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深読みライフ・オブ・パイ&読みたいことを、書けばいい。

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2021年7月の記事一覧

シン・日曜美術館『ボッカチオのデカメロン』ⅩⅨ

シン・日曜美術館『ボッカチオのデカメロン』ⅩⅨ

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1989年5月某日(日曜)
深読み探偵学校

燃料は燃料でも、磔刑の最後に火をつけるための「藁」です…

つまり「藁の街」とは「処刑場」のこと…

え?

そもそもダンテが地獄・煉獄・天国巡りをしたのは、西暦1300年の聖金曜日のこと…

つまり、イエス・キリストが十字架刑になった日の出来事なのですよ…

あっ…

本来なら山根や芹沢の肩書をシジェーリと同じく「元パリ大学教授」にし

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シン・日曜美術館『ゴジラ 神曲 春と修羅』4

シン・日曜美術館『ゴジラ 神曲 春と修羅』4

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1989年5月某日(日曜)
深読み探偵学校

国難?

全壊した建物が約10万9000棟、全焼が約21万2000棟…

190万人が被災、10万5000人あまりが死亡あるいは行方不明になったと推定…

帝都東京が破壊され焼き尽くされて、大勢の人々が亡くなり、運よく生き延びた人の多くも死ぬか生きるかの瀬戸際にあったのに…

とし子がどうしたとか言ってる場合ではないでしょう…

東京

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シン・日曜美術館『ゴジラ 神曲 春と修羅』5

シン・日曜美術館『ゴジラ 神曲 春と修羅』5

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1989年5月某日(日曜)
深読み探偵学校

それでは賢治が見たトシの姿も妄想だったと?

ダンテが見たベアトリーチェも妄想の産物?

当たり前でしょう!これらは創作物です!

いくら何でも現実と虚構の区別くらいはつきますよ!

ずいぶんと疑り深い性格なのですね、あなたは…

それでは『不貪慾戒(ふとんよくかい)』の、次の心象はどうでしょう?

粗剛なオリザサチバといふ植物の人工群

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シン・日曜美術館『ゴジラ 神曲 春と修羅』6「余談 賢治と坊っちゃん」

シン・日曜美術館『ゴジラ 神曲 春と修羅』6「余談 賢治と坊っちゃん」

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1989年5月某日(日曜)
深読み探偵学校

夏目漱石が「野だいこ」に名付けさせた「ターナーの松」とは『The Golden Bough』…

いわゆる『金枝』のことです。

『金枝』ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー

きんし?

『地獄の黙示録』でマーロン・ブランド演じるカーツ大佐が読んでいたジェームズ・フレイザーの『金枝篇』のこと?

そうだ。

あのターナーの絵は、冥

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』①

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』①

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1989年5月某日(日曜)
深読み探偵学校

ボッカチオ『デカメロン』の授業なのに、『ゴジラ』や『春と修羅』の話になって、最後は夏目漱石の『坊っちゃん』が宿題だなんて…

まったく木又先生の「深読みアート論」は、わけわかめだな。

うむ…

そういえば、夏目漱石『坊っちゃん』と宮沢賢治『春と修羅』の共通点って何だったの?

漱石と賢治って、まったく関連性がないように思えるんだけど。

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』②

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』②

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1989年5月某日(日曜)

岡江君…

本当にこの道で合ってるのか?

うん… こっちで間違いないと思うんだけど…

学校の裏門から歩いて二三分の距離だと君は言ったよな?

おかしいなあ…

サンドロビッチ先生と来たときは、すぐに着いたような気がしたんだけど…

道を間違えたのでは? 最初に通った十字路を左ではなく…

いや。こっちで合ってると思う。確かこの階段の先に看板が…

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』③

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』③

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1989年5月某日(日曜)午後
藪蔦屋

大浴場

ふぅ。いい気持ちだなあ。

文字通りGOTO HEAVENだよ。極楽極楽。

雨もすっかりやんでしまった。あの土砂降りが嘘みたいだ。

今となっては土砂降り様様だな。僕らを天国へ導いてくれたんだから。

君の方向音痴にも感謝しなければ。

見渡す限りの竹林も見事だね。

まるで竹取物語の世界、平安時代に迷い込んだみたいだ。

こん

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』④

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』④

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1989年5月某日(日曜)午後
藪蔦屋

ぼ、僕は腹が減ってるんだ!

ああ!早く天麩羅蕎麦が食いたい!

早く僕らの部屋へ案内してくれ!

はいはい。お二人さんの部屋はこちらぞな、もし…

それにしても、この店には座敷がたくさんあるんですね…

「鷗外の間」の隣は… 「江戸川の間」?

そ、そこは…

「江戸川の間」だと?

どうせ今度は「窓から江戸川が見えます」とか言うんだろう

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑤

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑤

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1989年5月某日(日曜)午後
藪蔦屋

さあ、お二人さんのお部屋に案内しますぞな、もし…

どうぞこちらへ…

ここですか? らいてうの間?

ははーん。なるほど。読めたぞ。

「らいてう」とは雷鳥。ここは平塚明太子の間だな。

明太子?

すまん。先程の「倦怠期です」につられてしまった。

平塚雷鳥こと平塚明子だ。

彼女が中心になって立ち上げた「青鞜社」は、日本初の女性による

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑥

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑥

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1989年5月某日(日曜)午後
藪蔦屋

デザート遅いね。すぐ持ってくるって言ったのに。

暇つぶしに、床の間の掛け軸でも見てるか。

大きな木の隣に美女が立ってる絵だね。

老木と美女…

もしや『坊っちゃん』のマドンナ?

なるほど「ターナー島」だね。そうだったら奇遇だな。

このマドンナ像を描いた人が、この部屋の名前になってる「りうてい」なのだろうか?

漢詩も書いてあるけど

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