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シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《本厚木Sun faceの後編》
前編↓↓↓
待ち合わせ場所は本厚木駅の改札前。集合したヨシクラ夫妻とちひろと私の四人は、ヨシクラさんが予約してくれたお店を徒歩で目指す。
年末の暴挙を詫び、楽しみにしていたことを伝えた。最初の一杯を交わすまでに何を話すか逡巡しながら歩いていたが、久しぶりの本厚木の街並みに思考を委ねることにした。
人通りが多く賑やかだった街の通りは、商店や歓楽街が減り、ビルやマンションが建ち並び、街の方向性を
シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《待ち合わせた前編》
釣りの話をするときは両手を縛っておけ
ロシアの諺で、釣り師はよく魚の大きさを両手で誇張する。だから気をつけろという意味だ。開高健の遺した言葉としても有名だ。
「特に好きなことを書くときは誇張するな、見栄を張るな、本当のことを書け」
と私は解釈していて、開高健も使用する度に自分を戒めていたのではないのかと空想したりする。
JR相模線は、茅ヶ崎駅から橋本駅を結ぶ神奈川では珍しい単線の電車だ。私
【Whiskey Lovers】 出張番外編その歌声は呑んだハイボールも含めその全てを忘れさせる。
世の中には、一言で終われない事だって存在する。丁寧な無駄にこそ遊び心を込めたい。
その日は、撮影と名を変えたウイスキーの宴を終了し、気分が高揚したままの私は、ポップとシュモンさんを誘い近くのフードバーへと向かった。撮影の途中に私が2人にそのお店を思い出させたことがきっかけだ。
この日撮影しながら呑んでいた私は、呑み始めると帰りたくないナ病を発病していた。それは、頻繁に私に作用するとても厄介な病
【Whiskey Lovers】ザ・マッカラン シェリーオーク12年(The MACALLAN SHERRY OAK 12 YEARS OLD)編
世の中には、一言で終われない事だって存在する。丁寧な無駄にこそ遊び心を込めたい。
小瓶に詰められたウイスキーを渡された僕は、それが何かを聞くまでもなくマスター・オブ・ウイスキーを目指す店主のちひろにこう言われた。
「マッカランは始まりから終わりまで上品な印象です。家で時間と共に味わってみると良いと思います」
「マッカランと夜の梅」
思わず口をついて出たが、それをちひろが知る由もなく、当然知
【Whiskey Lovers】バランタイン(Ballantine's)17年、30年編
世の中には、一言で終われない事だって存在する。丁寧な無駄にこそ遊び心を込めたい。
テーブルの上に並ぶその二本は、存在感を隠せずに置かれていた。私は遠目にそれを確認しながら、早くも車で来たことを後悔していた。
このお店の30代の青年ちひろは、その目に私を認めると今日の意味を集まった私達に説き始めた。
「ブレンデッドウイスキーを皆で飲むことに意味があると思います」
そう語るちひろを見て、自分の
【Whiskey Lovers】Blanton's(ブラントン)シングルバレル バーボンウイスキー編
世の中には、一言で終われない事だって存在する。丁寧な無駄にこそ遊び心を込めたい。
42歳を迎える友人を、お気に入りのお店で祝うことにした。毎年の誕生日をお祝い出来るのも回を重ねると、歳の歩みを知り、開催出来ることに喜びを感じるものである。実に四半世紀の付き合いになる。
ウイスキーを勉強し始めた私に、彼は問い掛けた。
「お前の人生にウイスキーが存在していないのは、俺が一番知っているよ。だけど、
【Whiskey Lovers】Glenfarclas(グレンファークラス)シングルモルト12年、25年編
世の中には、一言で終われない事だって存在する。丁寧な無駄にこそ遊び心を込めたい。
「入り口のウイスキーがあるんです」
マスター・オブ・ウイスキーを目指す青年は、カウンター越しに聞き返さずには居られない呟きをした。
青年は、自分のウイスキーへの熱量と勉学のアウトプットのために動画配信を考えているとのことだった。一見、朴訥とした雰囲気からは伝わらない、真っ直ぐな芯を持っているのがその青年だった。
【Whiskey Lovers】ジェムソン カスクメイツ IPAエディション ハイボール編
世の中には、一言で終われない事だって存在する。丁寧な無駄にこそ遊び心を込めたい。
「ウイスキー始めませんか?」
お気に入りのお店でカウンター越しに、確かにそう誘われた。
「好んで飲んだこと無いけど。よくわからないんだ。体質的に合わない気がするし。ハイボールを飲んだら、次の日頭痛が残る」
僕は、財布と相談して体よく断るつもりで軽く流した。
日に日にそのお店にウイスキーが増えていたのは知っ
【Whiskey Lovers】はなしの前段には、相応の繋がりが存在する🥃
何事にも始まりには前段が存在する。きっかけや物語の誕生には、それぞれの関係が熟成する時間が存在するからだ。
僕が珍しく女性以外で、連絡先を聞いたその青年と出会ったのは、いつだったか振り返ることにした。
それは、去年の夏の終わりがまだまだ見えない、夜だけが早く訪れる9月に、たまたま居酒屋で席を共にしたことから始まる。それぞれ別の知人と来店していたが、知人同士が酔っ払ったために、僕がその青年の隣