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【短編小説】どう見られるか気になる。

ふんふふん


横から聞こえる小鳥さんみたいな鼻歌


巧みに手を動かして、鏡の自分に見惚れているのは私の妹


細いアイラインをこれでもかと言う位丁寧に。

まぶたに届くんじゃないかってくらいくるんと上げたまつ毛


可愛いと言う形容詞しか似合わないピンク色のアイシャドー


「よくそんなに手をかけられるね」

と言う私

私はいつも眉毛とリップだけして、
外へ出てしまうような性格だから彼女のこの容姿にかけられる熱心さは本当に尊敬する


「そう?だって可愛くなりたいもん!
可愛く見られたいし」


そうやって口をとがらせてながら、
今度は髪をくるくる巻きにしている


なんだかベートーベンとかモーツアルトみたい

なんて思ってしまう。
私の美意識のなさ



それに比べ、この子は本当に自分磨きに命をかけている

妹は、昔から確かにいろんな人から目を引くような見た目をしている

だからなのか少し自意識過剰というか
ちょっと口悪く言ってしまえばナルシストなのかもしれない

どこからその自信が来るんだろうと自分の妹の事なのに疑問に思っていた。



自信と言うのもあるけれど、
自分磨きにどうやったらそんなに頑張ろうと思えるのだろう?


疑問に思ったままに私は聞いてみた


妹は当然のように
「いろんな人に見てもらって、私に対して何か思われるならかわいいって思われたいし、
なにより、見られること嫌じゃないから」

当然と言わんばかりに自信ありげに
見られることが好きだと言える妹がうらやましい。


私は人目を気にしてしまう

変に思われてないだろうかとか
目立っちゃっいけないとか


「見られてるって思うと、マイナスなこと考えてしまわない?
どちらかと言えば、私は人に見られたらもっと目立たないように
しようって思っちゃうんだけど…」

妹が髪を巻く短時間でメイクを終えた私が言う

すると、妹は
「私のことを見てくれている人がいるから、私は頑張れるんだ

正直ね
自分でも自意識過剰だなぁとか思うよ?

それでも見てくれている人がいるから、見られてるって言う。
そのちょっとうぬぼれが私のことをもっと可愛くなりたいとか
自分を大切にしたい

そんな思いを引き出すバネになってくれているの」


自意識過剰が自分磨きのバネになる…か

反芻する私に妹は


「まぁ何よりも人からどう見られるかより、
自分が好きな自分でいられることが大事だと思うけどねぇ」

間延びした声で妹が言う


その呑気さにさすがだなぁと思いつつ

でも声に似合わぬ深い言葉に、
私はもっと自信を持っていいのかもしれないといままで使わず放置していた
誕生日にもらったアイシャドーパレットを開く

いつも使わないような色
でも。

ほんとはちょっと挑戦したくて




ちょっとだけ可愛くなった私で今日は仕事へ向かう。




周りの同僚からの視線に少し気になってしまうけれど
ちょっとだけ自分を好きになれたかもしれない

今鏡に映る私の姿は、私が1番好きな私だったから


あとがき
人からどう見られるかを気にしてしまいがちです

自分のありたい姿で、
人生を過ごせるような怖い気持ちを持ちたいと思い書きました

ちょっとでも自信を持てるようがんばります

最後まで読んでくださりありがとうございました

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