OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

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オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

こんにちは、お香の交差点OKOCROSSINGを運営している麻布 香雅堂代表の山田です。

お香をはじめとする和のかおりの専門店・香雅堂を手伝い始めておよそ10年が経ちました。思うところがあって初めてこのような文章を書くに至っています。みなさまにあまり馴染みのないと思われるお香業界の今をさまざまな観点で紹介しながら、お香の未来について考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

香木・香

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ありがとうございます!
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ケロヨン堂は芳香剤の匂い──正しくないものと子ども

ステイホームのさなか、無性に不真面目なものが摂取したくなって、本棚にある蛭子能収のマンガを手に取った。読んでいたら、子どもが奪っていって、パラパラページをめくっている。しばらくそのままほっておいたら、内容を見た夫が「捨てる!」と激怒。いや捨てないよとヘラヘラしながら、これが一般社会の反応なのかなとしみじみした。

わたしが読んでいたのは『わたしは何も考えない』という一冊のなかの、「わたしは真剣な話

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そうですか、それは嬉しい!
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なんたって源氏物語③

源氏物語を通読して驚いたのは、華やかなイケメンとして女性たちを虜にする、誰もがイメージする姿は前半だけで、残りは都落ちあり、心理的な葛藤あり、諸行無常感漂う暗い闇が支配する世界が広がっていたことです。しかも、全54帖のうち42帖から以降、つまり全体の約1/4は光源氏が亡き後の物語とは、、、。むしろ私自身はこの「もののあはれ」がたゆたう闇の世界観のほうに魅力を感じます。

ともあれ、源氏物語を通読す

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ありがとうございます!
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「梅雨明け」~ 父の残り香 ~

まもなく父の七回忌を迎える。
そのせいか、この頃ふとその人を思う時がある。

父が亡くなったことで、私はことさらに泣いた記憶がない。同じように母や妹の涙も見たことが無い。一度だけ妹が声を上げて泣いたが、それは直前の体調の変化に気付かなかったことへの”後悔”で、悲しさや寂しさの涙とは違う気がした。

いなくなった実感が乏しいからかも知れない。
「パパのことだから、その辺フラフラしてるわよ。お墓なんか

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小麦粉よ!

ウェブマガジン「アパートメント」の管理人をはじめ、ユニークな活動を展開する浅井真理子さんにご寄稿いただきました。打ち合わせで「食と香りについて書いていただけないか」と相談したところ、ベーグル作りの話に。社会の変化をきっかけに、新しい香りが漂いはじめた浅井さんの暮らしに、触れてみてください。

最近、ベーグルを作るようになった。

もともと料理は好きだし、お菓子作りも手慣れたものだけれど、パン作りに

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家と香木

特に隠していたつもりはないが、香木が好きだということを特に言わずにいた。

周りに知られたのは結婚式がキッカケだった。会場入り口に、電子香炉と、当時持っていた香木の中で好みのものをすべて展示して、聞香ができるようにしたのである。それが元で、妻の友人には、式の最中に不安な眼差しで「なんか変な木が好きなんですね」と言われた。隣の妻は大笑いするだけで弁明せず。初めて会った妻の友人に必死で説明し、「良いご

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「散歩」 ~ 雨の匂いのする街 ~

部屋の観葉植物に水やりをしていたら、思い切り立ち上がった緑の匂いに鼻がびっくりしてしまったことがある。
「ぷっはーッ!」
ビールの第一声が聞こるような見事な飲みっぷりに、以来見慣れていたヤシ科の鉢植えは一緒に呼吸する”同居人”になった。

コロナによる自粛生活で、散歩が日常になっている。
雨催いの空であっても、いそいそと出かけてゆく優雅な新習慣。こと「雨上がり」の贅沢さには時を忘れる。

草木がい

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なんたって源氏物語②

前回の記事はコチラから:なんたって源氏物語①

「源氏物語を通読したことがありますか?」という問いに、おずおずと手を挙げたのは、なんとわずかお二人だけ。しかもそのうちのおひとりは「『あさきゆめみし』なんですけど、、、、」。
えええ~意外!!! ふうぅ、助かった、、、という心からの安堵を顔には出さず、穏やかに言葉を続ける。「大丈夫です、全く問題ありません。『源氏物語』を全部読んでいなくても、源氏香は

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うれしいです!
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ホタルイカのはこぶ春は海の匂い

神奈川で育ち、茨城で働き、札幌にも住んだ感想として、家で食べられる日常の魚は富山が美味しい。

冬はブリ、そして蟹をよく食べた。仕入れに定評のあるスーパーで蟹を買って、家で茹でる。独特な匂いを含んだ湯気に包まれながら、鮮やかな朱色に変化する殻をワクワクして眺めた。一人につき一匹の蟹を食べて、茹で汁はスープにした。何度かたてつづけに捌いたことで、捌き方も身についた。指についた蟹独特の生臭さもそれはそ

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今日はいい日になりますよ。
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なんたって源氏物語①

香雅堂スタッフの「ゆう」と申します。香雅堂に勤務して8年目になります。香雅堂で毎月開催している体験香席にて、ご案内役を担当しております。これから体験香席におけるあれやこれやをぽつぽつと語ってまいります。話題はあちこちランダムになると思いますが、どうぞ宜しくお付き合いくださいませ。

さて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、香雅堂では断腸の思いで3月の体験香席から開催を中止と致しました(涙)。

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「墨香」~ ゆららさららと ~

在宅勤務生活から2ヶ月。リモートワーク前の朝の時間、この頃は気軽なお習字の稽古に充てている。

新型ウィルスのニュースにも何だか疲れてしまった。
「毎日誰かが誰かを責めている」のが辛くなったのかも知れない。

趣味で続けている「香道」には、嫌でもお習字が付いてくる。組香(くみこう)という”香り当て遊戯”のスコアシートを、筆書きしないとならないからだ。稽古熱心でない私の書は相変わらず拙い。それでも手

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