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【短編小説】フェイクだって

「私って、やっぱり

フェイクなんだ」

そうつぶやき、私と同じ顔をした女子高生が目の前にいることをモニターを通して確認する


40 × ×年から、人間たちの寿命のことを考えて、Fakeと呼ばれる人間のコピーを一人一人が作ることになった

大体200歳位まで、人間の寿命は伸びているけれど

それでも、やっぱり人間の体って限界が来るようで

誰もが不老不死でいたいしたいことを一生したい。病気もなく…

そんな思いを抱えているのは、人間の欲望として当然のもので、私たちがfake がAIとして人間たちの意思を引き継いで生き続けることができる


神様は、私をFakeと言う名のAIで生まれさせてくれた。
この世と言う素晴らしい環境に


私は、美しいものを見ることが好き


古くの図鑑で見たことがあるような緑の草原や、緑の草原や澄み切った青い湖…と言うものはもうすっかりなくなてしまって見ることができないけれど

それでも私は自然が好きだ
だって本物でみんなオリジナルだから


私の本体である人間は、女子高校生



今は高校3年生で受験シーズン真っ只中

勉強毎日がんばってはスポーツの部活にも専念して


友達との関係も良好で、勉強の息抜きにと流行のおしゃれして街にたびたび出かける



一緒に成長している

今はまだ本体が生きているから、
私は彼女のfakeとして

もしこの本体の彼女が死んでしまったら、私が意思引き継いで、ほんとに代わりとして生きることになる

私は、オリジナルの人間として生きることはできない

私の本当の人生なんてない
オリジナルにはなれない


私たちストックされているFakeは、普段Fake達だけでが集まった施設で集団生活している

規則正しい食事をして生きる時になったときのために備えて、会話の練習や本体の人間と似たような生活をできるだけ送ることによって本物に近づける



考える事はもうすっかりチップで共有されているから、ほとんど必要ないのだけれど、モニターで姿を確認したりもする



ある日
私の本体の女子高生は部活で怪我をした
打撲だった

今は治療中。人間は少しでも寿命を長くするために小さな怪我でも昔よりも大きく大げさに治療することになっている。

だから打撲した私の本体は結構な手術を今病院で行われている


だから、私は人間の世界を訪れてFakeとしてたけど、生きることになった

あくまでフェイクとして一時的にだけど

本体が正常になったら私はまた死んだとき用のFakeに戻る。



今日はお出かけの日

fakeだけど彼女として楽しむぞ!
と意気込んで用意を始める




SNSを確認して、今日の服を決めようとしている時、目に入ってきた

最近のトレンド



フェイクファー…か、


最近寒い季節だもんなと思う

でも私はやっぱり引っかかった。


フェイクファーってことは
これも偽物なんだ…と



ふわふわしたファフェイクファーが付いたコート装着して、私の本体は友達と今日は勉強会


カフェに到着して、友達とノートを開く
やっぱり問題難しいなぁ

考えることも、私は本物と一緒だから
苦手な数学に頭を抱える


「一息つこうかぁ」と、友達と喋る


目の前に映る友達の姿

おしゃれなフェイクレザーのコートを着ている彼女。少し大人びて見える


「あ、偽物だ」と、また私は思ってしまった


でも、フェイクレザーにフェイクファー


みんな私みたいな偽物で代わりのはず
私と同じ代わりだ


でも、
私はオリジナルになりたいと思っていた


今は一時的に体の治療で動けなくなっているから代わりとして、今私はここに存在しているけれど。


本物は別のところにいる


偽物である私はいつになってもオリジナルになれないのかな?

本物になれない私には何の価値もないんだろうか


ふわふわのファーを触って、私は考える

「偽物だけど、
役に立っているこのファーってすごい

フェイクでも見た目はすごくいいじゃない?それにあったかい」

そう私はつぶやいてカフェラテをずずっとストローで飲む


私がfakeだとわかっている友達は、
私の「偽物」と言う言葉に勘付いたみたいで

「偽物ねぇ…」とつぶやいた

「うん、わかってると思うけれど私はFakeでしょ?」

「そうだね」とミルクティーを飲む友達



人間として生きているこの子のことがうらやましい。


オリジナルの人間で
本物の口で本物の考えで


私はあくまで代わりだから。


「オリジナルとして確立した存在になってみたいなぁ!」


冗談とも取れるような軽い口調で、
私は友達にそんなことをつぶやいていた


暗いことを言ってしまうなんて、
本物の私に少し失礼だけど

でも本物の私もきっとそう感じているはず


治療されているベッドの上で


私がオリジナルの人間だったら、
私の意思で別の人生を歩んでいたかもしれない


一時的にこの女子高生今頭で考えたことやしたいことをして、今ここで勉強しているけど


本当に、
この子の代わりとして生きることとなった時

私が本当にしたい事できないのかと思うと少し悲しい。


オリジナルの考えは一生持てないのだから

その子の意思を継ぐだけだから


あくまで変わり


なんだか明るい未来が見えなくて、
私は暗い表情になっていたようだ


気づいた友達が励ますように弾けるような、明るい声で言った


「代わりってそんなにダメなのかなぁ?」


えっ?と、首をかしげる私

「だって、偽者でしょ?

fakeに関して言えば
本物の方が優先されるし、偽物だから私のしたいことはできない。

代わりとして生きているだけだから
本物ほど私は役に立っていない。

この世の中に必要ないんだよ…」


思っていることをどばっと打ち明けてしまった。

すると友達はワッフルをほおばりながら言った。


「偽物、代わりって言っているけど、
それなりに偽物として成り立っているじゃない?」


そう言って、友達が着たフェイクレザーのコートをピラピラさせて、
私の視界に入るように仰いでくる



「偽物として成り立っている?」
私もワッフルをフォークで切り取りながら口に入れて尋ねる

すると、友達はそうそう!とうなずいて

「代わりでも偽物でも役に立っているでしょ?それにオリジナルでしょ」

「オリジナル?」と繰り返す私



「うん、本物ほどできる事は少ないかもしれない。

いつも尊重されないかもしれない。
できることも限られているかもしれない。

でもさっき言ってたじゃない?

ファーを見て

『偽物だけど暖かさはあるし、
見た目としてはとても可愛い』って

それって役に立っているってことじゃないの?

イコール、

オ リ ジ ナ ル!」

はっきり小さな子供みたいに言う友達
今度は気持ちを落ち着けて

「それはFakeも同じ
あなたとして存在していることには
変わりがないよ」

「私として存在している?」首をかしげ私は言った。

もう一度大きくうなずき友達は言った。

「そう何か役に立っていないとか偽物だから本物の代わりと思って生きなくても命であることには変わりないでしょう。

一応AIって言うカテゴリーになっちゃうかもしれないけれど、それでも私はあなたのことをオリジナルとして見ているし、

そうやって悩んでいることができる。

それだけであなたオリジナルじゃない。」




優しい言葉…


本物の人間の友達が目の前にいる

「やっぱり人間ってオリジナルの人間だから、偉大なことを考えているのすごいなぁ…
ありがとう」

私はそう友達に伝えた。

やっぱり人間てすごい!


すると、大きく口を開けて笑う友達


私は次の言葉に驚いた。


「…言ってなかったけれど、」

と前置きして、ミルクティーを飲みきってから友達は言った。


「私もFakeだよ」


私は驚いて世界が反転したかと思った

ここはFakeたちの過ごすの施設だっけと思ってしまった。



すっかりオリジナルの人間だと思っていた…


私と同じFakeだったんだ。


驚きの事実に私は友達に尋ねた。

「いつから代わりとしてこの世に存在しているの?どうやって生きてきたの…?」

すると友達は言った。

「私の本体だった人間の女の子は、産まれてすぐ病気で生きることができなくなっちゃったの。

だから私はほとんどfake兼人間として生きてるって感じかなぁ」

そっか、小さい子でも亡くなることってあるんだ。
すっかり寿命が長くなった世界だからそんなこと忘れていた

「そういうこともあるんだね…」と私は暗い声で言う


「…っだからね!」と友達が言った

「私はもうすっかり人間みたいに見えるかもしれないし…というか、私としても人間だと思って生きてきた

人間だからとかfakeだから。
代わりだから…そんなこと考えずに、

オリジナル!

みんなみんなオリジナルなんだよ!!」


そうやって強い言葉を発する目の前にいる友達は、やっぱり世界で1人だけのオリジナルだった。

こんな素敵な言葉が言える。

素晴らしいオリジナルの友達が私は誇らしくて

「私もオリジナルとして生きるよ!」



そうやって私はfakeだけど、

私だけのオリジナルの思考で
私だけのオリジナルの宣言をした



今はまだ本当に人間として生きている治療中の彼女のために


でも、いつか私が代わりとして生きる時が訪れる。

それは本物の人間じゃないかもしれないけれど…

今でも後からでもずっとオリジナルだ。


偽物だったら役に立てないと思っていたけれど、私なりに生きていいんだと思えた。



Fakeでも代わりでも私は私

オリジナルだから



あとがき
フェイクファーやフェイクレザーでも本物以上に役に立っている。オリジナルであると言う言葉を聞き、

結局はみんな世界で役立たないものなんてないんだなぁと言う考えから生まれたお話です

だからこそ、人間として生きることができている本物の私は確立した自分として自信を持っていきたいと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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