おちもり

松屋派でアラサーのOL。ちょっぴりエッチです。

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固定された記事

「育ちの悪い人」だけが知っていること

 花の蕾がほころび始めた頃、私は私の出自について差別的な発言を受けた。「育ちが悪い」のに、ごく普通の出で立ちをしているのが不味かったらしい。記憶する限りでは成人…

おちもり
2年前
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人生のB面について

 いつだったか、松任谷由実のアルバム『昨晩お会いしましょう』について「『守ってあげたい』の後に『カンナ8号線』がくるのは唐突じゃない? ここだけベスト版みたいだ…

おちもり
1か月前
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Chut! INTIMATESの思い出

 ランジェリーブランド「Chut! INTIMATES」が今月末でブランドを終了する。昨年の秋頃に第一報を耳にして「そんな!これから、どうしたらいいの?」と動揺したファンは、…

おちもり
5か月前
19

2023年、30代の上京物語

 2023年は激動の年だった。仕事の都合で数年住んだ田舎町から脱出し、都会で新生活を始めた。転居してから10ヶ月近く経過したため今更の感はあるが、このことを中心に1年…

おちもり
6か月前
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YOASOBIが嫌いでしんどい

 タイトルのとおり、YOASOBIが嫌いで嫌いでたまらなくなった。「アイドル」の冒頭の「デン!」を耳にするだけで身の毛がよだつので、もう後戻りできないレベルの異常アン…

おちもり
1年前
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帰省のこと

 下りの新幹線は10分遅れていた。私は当日でも余裕で指定席が取れる上り列車を待ちながら、そのアナウンスを聞く。自販機で買った温かいお茶は、手に取ったそばから冷めて…

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1年前
14

おいしいランチを食べよう

 久しぶりに「おいしいランチを食べよう」と思い立った。ずっと心にゆとりがなかったので、店員相手の事務的な会話すら苦痛に感じたり、料理が出てくるまでの待ち時間をも…

おちもり
1年前
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出会い系掲示板でスケベできなかった話

 失恋の傷は、「時間」か「新しい恋」が癒やしてくれるらしい。松屋のごろごろ煮込みチキンカレーに食指が動かなくなるほど落ち込んだ私は、何日も洗っていないシーツの上…

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1年前
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寂寥だけが道づれ

 だいぶ手痛い失恋をした。失恋の理由は前記事の内容と不可分なので、きっと時間の問題だろうと高を括ってはいたが、燦々と輝く愛おしい日々がもう二度と手の中に舞い戻っ…

おちもり
2年前
14

孤独につける薬(金沢遠征記)

 保険適用の低用量ピルを処方してもらって、自分よりも明らかに若い患者を尻目に、清潔なクリニックを後にする。入口には一年ほど前から「新型コロナウイルス感染症対策の…

おちもり
2年前
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30歳。ひとりで生きられそう?

 私は単にふられつつあるのではないでしょうか。なけなしの慕情で「好きだよ」とメッセージを送っても「俺も好きだよ」とは返ってこない。そもそもしばらく前から、会う約…

おちもり
2年前
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私はタツローでレトリィバァで、ちょっとオードリー・タン

 ことしのゴールデンウィークは、入社5年目にして初めて4連休を獲得した。色々とやりたいことはあったが、カレンダー上の休日と自分自身の休日がこんなにも長く重なるのは…

おちもり
3年前
9

塾の先生

 小学校4年から高校3年の途中まで通った学習塾は、15階建てのマンションの一室にあった。玄関を入ってすぐ右側にある6畳ほどの洋間に、長机とパイプ椅子と本棚が置かれ、…

おちもり
3年前
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ペアーズ活動記③退会

 交際相手ができたので、光の速さでペアーズを退会した。その夜は歯を磨くのもままならぬ酩酊ぶりであったが、ペアーズの退会方法を検索して、着実に実行する知性だけは残…

おちもり
3年前
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ペアーズ活動記②そのぬくもりに用がある

 仕事で課されるよりもヘビーな書類を休みの日に書いていたせいで、この9月はだいぶ忙しかった。そんな中でランナーズ・ハイ気味に実現させたアポ(男性との面会)は3件。…

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3年前
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ペアーズ活動記①ヤリモクとの遭遇、会社の先輩に垢バレ編

 8月下旬にペアーズを始めてみたところ、思いがけず面白い出来事にばかり遭遇するので、筆を取ることにした。ちゃんと出会えている同年代リアル友人の皆さんが使っている…

おちもり
3年前
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「育ちの悪い人」だけが知っていること

「育ちの悪い人」だけが知っていること

 花の蕾がほころび始めた頃、私は私の出自について差別的な発言を受けた。「育ちが悪い」のに、ごく普通の出で立ちをしているのが不味かったらしい。記憶する限りでは成人してから初めてのことで、年齢相応の経験を積み、日々襞を折るように厚みを増してきた私自身の総体を、根本から薙ぎ倒すほどの衝撃があった。

 自身に差別や偏見に晒されやすい属性があるのは、物心ついた頃から自覚していた。「属性」とは家族構成に関す

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人生のB面について

 いつだったか、松任谷由実のアルバム『昨晩お会いしましょう』について「『守ってあげたい』の後に『カンナ8号線』がくるのは唐突じゃない? ここだけベスト版みたいだよね」と母に話したら、LP盤だと『守ってあげたい』がA面の最後の曲、『カンナ8号線』がB面の最初の曲なのだと教えられた。平成生まれでレコードと縁のない生活をしてきた私は、同作のCD盤しか手に取った経験がない。時間が経って渾然一体となった物に

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Chut! INTIMATESの思い出

Chut! INTIMATESの思い出

 ランジェリーブランド「Chut! INTIMATES」が今月末でブランドを終了する。昨年の秋頃に第一報を耳にして「そんな!これから、どうしたらいいの?」と動揺したファンは、きっと私だけではないだろう。唯一無二の魅力があるブランドで、長年の愛用者も多かったに違いない。ここ5年くらい、私のインナーワードローブはChut! の下着(ブラショーツ以外のインナーも含む)の独占状態にあった。

 23歳で親

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2023年、30代の上京物語

2023年、30代の上京物語

 2023年は激動の年だった。仕事の都合で数年住んだ田舎町から脱出し、都会で新生活を始めた。転居してから10ヶ月近く経過したため今更の感はあるが、このことを中心に1年を振り返って書き留めておく。なお、私の現住所は1都3県の3県のうちの1県であり、東京都内ではない。しかし、東京都心が通勤圏生活圏に含まれるようになったなら、それは「上京」と呼んでも差し支えないのではないか。実際、東京ドイツ村よりはだい

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YOASOBIが嫌いでしんどい

 タイトルのとおり、YOASOBIが嫌いで嫌いでたまらなくなった。「アイドル」の冒頭の「デン!」を耳にするだけで身の毛がよだつので、もう後戻りできないレベルの異常アンチである。

 なぜ今更、と私自身も疑問に思う。Apple Musicのプレイリストに彼らの楽曲が現れても平然と聴き流していたし、過去2回の紅白歌合戦出場時もわりと楽しく視聴した覚えがある。強いて挙げるなら「夜に駆ける」よりは、ずっと

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帰省のこと

帰省のこと

 下りの新幹線は10分遅れていた。私は当日でも余裕で指定席が取れる上り列車を待ちながら、そのアナウンスを聞く。自販機で買った温かいお茶は、手に取ったそばから冷めていった。

 満席の車内を何時間も耐え忍んで帰省をする乗客のうち、だいたい何割が久しぶりの家族団らんを心待ちにしているのだろう、と想像する。地方の小さな町にある最寄り駅のロータリーにも迎えの車が列をなしていて、30分無料の送迎用駐車場は埋

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おいしいランチを食べよう

おいしいランチを食べよう

 久しぶりに「おいしいランチを食べよう」と思い立った。ずっと心にゆとりがなかったので、店員相手の事務的な会話すら苦痛に感じたり、料理が出てくるまでの待ち時間をもったいながったりしていた。必要最低限の外食作法に則ることすら億劫になっていた私は、ここ数週間前に自身の状況に好転のきざしを見出してから、多少復調しつつあった。

 向かった先は豊富なランチメニューを売りにしているカフェである。開放的な雰囲気

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出会い系掲示板でスケベできなかった話

 失恋の傷は、「時間」か「新しい恋」が癒やしてくれるらしい。松屋のごろごろ煮込みチキンカレーに食指が動かなくなるほど落ち込んだ私は、何日も洗っていないシーツの上で「失恋 立ち直り方」などと検索し続けていた。コピーペーストが積み重なった夥しいウェブサイト群の中に、ただ一つの救いの言葉を求めた。

 毎日毎日朝起きた瞬間から茫然と頭が働かず、出勤しても顔面蒼白でモニターの光を浴びるばかりでいたら、つい

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寂寥だけが道づれ

 だいぶ手痛い失恋をした。失恋の理由は前記事の内容と不可分なので、きっと時間の問題だろうと高を括ってはいたが、燦々と輝く愛おしい日々がもう二度と手の中に舞い戻ってくることはないと分かったら、口惜しくてたまらなくなった。

 恋が叶わない寂しさ、悲しさ、悔しさの程度は年を取るごとに増していくように思う。30を過ぎてからそのステージが一段上がった。心の成熟する速度は人それぞれなのだろうが、心を外側から

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孤独につける薬(金沢遠征記)

孤独につける薬(金沢遠征記)

 保険適用の低用量ピルを処方してもらって、自分よりも明らかに若い患者を尻目に、清潔なクリニックを後にする。入口には一年ほど前から「新型コロナウイルス感染症対策のため、同伴の方の同席はご遠慮ください」の貼り紙がされていて、ここが未来ある女性のための医療機関であることをまざまざと思い知らされる。薬さえあれば日常生活に差し支えない程度の症状とはいえ、男性社会で壮年期を生き抜くうえでこの病気は重い足枷とな

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30歳。ひとりで生きられそう?

30歳。ひとりで生きられそう?

 私は単にふられつつあるのではないでしょうか。なけなしの慕情で「好きだよ」とメッセージを送っても「俺も好きだよ」とは返ってこない。そもそもしばらく前から、会う約束自体、私のほうから声をかけない限り成立しない状態にあった。これが潮時なのは誰の目にも明らかである。もう婚活なんてしない。どうしようもない私に天使は降りてこない。良くも悪くも彼のおかげで、色々とようやく諦めがついた。恋はしない派(セックスは

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私はタツローでレトリィバァで、ちょっとオードリー・タン

私はタツローでレトリィバァで、ちょっとオードリー・タン

 ことしのゴールデンウィークは、入社5年目にして初めて4連休を獲得した。色々とやりたいことはあったが、カレンダー上の休日と自分自身の休日がこんなにも長く重なるのは珍しいので、4日間のほとんどを彼氏と過ごすと決めた。遠出はできないにしても、近場でゆっくり過ごせばきっと充実した休暇になるだろう。そう考えていた。

 連休の中日に、服が欲しいと言う彼に連れ添って、地域内ではもっとも広いショッピングモール

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塾の先生

塾の先生

 小学校4年から高校3年の途中まで通った学習塾は、15階建てのマンションの一室にあった。玄関を入ってすぐ右側にある6畳ほどの洋間に、長机とパイプ椅子と本棚が置かれ、ホワイトボードが壁にかけてあるだけの簡素な教室だった。平日の夕方5時からと、7時半からの2つの時間枠で、小中学生の補習から大学受験対策まで、幅広い指導がそつなく行われていた。
 今思い返せば驚くべきことだが、これらすべての指導をひとりの

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ペアーズ活動記③退会

ペアーズ活動記③退会

 交際相手ができたので、光の速さでペアーズを退会した。その夜は歯を磨くのもままならぬ酩酊ぶりであったが、ペアーズの退会方法を検索して、着実に実行する知性だけは残っていた。
 交際が決まってからの私は浮かれモードの只中にあり、ロマンティックな経緯を詳らかに語りたい気分を持て余している。だが、第三者にとってのそれは有害コンテンツ以外の何物でもないので、ぐっと堪えてうろ覚えの戦績を以下に記す。

 上記

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ペアーズ活動記②そのぬくもりに用がある

ペアーズ活動記②そのぬくもりに用がある

 仕事で課されるよりもヘビーな書類を休みの日に書いていたせいで、この9月はだいぶ忙しかった。そんな中でランナーズ・ハイ気味に実現させたアポ(男性との面会)は3件。それぞれの所感を簡単に列記する。

①Aさん
 Aさんは、メッセージへのレスポンスが異常に速かった年下の男性である。メッセージとサブ写真から、かなり近所に住んでいることが判明したため、こちらから夕食兼お茶に誘った。容姿の印象は写真よりも遥

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ペアーズ活動記①ヤリモクとの遭遇、会社の先輩に垢バレ編

ペアーズ活動記①ヤリモクとの遭遇、会社の先輩に垢バレ編

 8月下旬にペアーズを始めてみたところ、思いがけず面白い出来事にばかり遭遇するので、筆を取ることにした。ちゃんと出会えている同年代リアル友人の皆さんが使っているペアーズと私が使っているそれは、はたして本当に同じアプリなのだろうか? この記事を書いている段階で既に挫折しそうだが、一応は新たな展開に期待して、タイトルに番号を振っておく。

 この私が「なんとなく婚活してみようかな」と思ったきっかけはコ

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