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#短編小説
世捨て人(Deseo)
目まぐるしく動く人混み。
社会の歯車になっていく哀しみ。
課せられた運命に、抗えない家業。
魂の役目を終えられたのならば。
さっさと歯車から脱却して。
好きな人達集めて幸せな生活をしたい。
数日前まで。
私の魂の役目など終わるはずもなく。
死まで走り続ける覚悟をしていたら。
同じ志を持った方が目の前に現れた。
『彼が変えてくれる』希望を抱いた。
自分の人生を全て賭けてくれた彼。
同じ志を持っ
送粉者(Deseo)
──私は
多くの人間を手玉に取ってきた。
全てが在り来りでそこら中に有り触れて見えた。
少し『魔法』を掛けてやると。
皆、目の色を変え近寄ってくる。
「何奴も此奴も全て同じだ」
「抱き締めてやろうか」と言わんばかりで差し出す岩のような手で撫でられる為に生まれてきた女どもに。呆れ興味も無さそうな納戸色の目で、視線を向け薄笑を浮かべると、白い人生を諦め悟られぬように屍のように、生きる灰色の長髪