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あしたの小窓から。

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小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。
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#夫婦

親切にされるということ。

親切にされるということ。

このところ、人から親切にされることが続いている。
とてもうれしいと同時に、親切にされるというのは「一歩踏み込まれること」なのだと気がついた。

思ってもみなかった一言をかけられたり、祝福されたり、贈り物をもらったり。そういうとき、親切な人たちは、僕のとっていた距離よりも近くに来て、僕を驚かせる。

びっくりした後、うれしい気持ちがじわ〜っと出てくる。

人と人は、安心して生きていくために距離をとる

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ともに生きながら、違う夢を見る。

ともに生きながら、違う夢を見る。

「同床異夢」という四字熟語がある。

意味は、

同じ寝床に寝ても、それぞれ違った夢を見ること。転じて、同じ立場にありながら、考え方や目的とするものが違うことのたとえ。
(三省堂 新明解四字熟語辞典)

僕はこの言葉を、結婚生活において強く実感することになった。

まったく同じ場面に出くわしても、感じることが違う。解釈が違う。意味づけが違う。そんなの当たり前と思われるかもしれないが、実際に違うと気

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椀ネス。

椀ネス。

寿司屋に行くと決まってあら汁を頼んでしまう。みそ汁よりも貝汁よりもあら汁という言葉にどうにも惹かれてしまう自分がいる。

あら汁には魚のあらが入っている。頭から尻尾まで、だいたいまるまる一匹分のあらが入っていて、ちまちまと身と骨を選り分けながら食べていくことになる。

昨日、寿司屋に入った際にもあら汁を注文し、ちまちまと食べ進めていた。人はあら汁を食べはじめると無口になる。骨やウロコは非常に細かい

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案外、本だった。

案外、本だった。

昨日は快晴。僕たち夫婦は仕事がお休みだった。
雨降りが続いた後の好天で、どこかに出かけたい気分だったけれど、世は外出自粛。平日の真っ昼間にどこにも行くなという話ではなかったと思うが、なんとなく気が引けるし、行きたい場所も思いつかなかった。

スマホは見続けると疲れてしまうし、漫画は読み尽くした。YouTube は退屈だし、うちにはテレビもないし、ということで昼寝をしたらなにもすることがなくなって、

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あなたとわたしが好きな味。

あなたとわたしが好きな味。

毎朝、毎晩、おなじ食卓でいっしょにごはんを食べる。
夫婦でいて、いいなと思うことの一つはこれだ。

うちは例えば、マックスバリュの黒糖バターロールが二人とも好きなのだけれど、考えてみれば、同じものを食べて「おいしいね」と言い合えるのって不思議なことだ。だって、こんなにもいろんなことの好みが違うのだから。

違うように生きて、違うように食べてきた人と人が同じものを食べて「おいしいね」という。あるもの

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陰険と温厚。

陰険と温厚。

今朝、奥さんがちょっとうっかりして忘れていたことがあった。忘れるだろうなと思っていた僕は、予想が当たって笑った。他愛のない日常の一コマだ。

でも、ふと思った。僕がもし陰険だったら、このうっかりを責めて凹ませることもできるんだな、と。そう思うと、僕たちの日々の生き心地というのは、いとも簡単に他者によって左右されてしまうものなのだと気づかされる。

もし僕が陰険な親の家の子どもだったら、恐らく他者の

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流星の騎士団。

流星の騎士団。

うちは僕が自営、奥さんが会社員なので、朝、出勤する奥さんを駅まで送り、晩に迎えにいく。

このルーチン、先週くらいまではなんてことなかったのだけれど、今週になって急に冷え込んだため、晩のお迎えがつらくなってきた。

おまけにここ数日、僕はやたらに眠く、迎えに行く直前までふとんに入っている。したがって、最も体温が上がった状態から寒空の下に出ていかなければならない。

そんな時、僕は自分のことを「流星

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タブーに触れる。

タブーに触れる。

タブー【taboo】
〔ポリネシア語で、明確にしるしをつける意〕
① 聖・俗、浄・不浄、正常・異常を区別し、両者の接近・接触を回避・禁止し、それを犯した場合には超自然的制裁がくだるとする観念・慣習の総称。特定の人間(王・死者・妊産婦など)、事物(動植物・鉱物・食物など)、状態(出産・月経・成人・死など)、行為(戦闘・狩猟・近親相姦・食事・言葉など)、日時、方角などをめぐるものなどがある。禁忌。

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そうだ、ルノルマンにきいてみよう。

そうだ、ルノルマンにきいてみよう。

先日、かなりびっくりするような発見があった。

このカバー写真は、奥さん(澤 由莉)に引いてもらったルノルマンカード。

「ちょっと引いてみる?」って感じで、いま気になってることを話して、何枚か引いてもらって、カードの絵を読み解きながらおしゃべりして。

ガチでなんとかしたいことについて話してたから、一枚ごとに「こういうことか!」と言い合って、すごく楽しい時間だった。

その、最後の最後に出てきた

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そんなことが言いたいわけじゃなかった。

そんなことが言いたいわけじゃなかった。

四年前、僕は結婚して、家族ではなかった人といっしょに暮らすことになった。それは、ひとりの人の話を長期間にわたって聞き続ける、はじめての経験となった。

それまで、僕はお付き合いした人と口論やけんかをした記憶がない。
いま思えば、どうしていたんだろうと思うが、言いくるめていたのか、相性がよかったのか、とにかくいつも関係は良好だった。

奥さんとは違った。
ときどき激しいけんかになるし、いまでもよく揉

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人はいつから「身内」になるのだろう。 (メルマガ『生きているQ』より)

人はいつから「身内」になるのだろう。 (メルマガ『生きているQ』より)

この記事は、㐧二音楽室のメルマガ『生きているQ』の配信記事を加筆修正してお届けしています。(ご登録はこちらからどうぞ。)

こんばんは。澤です。

聴いていただき、
ありがとうございます。

昨日、ほぼ日刊イトイ新聞の
トップページにある
「今日のダーリン」というコラムに

「足の小指の先を
 テーブルの角にぶつけた」

というたとえに続いて
こんなことが書かれていました。

痛む足の小指

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結婚ノムコウ。

結婚ノムコウ。

結婚は「養うこと」に重みがあった時代の制度だとぼくは思っています。

いまの家庭で、一家の長に養ってもらっている、なんて思ってる人はあまりいないんじゃないでしょうか。

逆もありませんよね。家族は経済的に助け合ってはいるでしょうけれども、義務ではなくなってきた。

じつはそのことは、家庭を維持していくのをものすごく難しくすると思います。「結婚はつらいものです。我慢しなさい」なんてことは言えなくなっ

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強く推す理由。

強く推す理由。

いま、個人的に強く推している催しがある。

来週、7月2日(火曜日)に開催されるこれだ。

「くにちゃん」は、大阪に住む橋本久仁彦さんのこと。
長年、人の話をきくことを探求されていて、僕は師匠だと勝手に思っている。

「ミニカン(未二観)」というのは、橋本さんの仕事の一つで「辿る」というやり方で人の話をきき、録音した15分間の語りを文字起こしして、それを時間をかけて丁寧に読み解いていく、というもの

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その人を「足手まとい」にして、社会は進んでいけるのか。

その人を「足手まとい」にして、社会は進んでいけるのか。

うちの近くの横断歩道に「交通弱者専用ボタン」というものがある。
それを押すと、通常よりも早く信号が変わる、らしい。

僕はいつも「弱者」という言葉にすこしドキッとしながら、赤信号が青信号に変わるのを待っている。

社会福祉士の勉強をしているときにも「社会的弱者」という言葉が出てきた。差別用語かと思ったが、普通に使われていた。医療、介護、福祉のサービスを利用する人たちを指す言葉だ。

今日、昼寝から

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