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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2023年6月の記事一覧

世界経済は奇妙な "股割き" 状態。ー 日本は "ゴルディロックス" ?

世界経済は奇妙な "股割き" 状態。ー 日本は "ゴルディロックス" ?

 金利市場に20年以上従事した「損切丸」だが、こんな事態は見たことがない。CPI(消費者物価指数)が下がらない国と急落する国。言わば奇妙な "股割き" 状態になっている。特にヨーロッパが複雑で、高止まりするイギリス、ドイツに対しスペイン、ギリシャは急落 ↓

 2022.12.12 コロナ後の世界 Ⅳ - 「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?(続編)|損切丸 (note.com) が予想通り

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相場に "行き過ぎ" なんてものはない。ー マーケットは "リアル" の積み重ね。

相場に "行き過ぎ" なんてものはない。ー マーケットは "リアル" の積み重ね。

 ドル円が@144円を超えて慌てたのだろうが、毎回こういう発言を見ると溜息が出る。相変わらず市場には "ショッカー" のような悪党が蠢いて悪さをしているという「昭和的発想」。まあ70歳のお爺ちゃんだから介入でどうにかなったドル円しか知らないのだろうが、AI等取引が高度化している現在誰かが意図的に相場をつり上げることは不可能。ドル円のような主要市場なら尚更だ。何ならご自分でFXでポジションを持って見

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「景気後退」は本当に「利下げ」に繋がるのか? ー 「スタグフレーション」のリスク。

「景気後退」は本当に「利下げ」に繋がるのか? ー 「スタグフレーション」のリスク。

 米国債を中心とした「金利相場」は次のステージに突入。ポイントは「景気後退」は本当に「利下げ」に繋がるのか?

 現状の米国債の「イールドカーブ」( ↑ 標題グラフ)からマーケットのシナリオを紐解いてみよう:

 このシナリオはFX、株、コモディティ(商品市場)でも共有されている。気が付いている方もいるかもしれないが、このところ5~10年ゾーンは金利がブンブン動き、株やFXも振り回されている。それ

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「金利」と「イールドカーブ」が指し示すもの。ー 際立つ日本の "異常性" 。

「金利」と「イールドカーブ」が指し示すもの。ー 際立つ日本の "異常性" 。

 BoE (Bank of England、英国中銀)が+0.5%「利上げ」を決定した。5月のCPIが+8.7%(←前月+8.7%)と高止まりしたことで一部の市場関係者は予想していたが、「利上げ」を一時停止したFRBとは対照的だ。

 これは ”コモン・ウェルス” (Commonwlth、旧英国連邦国)のオーストラリアやカナダにも言える事だが、法体系等が似通っているため人件費や「家賃」が上がり易い

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続・日本の「インフレ」の正体。ー 「家賃」が決め手の「低インフレ」。

続・日本の「インフレ」の正体。ー 「家賃」が決め手の「低インフレ」。

 日本の「インフレ」の正体。|損切丸 (note.com) の続編。今回は「家賃」に焦点を当てる。

 分譲マンションの高騰とともに賃貸マンションの家賃も上昇しており、2023年5月の首都圏・分譲マンション賃料は@3,498円/㎡(前月比+0.1%)と7ヵ月連続で上昇、東京都は@4,037円/㎡(+1.6%)と8ヵ月連続で上昇し、集計開始以降で初の@4,000円/㎡の大台に達した。

 「コロナ危

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変えようとしなければ何も変わらない。ー「現状維持」「先送り」の限界。「リスク」は必ず存在する。

変えようとしなければ何も変わらない。ー「現状維持」「先送り」の限界。「リスク」は必ず存在する。

 もう何十回目だろう、この文言を見るのは。「損切丸」が「円」を担当していた22年間、8割方はこう。それでもやってこれたのは1,000兆円を超える「預金」という "蓄え" のお陰でもあるのだが、決して日本経済が順風満帆、ほとんど「変化」が無かったという訳でもない。

 特に2008年「リーマンショック」以降の強烈なデフレは世界経済史にも稀に見る「大事件」であり、それ故「量的緩和」(QT、 Quant

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思ったより堅調? アメリカ経済。ー 銀行の「信用収縮」とのギャップ。

思ったより堅調? アメリカ経済。ー 銀行の「信用収縮」とのギャップ。

 昨日(6/16)、アメリカでは興味深い先行指標が出ている。

 まず消費の先行きを示すミシガン大学指数だが予想以上に改善。中古車価格の落ち着きなど、やはり物価上昇が柔らいできた影響が大きい。

 やたら "反省" の多い日本人と違いアメリカ人は「安くなったら買う・使う」が体に染みついてる。だからFRBがこれ程執拗に「利上げ」を続け「インフレ」を抑えようとする。結果的に米経済にプラスだからだ。

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 "保険" を掛けて勝負に出たFRB。ー 「インフレ」>「景気」「信用収縮」の明確化。

"保険" を掛けて勝負に出たFRB。ー 「インフレ」>「景気」「信用収縮」の明確化。

 勝負に出るFRB。ー 気になる「中国」「原油価格」の異変。|損切丸 (note.com) からの繋がりで。

 某投資会社から昨日のパウエル議長の記者会見についてこういうコメントがあったが、ウォール街には戸惑いと失望が渦巻いている。

 今回のFOMC声明文を読むと、内容はほぼ前回を踏襲。やはり非農業部門雇用者数(NFP)が目処となる+20万人を大きく上回っている事などが引っ掛かっているのだろう

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勝負に出るFRB。ー 気になる「中国」「原油価格」の異変。

勝負に出るFRB。ー 気になる「中国」「原油価格」の異変。

 「何だ、FXの画面壊れたのか?」

 低下が予想されていた米CPIだが、やや弱めの数字。直後の市場は荒れ模様で、ドル円は@139円台前半から後半まで "秒" 単位で行ったり来たり。指標前後に取引をしていた "Mrs. Watanabe" はさぞ大変だったろう。

 荒れたのは米国債も同様。2年債が売られるのに10年債が買われたりイールドカーブはグチャグチャ。だが、「利上げ」は止まるかもしれないが

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逃げ出す「お金」。向かう先は...。その後。ー 「インフレ」で「お金」が足りなくなる。

逃げ出す「お金」。向かう先は...。その後。ー 「インフレ」で「お金」が足りなくなる。

 2022.3.25. 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸 (note.com) の続編。前回は「円安」に焦点を当てたが、この3年間「円」は対ドルで▼30%近く減価しており、まさに「円」から逃げ出した。特に黒田前総裁が「国債無制限買取オペ」を発動してから急加速。「預金」は名目約1,100兆円で変わっていないが、ドル換算では▼300兆円近く資産価値を失った事になる。これでは日本人が ”貧し

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日本の「インフレ」と「金利」。ー 2つのシナリオ。

日本の「インフレ」と「金利」。ー 2つのシナリオ。

 先週末のやや強めの米雇用統計を受けて金利急落から反騰した米国債。2023年に入ってからドル金利は「利下げ」期待(都合?)からの急低下と「インフレ」確認による急反騰を繰り返しており、相場のボラティリティー(変動率)が高まっている。まあ動けば何でも良いウォール街にとっては好都合とも言えるが、何とも心許ない相場付きではある。

 これに振り回されているのは日本も例外ではなく、特に昨年末の「YCC上限金

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嘘はいかん、嘘は。ー またも日本の十八番 ”先送り戦略” 。

嘘はいかん、嘘は。ー またも日本の十八番 ”先送り戦略” 。

 皆さんのお手元にも届いただろうか?

 2023年8月からの「電気料金見直し(=値上げ)のお知らせ」である。覚悟はしていたがこれは酷い。百歩譲ってこれも「インフレ」の一環と諦めるとしても、「お知らせ」冒頭の ”言い訳” に腹が立つ。

 嘘はいかん、嘘は。

 本当の所は:

 こんな所だろう。

 処理水等々、嵩む原発事故の処理コストも回収したいのだろうが、本来エネルギー戦略の失敗を認め消費者

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