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【短編小説】心配かけても
ゴホゴホっ!
わざと大きな声で咳をする。
お母さんが大丈夫?と駆けつけてきて
僕はちょっと胸を撫で下ろす。
『かまってくれた』
こころで響く僕の声
「ありがとう」と重い体を起こす
おかゆを作ってくれたけれどうまく力が入らなくて、
スプーンが持てない
心配そうに眺めるお母さんに
「大丈夫だよ」
僕が言う
でも
お母さんの優しい瞳は僕の手元にある
心配をかけて申し訳ない
でも
【短編小説】みんなどうぶつ
「あの人はライオン
あの子はパンダ
ふくろうみたいな目をした女の子」
私には、人の顔が動物の顔に見える
駅で目の前を行き交う、たくさんの人々
幼い頃に恥ずかしがりなのと
人間と目を合わせることが怖かった私におばあちゃんが言ってくれた
「人間の顔をみんな動物さんだと思えばいいんだよ
例えば、そうねぇおじいちゃん。
なんだかあの渋い眉毛がワシみたいでしょ
だから、おじいちゃんはワシ
そ