OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

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オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

こんにちは、お香の交差点OKOCROSSINGを運営している麻布 香雅堂代表の山田です。

お香をはじめとする和のかおりの専門店・香雅堂を手伝い始めておよそ10年が経ちました。思うところがあって初めてこのような文章を書くに至っています。みなさまにあまり馴染みのないと思われるお香業界の今をさまざまな観点で紹介しながら、お香の未来について考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

香木・香

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集める愉しみ:香木編

「香木との出会い」については前に書いた。強面からいただいた「木」について、その後にもう少し触れたい。

ピンセット香道を続けているうちに、必然であろうが「香道」にも興味が湧いてきた。こんなにも良い香りがするものが他にもあるのか!手元にある木は、何に分類されるものなの?教えてもらいたい気持ちが強くなっていった。

仕事にかこつけて、強面を訪問。商談は早々に切り上げ、早速香道について話を聞いた。すると

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集める愉しみ:皮革編

「香木」の他にも好きなことがある。皮革製品。特にバッグには目が無い。この傾向は女性に多いと聞くのだが、思い当たる節がある。私は男性だが、心は女性的な方だと常々思っていて、私たち夫婦はどこか、性別逆転の傾向がある。妻の名誉の為に書き添えておくが、彼女は大変女性的だ……。

皮革と言っても色々あるが、その中でもエキゾチックレザーには強烈な興味がある。クロコダイルやオーストリッチ……これも祖父の影響が多

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家と香木

特に隠していたつもりはないが、香木が好きだということを特に言わずにいた。

周りに知られたのは結婚式がキッカケだった。会場入り口に、電子香炉と、当時持っていた香木の中で好みのものをすべて展示して、聞香ができるようにしたのである。それが元で、妻の友人には、式の最中に不安な眼差しで「なんか変な木が好きなんですね」と言われた。隣の妻は大笑いするだけで弁明せず。初めて会った妻の友人に必死で説明し、「良いご

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「無為」 ~ つらつら匂い考 ~

香りは苦手、匂いが好き。

香道のお稽古を十年以上続けておきながら、敢えてそう言ってしまう。

香りは表現、匂いはありよう。
匂いは内から、香りは外へ。
香りは手招きをし、匂いは後ろ髪を引く

「香り」が人や物の“佇まい”に重なったその時、私の中はでえも言われぬ「匂い」に昇華する。

そんな言葉遊びはさておき、隠しおおせぬ本質が滲み出るのは”におい”の領域ではないだろうか。
かぐわしい「匂い」はも

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香木と妻

2016年に10年以上お付き合いを続けてきた中学校の同級生と結婚した。中学の頃から「私は看護士になる」と宣言してきた妻は、その夢を叶え、現在もその仕事を続けている。誇り高く仕事をし、家事もそつなくこなす妻には本当に頭が上がらないのだが、一つだけ大きな不満があった。

それは、私の大好きな「香木」を「そこら辺に落ちているような木じゃん」と一蹴すること。これに関しては私も黙っていられないと、言い争いを

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祖父母の香りと“去来”

私は自他ともに認めるおじいちゃん・おばあちゃん子である。大好きだったふたりは、もうこの世にはいない。しかし、今でも私の心の大きな支えである。だから、どんなに仕事が忙しくても、1カ月に必ず1回は墓参りに行く。

祖父母の墓石には、祖父の字で「去来」という文字が書かれている。祖父母とはあれほどたくさん話をしてきたのに、なぜ「去来」なのか知らずじまい。祖父の血を色濃く継いだと親戚中に言われるが、やはりそ

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ピンセット香道

入澤香木研究所
「敷居が高い」と思われがちの香木・香道ですが、私は単純に香木の香りに魅了され過ぎて、その敷居を感じる間もなく不躾に接してしまったと今さらながら猛省しています。しかし、香木・香道を通じて私と関わっていただいた方々は、皆様素晴らしい人間力をお持ちでした。この連載は若輩者である私にご指導・ご鞭撻下さった諸先輩方、そしてこれから香木に触れることになる方に向けて、これまでの感謝とともに、香木

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「路面」~ 闘場(アレーナ)の香気 ~

余白の匂い
香りを「聞く」と言い慣わす世界に迷い込んで十余年。日々漂う匂いの体験と思いの切れ端を綴る「はなで聞くはなし」 

前回の記事:「水際」 ~ 塩素と陽射しとちょっとハナミズ ~

昔雑誌で見かけたフレグランスの紹介が妙に印象に残った。
焼けたゴムの匂い、火打石の匂い、なめし革の匂い…

狭かった私の嗅覚の地平線をザクりと切り拓く新鮮な語彙達。
”…男たちの心に潜む闘争心に火をつける香りの

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「水際」 ~ 塩素と陽射しとちょっとハナミズ ~

余白の匂い
香りを「聞く」と言い慣わす世界に迷い込んで十余年。日々漂う匂いの体験と思いの切れ端を綴る「はなで聞くはなし」

土曜の朝のクリニックはすっきりと空いていて、窓の下の見慣れたアーケードも整然と開店の時間を待っている。待合室の棚から手に取ったコミックでは、高校生の帰宅部コンビが川沿いの階段に腰かけてとりとめのない会話で時間を潰している。やんちゃそうな方のモーレツな関西弁がページから溢れ出す

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香木への招待

入澤香木研究所
「敷居が高い」と思われがちの香木・香道ですが、私は単純に香木の香りに魅了され過ぎて、その敷居を感じる間もなく不躾に接してしまったと今さらながら猛省しています。しかし、香木・香道を通じて私と関わっていただいた方々は、皆様素晴らしい人間力をお持ちでした。この連載は若輩者である私にご指導・ご鞭撻下さった諸先輩方、そしてこれから香木に触れることになる方に向けて、これまでの感謝とともに、香木

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