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澤 祐典
2019年5月31日 22:17
ぼくは転校や転職を重ねてきたので、去ることには慣れている。はずだった。でも、今回、児童館から去るのは、けっこうつらかった。自分で「やめる」と決めて出ていくわけだから、お門違い話なのだけれど、全部が終わったいま、やっぱりさびしい。後悔しているわけではないのだけれど、やっぱりなんかつらかった。先週、この記事を書いている頃は、まだ余裕があった。でも、こんなメッセージとか、
2019年5月30日 11:55
大事にしたいものが多すぎて身動きがとれなくなってるぼくは小さく咳をしてそしてまたあの日の野ばらを思い出す一生ずっと いられたらいいのにねでもそんなふうに人生は できてない別れを繰り返しながら誰かの面影を背負って生きてゆくんだね思い出は トタンの屋根あなたのこと 忘れないよさよならは 光と影またいつか 会おうぜまたいつか 会おうぜ『敬意と尊厳』という強烈な場が
2019年5月25日 22:15
今日の夜の児童館では、今月いっぱいで退職するぼくの「最期の日」と称して、中高生たちがパーティーを開いてくれた。彼らはときどき口げんかをしながら、長いことバタバタと準備していた。サプライズのため、ぼくは中をみることができないが「最期」なので、葬式ごっこをすると聞いていた。しばらくして呼ばれると、こんなホワイトボードが出迎えてくれた。Arigatoo(笑)いいなあと思いながら、まじまじと
2019年5月10日 21:07
それは、昨日の夜。なんとなく気分が晴れなくて、僕は児童館でギター弾いていた。すると、一番上の姪と同じくらい、10才ぐらいの女の子が三人やってきて、平均台にちょこんと腰かけて、演奏を聴きはじめた。「なにをしてるの?」「ギターを弾いているんだよ。」「なんの曲?」「いまつくってる曲。」弾き終わったら拍手をくれたりして、すこし照れ臭かった。しばらくそうしていたら「弾きたい」というの
2019年4月21日 16:48
先日、大人になることについて、こんな記事を書いた。アドラー心理学の『幸せになる勇気』を読んで「大人になるには勇気がいるんだ」と気づかされた経験を書いた記事。これをまとめている途中で、内田樹さんのこのブログを見つけた。アドラーが「教育の目標は自立」と語るように、樹さんも「教育の目的は、子どもを成熟させること」と語る。アドラーが教育は仕事ではなく、信頼に基づく交友関係を学ぶ場だというよ
2019年3月30日 22:34
今日は、児童館の今年度の運営最終日。そしてそれは、ある高校三年生にとって、児童館に来られる最後の日でもあった。彼は、毎日児童館に来ていた。毎日「のように」ではなく、本当に毎日。病気をしたり、特別な用事があったりしなければ必ずいたから、僕たちにとっては、職員同士よりも顔を合わせる存在だった。彼にとって、児童館は文字通り「居場所」だった。逆に言えば、児童館以外に居場所がなかった。そ
2019年2月24日 16:04
昨日のことだ。夜の児童館では、毎週恒例の「学びタイム」が行われていた。中学生、高校生を対象になんらか「学び」に関することをする時間だ。この日は、高校三年生がプレゼンテーションをすることになっていた。テーマは「プログラミング」。彼は、自分の通う工業の専門学校で使っている、レーザーで物を切る機械を動かすためのプログラムを教えようとした。正直、マニアックすぎる。他の中高生には理解でき
2019年2月23日 20:59
自由ってやつは 楽しいもんだぜ僕も昔は 縛られてた(映画『ピノキオ』より)昨日、自分がもはや「子ども好き」ではなくなっていると気づいて驚いた。僕は長年、自分のことを「子ども好き」だと思って生きてきた。身内であるめいだけでなく、ショッピングモールや地下鉄の車内、エレベーターの中なんかでよその子を見かけても、自分から微笑みかけてしまうくらいの「子ども好き」だった。そして、僕は誰より
2019年2月10日 20:06
僕はいま児童館で、主に勉強する子どもたちの支援をしている。児童館自体は、遊ぶことを通じて、子どもたちが「好きなことを好きなようにしてもいい」余白を提供している(すべての児童館がそうではないようだけれど)。そんな環境に二年いて、いまさらなのだけれど、子どもの支援の対象っていつでも「大人」なんだなあと思う。子どもに関わっていると、そこに必ず大人の影をみる。親だったり、先生だったり、彼らの考
2019年2月8日 22:29
思えばいと疾し このとし月(唱歌『仰げば尊し』より)いま、名古屋市は私立高校の受験シーズン。児童館の学習会でも、推薦入試に合格したメンバーが出てきた。夏頃から受験生向けに開いてきた臨時の勉強会も、その役目を終えつつある。このあと来月に公立高校の入試があって、そのあと卒業だ。今年は、中学生と大学生サポーターとの関係が密になったので、合格の報が一段と感慨深い。僕も関心がないふりをしてい
2019年1月22日 23:12
昨日、勤め先の児童館で職員向けの研修が行われた。タイトルは『「国連・子どもの権利条約を読む学習会」のシェア会』。堅そうである。勤務扱いだったことと、主催しているのが同僚でなければ、確実に参加しなかったと思う。でも、ふたを開けてみたら、ものすごくよかった。そのギャップについて話してみたくて、この文章を書いている。会が開かれる前の日、僕は同僚に「ごめんけど、権利条約には興味がないん
2018年12月28日 23:21
就業と残業のあいだにあるもの、それは定時である。僕は社会人になりたての頃から定時にこだわる男だった。5時とか5時半になると、体がソワソワしはじめる。そして、手早く仕事を片付ける。1.2倍、いやもっとだろうか、このときの手際は、それまでが嘘だったかのように速い。定時が近づくと、ウルトラマンのカラータイマーのように「脱出モード」のスイッチが入るのだ。なにから脱出したいのかは分からな
2018年12月14日 21:46
ぐだぐだしていた。夜の児童館だ。一人、二人と子供が帰り、あとには家に帰りたくない子供たちが残った。帰りたくない事情は様々だ。大抵、親とうまくいっていない。学校が嫌いだと言い、友達がいないと言い、児童相談所は役に立たないと言い、鳥のおなかが膨れてもうすぐ出産だといい、プリンのカラメルはこう作るんだと言い、シェアハウスっていいなと言った。受験はどうしようと言い、部活が大変だと言い
2018年11月15日 18:42
しーんとしている。誰もなにも話さない。4月。児童館で行われる中高生向け学習サポートの、はじめてのサポーターミーティング。今年、この仕事の担当になった僕がまず行ったのは、大学生をはじめとするサポーターに会を運営してもらうことだった。その日なにをやるか。時間をどう使うか。机をどう配置するか…etc.昨年までは職員が決めていたことを、すべて大学生たちに決めてもらうことにした。そ