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リノベーションの仕事を通じて

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リノベーションを始め、デザインに関する思想を倩と。
運営しているクリエイター

#インテリアデザイン

侘び寂びとミニマルの違いを考える。

侘び寂びとミニマルの違いを考える。

マンションリノベーション
計画案3D@新福島

年明けの着工に向けての詰めの段階のマンションリノベーション案です。

文化芸術に関心のある施主のため今回はギャラリーメイク。

キッチンは既製品を使わず最低限で製作。

天板はコーリアンのニュートラルアグリゲート。

マンション的に天板は2枚に分けないと搬入できないから継ぎ目はガラスを差し込むかなど検討中。

カップボードも全て製作。

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あなたの効率は誰かの非効率。

あなたの効率は誰かの非効率。

大阪のオフィスリノベーション
2021@阿倍野

2019年に完成したスタートアップのオフィスに区画を作る計画で僕はパーティションと家具の手配のみ。

60mm×30mm厚の縦軸に40mm×30mm厚の横軸で格子間隔80mmでリズム感持たせながら組んでます。

格子を12mm厚まで薄くすることもできたのですがパーティションの存在が希薄になるのと「何かを掛ける」みたいな余白的ユーザビリティが損

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人工的に作られた機能美と自然の摂理としての機能美の違いは何なのか。

人工的に作られた機能美と自然の摂理としての機能美の違いは何なのか。

キッチンは梁下に据え付ける計画のため既製品が難しく家具職人さんに作って頂くことになりました。

扉材はアイカのRK-6000でフラッシュにしてもらってます。コスパ重視。

レンジフードは富士工業さんのUSR-1AMとかのやつです。これもコスパ重視。

ワークスペースは内部に家電を収納できるようにしてて天板は施主が楽天で買われたメープル材を製材してます。

2万くらいだったらしい安い。製材と

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不便益は必要か。

不便益は必要か。

ひのきの縦格子の引き戸は
日本に昔からある縦繁障子をベースにしてます。

桂離宮の月波楼から引用してます。

デザインはイジってて
12mmの縦桟と12mmの隙間を交互に繰り返す構成にして
窓サッシの幅と高さにも合わせてます。

本当は9mmが意匠的に良かったんですが9mmだと
横桟の数増やさないといけなくて結局12mmになりました。

気持ち良い連続性だと思ってます。

今の建具は

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仮想空間の世界が回り出した時の物質の価値とは。

仮想空間の世界が回り出した時の物質の価値とは。

⁡一度に視界に入る素材の種類を増やすと光の反射角が変わって影がざらつきます。

そのざらつきが欲しかったのでカーテン無しで行きませんか?
と施主に相談しましたが「ありえない」とぶっ飛ばされました。

目の前道路ならそりゃそうですよねって思いながら
じゃあレースだけでどうか?とさらに食い下がりましたが
ちゃんとブラインド作りたいとのことでしぶしぶ。

通販サイトのimusbyさんのカーテン超安

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既製品と職人が作るものの違いは何なのか。

既製品と職人が作るものの違いは何なのか。

僕としては「家にTVモニター不要である」
という偏った考えを持っており
情報収集はデバイス
映像鑑賞はプロジェクター
でいいです。

施主には「TVモニターは必要だ」と
ぶった斬られたので46inchを計画に盛り込んでます。

とはいえTVモニターのデザインに不満があるのは共有できたので覆えるようにしてます。

w1600mm×h2300mmの建具を職人さんに制作して頂き
天井に埋め込んだ上

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美しさや心地よさを求めるのは危機回避。

美しさや心地よさを求めるのは危機回避。

今回のリノベーションのコンセプトのひとつがゾーニングレス。

コンセプトの説明の前に日本の街の説明が必要ですが
さらにその前に海外の街の話をします。

日本に比べて諸外国の街はゾーニングされてなく
カジノエリアがあったり
ドラッグエリアとドラッグフリーエリアに分かれてたり
スクールエリアはまた別で分かれたり
みたいにパキッとゾーニングされてるケースが多いです。

植民地化と用途と人種によって

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心地良さとは何なのか。

心地良さとは何なのか。

今回のリノベーションは建具に一番コストをぶっ込んでます。

材はシナだしデザインも特別なことは何もしてなくて
連続性だけ欲しかったので目地だけ。

ミニマル的なデザインって一歩踏み外すと
ボヤけちゃうので気をつけてください。

あっあと取っ手もなくしてます。

建具は梁に合わせてH2300で
合わせて天井もH2300。

日本の最近の住宅の平均天井高さがH2450とからしいので
平均値よ

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ヴァナキュリズムとサスティナブルは不可欠になってくると思う。

ヴァナキュリズムとサスティナブルは不可欠になってくると思う。

シナの幼さとリノリウムの愛想の悪さは
3Dでは馴染みすぎてました。

実物では程よく反発を生んでくれてるので
僕は気に入ってます。

やっぱり少しくらい反発があった方が
愛らしいですよね。

小動物がめっちゃ怒ってるみたいな。



空間構成には抜け感を必ず作るんですが
今回は8mの奥行き。

元々の建物ステータス的な限界値でした。

本当は10m欲しい。



グレーの建具

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生活感をノイズと捉えてみる。

生活感をノイズと捉えてみる。

2020の終盤に完成した
神奈川のマンションのリノベーション。

築38年。

1階がピロティの2階のお部屋だったため
今回は特別にスラブにリノリウムでも許可が出ました。

一応床の下地はモルタルで均してはあります。

どうしてスラブにリノリウムがよかったかというと
58平米の延床面積なので
省スペースが今回の課題でした。

玄関スペースも玄関先の廊下も
スペースとして消費するのを避けた

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デザインに耐久力は必要か。

デザインに耐久力は必要か。

どう足掻いても家は生活感が出てしまうもので
その日常的な使われ方でも良い感じに映るようにデザインできるかを考えながら作っています。

脱ぎっぱなしの洗濯物
隅っこに溜まったホコリ
開きっぱなしの扉
置きっぱなしの食器
常に美しく使い続けるのなんて到底できないです。

華奢すぎるテーブルの脚
薄すぎる棚や天板
ほぼないように見えるドアの枠
柔らかな曲線
ディテールにこだわることももちろんできます

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リノベーションする施主の4タイプ。

リノベーションする施主の4タイプ。

最近纏まってきた施主の4タイプ別分析があります。

リノベーションデザインをする上で家具と家電との関わりを割と考えます。

スマホを始め家電にSiriが搭載され始めたころから、家電は「同居人」と言う無意識の認知が生まれてるのですが、そうなった瞬間から「どこまでを家電にお願いするのか?」がポイントになります。

わかりやすいところで行くと、土鍋か炊飯器か?みたいなアレです。

最近では家具に

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巾木をちゃんと考える。

巾木をちゃんと考える。

住宅の構成要素として巾木というものがあります。

床と壁の角の部分にある板のパーツです。

元々は靴やホウキなどで壁を傷つけてしまうのを守ったりするのが役目のもの(だそうです)。

それが本当だとしたら、現在の日本人はスリッパか素足で生活する人がほとんどで必要がないパーツです。

今までもおそらく何人もの人たちが「これいるか?」と問うてきたはずですが、無くならずにあるという事は意味があるという事で

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本来ならスケルトンとインフィルとインテリアは繋がっているべき。

本来ならスケルトンとインフィルとインテリアは繋がっているべき。

造り付けをどこまでやるのかをいつも慎重に考える
(造作工事と言います)

家具
棚
窓
建具

造作は建築工事
(壁や床や天井に固定する工事のこと)

当然ながら交換するにも工事が必要
(交換できないと言ってもいい)

だからお施主さんには市販されてたりする家具をお勧めしている
(収納に関しては断捨離をお勧めしている)

ライフスタイルの変化は必ず起こる
(主に

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