes novels #27

 1分程度で読める物語。  お題「魔女」x「しあわせ」

【風のせい】 1 minutes novels #26

 1分程度で読める物語。  お題「風」

【イロハモミジ】 1 minutes novels #25

・・・  お題「イロハモミジ」x「ベランダ」

【必修スキル】 毎週ショートショートnote

【必修スキル】 毎週ショートショートnote

 金持ち教習所へ合宿で入った。
「お金に好かれる人であれ」
 講師の言葉から始まった合宿の内容は酷いものだった。
 一日百回の前屈をさせられ、慣れるまでは腰を常に痛めている状態だった。
 カードマジックの練習や毎日違う人と話すことを強制させられ、いつの間にかひとり、またひとりと辞めていった。
 ある日、へとへとになった俺は自分の部屋に戻ろうとしていると講師と肩がぶつかった。咄嗟にすみませんと頭を下

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【悪魔の果実】 毎週ショートショートnote

【悪魔の果実】 毎週ショートショートnote

 茹だるような暑さの中、友人と並んで縁側でスイカを食べていた。
 頭上に吊るされた安いガラスの風鈴の音と、背後の部屋から流れてくる扇風機のぬるい風を感じて、次第に少年時代へと返っていく気がした。
「中世ヨーロッパだとスイカは悪魔の果実って言われてたらしいよ」
 突然、友人がそう言った。
「で、ほとんどの場合は人が食べる前に悪魔が持ち帰っちゃうみたい」
「急になんの話しだよ」
「でも、稀に人の口に入

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【バーラ】 毎週ショートショートnote

【バーラ】 毎週ショートショートnote

 あるアマチュアの天体観測士から新しい恒星が見つかったと天文学会に報告があった。
 見つかった星は先の尖った楕円形をしていて、数日間は記者会見の様子がニュースで取り上げられていた。
「どのように見つけられたんでしょうか」
「私は元スナイパーでして、覗いて探すのは得意なんです」
 そう語る男の名前はバーラと言い、発見された星にはその男の名が付けられた。
 数日後、バーラは地球へ向かって直進しているこ

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【帰郷】 ショートショート#4

【帰郷】 ショートショート#4

 八月も半ばに差し掛かった頃、私はこの土地に帰ってきた。高台から見える小さな村。私の生まれ育った故郷だ。
「あら、久しぶりじゃない」
 洋子さんだった。久しぶりですね、と私は言う。
「帰ってきて早々悪いんだけど、向こうの広場から段ボール持ってきてもらってもいいかしら」
 今日は年に一度の祭りの日。私の育った村は祭りが有名で、今年も気合が入っている。赤提灯は綺麗に飾り付けられ、出店の準備もある程度は

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【白猫】 詩#28

【白猫】 詩#28

 四つ葉のクローバーを見つけたと
 嬉しそうにはしゃぐ子供の声がする
 それをむしり取ってまた別の子供に見せる
 小さな幸せの輪が広がっていく

 どうすればあんなふうに
 幸せを招くことができるのか
 膝に乗る白猫に訊いてみたけれど
 ごろごろと喉を鳴らして眠るだけ
 
 しばらくすると
 膝で眠る白猫を優しく撫でにくる子供
 白猫はというと
 気にも留めずに眠っている

 さっきまで嬉しそうに

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【烙印】 ショートショート#3

【烙印】 ショートショート#3

 十時を過ぎた頃、学校の前に着いた。担任の岩田が二階の職員室の窓から外を眺めているのが見える。岩田は俺に気付いたらしく、怪訝な表情を浮かべた。そしてすぐに職員室から走り出ていった。俺はそそくさと校舎へと向かう。
 下駄箱で靴を脱いでいると校内放送が流れた。
「校長先生、荷物が届きました。至急、昇降口までお越しください」
 岩田の声だったが、初めて聞く放送を不思議に思っていると、見知らぬ男が立ち塞が

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【からっ風】 詩#27

【からっ風】 詩#27

 からっ風 あちらこちら吹き止まぬ
 煽られ 花弁は舞っている
 不自由そうに舞っている

 希望も気付けば夢物語
 悴む手には力無く
 涙も乾かす からっ風

 それでもきちんと生きている
 例え今はつらくとも
 順風は吹く いつの日か
 未来は笑わず待っている

・・・

 最後までお読みいただきありがとうございます。

【ころころ転がる】 詩#26

【ころころ転がる】 詩#26

 たくさんの優しさに
 触れ合うことで
 尖った先は削がれていく
 丸みはどんどん増していく

 丸くなったわたしは転がって
 ころころ ころころ より丸く
 柔らかな思いは加速して
 転がる速さも増していく

 次の出会いに感謝して
 その次の出会いにもまた感謝
 ころころ ころころ 心と共に
 優しさは一層増すばかり
 
 誰かがころころ転がって
 わたしの元へと来るならば
 誰かがくれた優し

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【ぽわぽわの裏面】

【ぽわぽわの裏面】

 ぽわぽわでは【詩】【小説】を書いていますが、
実は別のアカウントで【エッセイ】や【旅の記録】を書いています。

ぽわぽわのアカウントを見つけてくださった皆様には、僕の言葉で綴られたエッセイを読んでいただけたら嬉しいです。
(※エッセイなので好き勝手書いてます。賛否両論あると思いますが、僕は僕の考え方で生きていきたい。)

引き続き、ぽわぽわのアカウントは創作物の投稿アカウントとして使います。

【恋するカメラ】 詩#25

【恋するカメラ】 詩#25

 両手で作った世界にたった一つのカメラ
 わたしの好きなあなたがいる世界を収めてみる
 両手で作った世界にたった一つのフォトフレーム
 あなたが好きなわたしのいる世界を収めてほしい

 ピントはズレて フォーカスも合わなくて
 手ぶれでボヤけて 涙が滲んだ日
 それすらいつか笑って語れるから
 傷つくことも抱きしめられる

 そうだ アルバムは何色にしよう
 タイトルはなんて名付けよう
 フォトフ

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