【バーラ】 毎週ショートショートnote
あるアマチュアの天体観測士から新しい恒星が見つかったと天文学会に報告があった。
見つかった星は先の尖った楕円形をしていて、数日間は記者会見の様子がニュースで取り上げられていた。
「どのように見つけられたんでしょうか」
「私は元スナイパーでして、覗いて探すのは得意なんです」
そう語る男の名前はバーラと言い、発見された星にはその男の名が付けられた。
数日後、バーラは地球へ向かって直進していることが判明した。衝突まで残り七日しかなく、世界中がどよめいた。
「バーラには弾丸って意味があるらしい。地球はもう終わりだ」
◆
時を同じくして神様がこんな話をしていた。
「地球を狙ったのか」
「あの星は危険だ。人類という知的生物は宇宙にまで手を出し始めた」
「そうか。それで地球に向けてあの星を弾丸として撃ったわけか」
「そうだ」
「神の国のスナイパー様は、宇宙の均衡を保つためによく働くな」
「いま目に見える悪が人類しかないだけだ」
(了)
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