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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2022年6月の記事一覧

「分断」に向かう世界 Ⅲ。ー 金利から見る「ドルからちぎれた経済圏」。

「分断」に向かう世界 Ⅲ。ー 金利から見る「ドルからちぎれた経済圏」。

 彼の専制国家の外貨建国債が "遂に"「デフォルト」になった。とは言っても格付会社も既に格付を止めているし、海外投資家保有のルーブル建資産は実質売却禁止になっているため、マーケットには波風も立たなかった。折しもG7が開催されている最中で象徴的意味合いしかなかったのだが、まさに「ドルからちぎれた経済圏」ということになる。

 こうなるとアメリカが作り上げた「マーケット資本主義」からは離れた経済圏を作

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アジア通貨もおかしい。ー 急激な「円安」が導く「インフレの輸入」。

アジア通貨もおかしい。ー 急激な「円安」が導く「インフレの輸入」。

 年初来▼18%近く安くなっている「円」がFXでは2022年の主役なのは間違いないが、ここにきて他のアジア諸国に波及してきた。輸出条件を有利にする「通貨安」は、通常「近隣窮乏化政策」などと言われ批判の対象となるが、世界的「インフレ」が激しくなって「通貨高競争」に転じている。

 例えばフィリピン。5月に続いて+0.25%「利上げ」を決定し、政策金利は@2.50%に。「通貨安」から来る「輸入インフレ

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日米金融政策の絶望的 ”差” 。ー @22 Jun ’22 パウエル議長の議会証言から。

日米金融政策の絶望的 ”差” 。ー @22 Jun ’22 パウエル議長の議会証言から。

 「FRB、積極利上げを継続」

 昨日(6/22)、パウエル議長の議会証言直後の日本語のヘッドラインがこれ。「ドル金利上がってるんだろうな」と思ったら全く逆。米国債金利は特に1~2年ゾーンが大きく低下し、7月以降+0.75%「利上げ」は一旦消滅。

 証言では、マーケット、特に米国債やドル金利市場にとって変化を促す重要な要素が盛り込まれていたので、抜粋でご紹介しておこう。

 Testimony

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「リスク」と「リターン」の考え方。 ー 「安全資産」を疑ってみる。

「リスク」と「リターン」の考え方。 ー 「安全資産」を疑ってみる。

 怒濤の1週間が過ぎた。FOMCだけかと持ったらECBの緊急会合にスイス、日銀のおまけつき。さすがに疲れたので「基本」に立ち帰って頭を整理してみよう。欧米では投資の ”勉強” で必ず出てくる "Risk & Return" 。

「銀行預金は株より安全」

 高齢者を中心に日本ではこう信じて疑わない人が多いが、これは本当か?

 答え: うそ

 「インフレ時代」突入で最近気がつき始めた人が増え

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 "スイス・ショック" ? ー  ♪ 相場はジェットコースター ♪ 。

"スイス・ショック" ? ー  ♪ 相場はジェットコースター ♪ 。

 「あれっ、ドル円@132円台? 何だ、どうした」

 FOMC前後の米国債も酷かったが、その翌日(6/16)も凄かった。まさに「ジェットコースター」。ツイッターの「トレンド」を見てやっと気が付いたが、どうもSNB(Swiss National Bank、スイス中銀)が犯人らしい。突然の+0.5%「利上げ」でマーケットはフイをつかれた。スイス・フランはドイツ・マルクと共に担当していた時期もあり懐か

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 "仁義なき" 米国債市場。

"仁義なき" 米国債市場。

 ”Sell the Rumour, Buy the Fact" (噂で売って事実で買え)とはいうものの、昨日(6/15)の米国債市場は酷かった(苦笑)。FOMCで+0.75%「利上げ」が決定され、更にパウエル議長が7月に再度+0.75%「利上げ」を示唆したにも関わらず、金利は大幅低下。

 ほんの2日前の「利上げ予報」でFRBの政策金利到達点は@4.0~4.25%。

 それが昨日FOMC後は@

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続・ ”バズーカ” の後始末 ー マーケットは国債先物、スワップ等多方面から「総攻撃」。

続・ ”バズーカ” の後始末 ー マーケットは国債先物、スワップ等多方面から「総攻撃」。

 6/15 ”国債先物は▼2円超の急落で安値引け、サーキットブレーカー発動”

 ”バズーカ” の後始末 ー 「10年日本国債@0.25%無制限買取オペ」の深層。|損切丸|note の続編。

 ”バズーカ” の後始末が大変になっている。*国債先物が▼2円急落でサーキットブレーカーが発動されるのを久しぶりに見た(ちょっと懐かしい)。日銀とはいえ官僚・サラリーマンの端くれであり、「親分」の顔に泥を塗

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「分断」に向かう世界 Ⅱ。ー 「新・鉄のカーテン」とマーケットの「二重化」。

「分断」に向かう世界 Ⅱ。ー 「新・鉄のカーテン」とマーケットの「二重化」。

 「分断」に向かう世界。 ー 為替レートが示唆する ”パラレルワールド” 。|損切丸|note の続編。

 「ルーブルより安い円」

 大分 "うまい話" には「裏」がある。ー「ルーブル高」の "カラクリ" 。|損切丸|note の理解が進んできたが、未だにこういう比較をする人がいる。実は対ドルの為替レートなら3月以降の ”最強通貨” はルーブル。開戦直後こそ@100を超えて暴落したが、今や開戦

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市場を支配する ”恐怖” 。ー 市場の歴史は "Bubble & Crash" の繰り返し。

市場を支配する ”恐怖” 。ー 市場の歴史は "Bubble & Crash" の繰り返し。

 「景気後退懸念から株価が急落」

 日本でも朝からこういうニュースが流れているが、これはおかしい。景気が後退するなら「利上げ」など不要なはず。「悲観」が大好きな日本らしい伝え方だが、今問題となっているのはむしろ景気の「過熱」。つまり「インフレ」である。「過熱」していない日本では上手く伝えられないので「アメリカのせい」となってしまうのだろう。「黒船」以来繰り返される「何でも人のせい」≓「他人依存」

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 "風雲急" を告げる国債市場。ー "暴風雨" は為替、株式市場へ。

"風雲急" を告げる国債市場。ー "暴風雨" は為替、株式市場へ。

 今日(6/13)のNY市場を見てから note. しようと思っていたが、この展開は ”ヤバイ”(どこかの週刊誌のよう?)。まさに "風雲急" 。国債金利の上昇が止まらない。仕方がないのでここで寄稿する(苦笑)。

 いよいよ6/15にはFOMCが開催されるが、市場の一部には+0.75%「利上げ」まで浮上。確かにここからの更なる金利上昇にはそのぐらい ”覚悟” が必要だ。 ”バイデンフレーション”

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「利上げ」予報 @6/10/2022。ー まずは「インフレ」退治を最優先。「株価維持」は一旦あきらめるしかない。

「利上げ」予報 @6/10/2022。ー まずは「インフレ」退治を最優先。「株価維持」は一旦あきらめるしかない。

 5月米CPI(年率) +8.6% 予想 +8.3% 前月 +8.3%

 「そろそろインフレは沈静化するだろう」

 ウォール街を中心とした ”願望” に近い予測は粉々に打ち砕かれ、金利低下 → 株価上昇のシナリオは頓挫。金利は低下するどころか、米国債1~5年債で+20BPも上昇した。

  "ささやかな抵抗" が5~10年債の ”逆イールド” だが、現時点ではこれも無理筋。何とか金利を下がる方

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ECBがFRBを超える日。ー 中央銀行が掲げる金融政策の "目的" の違い。

ECBがFRBを超える日。ー 中央銀行が掲げる金融政策の "目的" の違い。

 「1ヶ月の電気代が13万円」(イタリア)
 「ガソリン満タンで@17,000円」(イギリス)

 何故1ヶ月先の事を ”予言” と言う形にしたのか判らないが、とにかくECBが7月理事会で+0.25%「利上げ」する事を決定。欧州国債金利は素直に金利上昇で反応し、ギリシャの10年国債金利はあっさり@4%越え。かつての「高金利国」イタリア、スペインがこれに続く。

 ここで日米欧の中央銀行が課されてい

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「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。

「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。

 「@135円台も」なんて呑気な事を言っていたら、あっという間に@134円台。目処どころか単なる ”通過点” になる蓋然性が高くなってきた。日本の "トルコ化" (?)|損切丸|note では、まあ5年ぐらい猶予があるかと "楽観" していたが、どうも3年ぐらいに短縮された感じである。

 クレディ・スイスの投資銀行部門が第二四半期赤字転落のニュースが伝えられているが、株価の調整でファンドも銀行も

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今の「値上げ」は「インフレ税」。結局は「お金」の問題。

今の「値上げ」は「インフレ税」。結局は「お金」の問題。

 6/6 日銀黒田総裁「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」

 この報を受けて、さすがにネットが荒れている。お給料が「値上げ」程上がらない中、みんな怒るのは当然だろう。

 ”バズーカ” 以来の金融政策を自身で擁護するしかないので、こういう「浮き世離れ」した発言にならざるをえないが、トップエリートの官僚は一般庶民の生活など眼中にない。あるのは「保身」と「出世」だけである。

 政治的には

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