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あなたとわたしが好きな味。

毎朝、毎晩、おなじ食卓でいっしょにごはんを食べる。
夫婦でいて、いいなと思うことの一つはこれだ。

うちは例えば、マックスバリュの黒糖バターロールが二人とも好きなのだけれど、考えてみれば、同じものを食べて「おいしいね」と言い合えるのって不思議なことだ。だって、こんなにもいろんなことの好みが違うのだから。

違うように生きて、違うように食べてきた人と人が同じものを食べて「おいしいね」という。あるものについては「とてもおいしいね!」という。それは違う道を生きてきた人同士が思いがけず重なり合った、奇跡のような瞬間とは言えまいか(まぁ、大げさかもしれないけれど)。

昨晩、奥さんがつくってくれたごはんがすごくおいしかった。みそ汁とキャベツとエリンギをあえたものとブリを焼いたもの。「これは身体に合うね」「魚ってうまいんだなぁ」そんなことを言いながら、食べ物の「おいしい」を分かち合えるのって幸福なことだなあと思った。

食べることは生きることの基本だ。
だから、そこが合わないまま、共に生きていくのは、なかなかつらい。

誰かといっしょにごはんを食べて「おいしいね」と言い合うなんて、そこらじゅう、世界じゅう、どこでも見かけることだろうけど、本当はそれって、いままで違って生きてきた歴史が交差して、閃光が出ている瞬間なのかもしれない。そして、その火花がたがいの心をあたためる。

あんまり一瞬すぎて、その煌めきが目には見えない。
そんなちいさな奇跡の連続の中に、僕らは生きている。

だから誰かとごはんを食べるのは、あんなにもうれしいのかもしれない。
実際、味だっておいしくなるもんね。

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