OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

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記事

「散歩」 ~ 雨の匂いのする街 ~

部屋の観葉植物に水やりをしていたら、思い切り立ち上がった緑の匂いに鼻がびっくりしてしまったことがある。
「ぷっはーッ!」
ビールの第一声が聞こるような見事な飲みっぷりに、以来見慣れていたヤシ科の鉢植えは一緒に呼吸する”同居人”になった。

コロナによる自粛生活で、散歩が日常になっている。
雨催いの空であっても、いそいそと出かけてゆく優雅な新習慣。こと「雨上がり」の贅沢さには時を忘れる。

草木がい

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なんたって源氏物語②

前回の記事はコチラから:なんたって源氏物語①

「源氏物語を通読したことがありますか?」という問いに、おずおずと手を挙げたのは、なんとわずかお二人だけ。しかもそのうちのおひとりは「『あさきゆめみし』なんですけど、、、、」。
えええ~意外!!! ふうぅ、助かった、、、という心からの安堵を顔には出さず、穏やかに言葉を続ける。「大丈夫です、全く問題ありません。『源氏物語』を全部読んでいなくても、源氏香は

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ありがとうございます!
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ホタルイカのはこぶ春は海の匂い

神奈川で育ち、茨城で働き、札幌にも住んだ感想として、家で食べられる日常の魚は富山が美味しい。

冬はブリ、そして蟹をよく食べた。仕入れに定評のあるスーパーで蟹を買って、家で茹でる。独特な匂いを含んだ湯気に包まれながら、鮮やかな朱色に変化する殻をワクワクして眺めた。一人につき一匹の蟹を食べて、茹で汁はスープにした。何度かたてつづけに捌いたことで、捌き方も身についた。指についた蟹独特の生臭さもそれはそ

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٩( ᐛ )و٩
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なんたって源氏物語①

香雅堂スタッフの「ゆう」と申します。香雅堂に勤務して8年目になります。香雅堂で毎月開催している体験香席にて、ご案内役を担当しております。これから体験香席におけるあれやこれやをぽつぽつと語ってまいります。話題はあちこちランダムになると思いますが、どうぞ宜しくお付き合いくださいませ。

さて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、香雅堂では断腸の思いで3月の体験香席から開催を中止と致しました(涙)。

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ありがとうございます!
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「墨香」~ ゆららさららと ~

在宅勤務生活から2ヶ月。リモートワーク前の朝の時間、この頃は気軽なお習字の稽古に充てている。

新型ウィルスのニュースにも何だか疲れてしまった。
「毎日誰かが誰かを責めている」のが辛くなったのかも知れない。

趣味で続けている「香道」には、嫌でもお習字が付いてくる。組香(くみこう)という”香り当て遊戯”のスコアシートを、筆書きしないとならないからだ。稽古熱心でない私の書は相変わらず拙い。それでも手

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withコロナ時代にお香ができること

こんにちは、お香の専門店・香雅堂の山田悠介です。前にnoteの記事を書いた頃とは、社会の状況が一変してしまいました。私たちの店にも大きな影響が出ています。この記事では、新型コロナウイルスの流行以降、香雅堂に起きた変化や、これからのお香の役割について出来る限り前向きに考えてみたいと思います。

コロナウイルス流行への対応と経営への影響

緊急事態宣言が出る前から、自分たちにできそうな対応として、店舗

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千手観音の御手に山菜

2020年春、海辺から山間部に家族で引越した。
同じ高知県内とはいえ、環境が驚くほど違う。

以前は冬でも夏のような日差しが注いだ温暖なところだったが、今いるところは春先に雪が降ったり水道管が凍結するような山の上だ(引越し早々、水道管破裂の洗礼を受けた)。

山の上から土佐湾を臨む

引越し作業は、田舎でも疫病のニュースで持ちきりとなった頃で、お世話になった人にろくに挨拶もできないままだ。未だ「引

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毘沙門天✨
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ゆびさきとタブレットは苺の匂い、味はどこまで味なのか

子どもがわたしの頰に手をおくと、ふわっとただよう苺の匂い。手づかみ食べの季節は過ぎて、フォークで食べているはずなのに、しっかり香るこれはたしかに甘酸っぱい、間違えようのない苺のもの。

苺の匂いはとても強いんだなあと思って、それから、匂いからこんなにはっきり想起される苺とはつまり、この匂いなんではないか、と思った。

ためしに鼻をつまんで苺を食べてみる。甘みと酸味のあるジューシーな何かだとは感じる

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そうですか、それは嬉しい!
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「Vinyl」 ~ 12インチ聞香(もんこう) 〜

コロナウィルスの声が聞こえ始めた2月の初め。法事帰り、人気の少ない京都寺町通りを歩きながらふと目に付いた店に入った。雑居ビルの2階、本か雑誌で見かけた名前。何の店だったかよく覚えてはいないが、古書かレコードかそのあたりだ。

狭い階段を上がってドアを開いたとたんに、懐かしい匂いが鼻をかすめた。古本屋とはひとくせ違うホコリ&カビ臭さは、塩化ビニール「塩ビ」のそれだ。

狭い店内にはレコード盤が入った

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子どもから他の女の匂いを感じた日と、香りの自由みたいなもの

子どもを抱っこすると、おばあちゃんの家のバスクリンみたいな、ちょっと懐かしくなる、人工的ないい匂いがした。

それははじめて一時保育を利用して、迎えに行った子どもを抱き上げた時だった。お風呂でも入れてもらったの?と思いながら、匂いと預けたことの関係も判然とはしなくて、ただその日はずっと、いい匂いがするなあと思っていた。

また違う保育園に預けた日、やっぱり子どもから芳香が漂った。なんか、いい匂いが

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ありがとうございます!スキです!
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