就業と残業のあいだ_

就業と残業のあいだ。

就業と残業のあいだにあるもの、

それは定時である。

僕は社会人になりたての頃から定時にこだわる男だった。
5時とか5時半になると、体がソワソワしはじめる。
そして、手早く仕事を片付ける。

1.2倍、いやもっとだろうか、このときの手際は、それまでが嘘だったかのように速い。定時が近づくと、ウルトラマンのカラータイマーのように「脱出モード」のスイッチが入るのだ。

なにから脱出したいのかは分からない。けれど、仕事を終え、職場を出ると、解放感にホッとする。

働くひととして、そういう体質をもっていることはあまりいいことではないように思う。若い会社員の頃なら、上司や先輩から指示された「やらされ仕事」が多いから分からなくもない。でも、大して苦になる仕事のないいまでもそう感じるのには「いくらなんでも偏狭だなあ」と思う。

いまや自営業もやっていて、ほとんど毎日働いているようなものなのだから。

しごとごとごと みているうちに
はたらくひとに なりたくて

なりたいなあ なれるかな
なりたいけれど たりないな
としもちからも たりないな
でも いまなりたい!

まわれよ ちきゅう
はたらくひとに なりたいな
(NHK教育テレビ『はたらくひとたち』より)

働くことは楽しい。
だから、もっと働きたい。

ありがたいことに、そんな感覚をおぼえることも増えた。出勤前より元気になって帰る日もある。かつては夢だと思っていた感覚だ。

それでも「仕事はつらく、苦しく、縛られて、不自由」という長年もってきた感覚が時々よみがえってしまう。こんなに根深く染み付いているものかと驚く。

いまの仕事は自分で選んだものだし、いやならやめることもできる(もちろん、周りへの配慮は必要だけれど)。本来、自由なのだから不自由を感じる必要はない。

だとしたら、なぜ「不自由プレイ」をしているのか。
そうすることで、働くことに力を注ぐことを抑えるのはなぜなのか。

そんなことを思いながら、児童館での仕事納めをした。
23歳で社会人になったから、あと二年もすれば社会人としても成人だ。

午前中は楽器部屋の整理をまかされて、エレキギターとアンプの組み合わせによる音の違いに感動し、午後は学習サポートの参考書の整理をしながら、劇的に変わった学習会の一年に思いを馳せていた。

こんなにも、よくしてもらってるのに。

「そろそろオトナになれよな」と働くひと18年目の自分に思う。

でもまあ、長い休みはうれしいやね。やっぱり。

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