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書くこと

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2024年2月の記事一覧

傷つき方・傷つけ方

傷つき方・傷つけ方

 小説を読むと心が傷つくことがある。主人公に感情移入し過ぎて、まるで自分のことのように心にグサッと刺さってしまうのだろう。

 面識が全くない人の葬儀に参列していて、自分の親しい人との別れを思い出したり、想像してしまって、涙がボロボロと流れ出して止まらなくなってしまったという話を聞いたことがある。他人だという意識が薄れて、あたかも他人を自分のことの如く感情移入しているときに起こる現象なのだろう。

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三島由紀夫はなぜ太宰治が嫌いだったのか?

三島由紀夫はなぜ太宰治が嫌いだったのか?


三島由紀夫と太宰治
三島由紀夫が太宰治に批判的であったのは有名である。

それを示す具体的なエピソードとして上がるのは、評論家の亀井勝一郎と他の太宰の取り巻き達の出席する会に、三島が足を運び、太宰に「僕は太宰さんの文学は嫌いなんです」と言い放ったことである。

またその時の太宰の反応は、野原一夫『回想 太宰治』に「きらいなら、来なけりゃいいじゃねえか。」吐き捨てるように言って、太宰さんは顔をそむ

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メモもノートも手帳も、書くことが目的になってしまったら続かなくなる。最初からうまくやろうと思っても同じ。
普段から手書きの習慣がなければ続かない。何のために、どこから始めるか?だと思う。

三島由紀夫 | 小説読本(中央公論新社)

三島由紀夫 | 小説読本(中央公論新社)


はじめに

 最近、まともな物語がまったく書けない。「いや~あんたは前からまともな作品なんて書いてないじゃないか」と言われればグウの音も出ないのだが、少なくとも自分で納得のいくものが書けていないという意味でスランプ状態である。

 それなりに多くの小説らしきものはたくさん書いてきたが、長編小説と呼べるようなものは皆無であり、思い付いたことを、ただ何の構想も練ることなく、書き連ねてきただけに過ぎな

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