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ドラマ・シネマローグ

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日本のドラマ・映画を中心に感想と思ったこと考えたこと。
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#コンテンツ会議

ドラマ「いちばんすきな花」〜二人組だっていいんだよ

ドラマ「いちばんすきな花」〜二人組だっていいんだよ

ドラマ「いちばんすきな花」が最終回を迎えた。
今期ドラマの中では「Silent」の生方美久さんが脚本を担当するということで、期待値は一番高い作品だった。

二人組を作るのが苦手だった四人がひょんなことから出会い、四人組になってちょっと生きやすくなってゆく、という物語だったと思う。

男と女では友達になれないのか?とか、いろいろな思い込みや決めつけを、取っ払ってゆく部分は分からないでもなかったが、回

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ドラマ「かしましめし」〜仲間と囲むご飯は、あったかくて美味しくて沁みる

ドラマ「かしましめし」〜仲間と囲むご飯は、あったかくて美味しくて沁みる

最初にドラマ「かしましめし」の設定を見た時は、また深夜枠で、またご飯食べる話で、また美大仲間の話かぁ…と正直思った。

それでも試しに第1話を観てみると、冒頭から美大の同級生のお葬式で、千春、ナカムラ、英治の3人が再会するシーンから始まったので、ちょっと面食らう。
しかも亡くなったのは、主人公・千春(前田敦子さん)の元カレで、さらに英治(塩野瑛久さん)の元カレでもあったことが、英治のゲイであるとい

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ドラマ「今夜すきやきだよ」~美味しいご飯と、女同士の共生

ドラマ「今夜すきやきだよ」~美味しいご飯と、女同士の共生

ドラマ「今夜すきやきだよ」は、週末の癒しだった。

バリバリ働く内装デザイナーの太田あいこ(蓮佛美沙子さん)は、家事が苦手で恋愛体質。売れない絵本作家の浅野ともこ(トリンドル玲奈さん)は、家事が得意でアロマンティック(他者に恋愛感情を感じない人)。
気質もライフスタイルも正反対な二人は、お互いの得意なことでお互いの足りないところを補い合うような関係で、あいこが例えていたイソクマ(イソギンチャクとク

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ドラマ「大奥」〜それぞれの愛の道

ドラマ「大奥」〜それぞれの愛の道

「大奥」5話~7話、五代将軍・徳川綱吉と右衛門佐の物語も、とても心を揺さぶられた。

前回4話までの感想はこちら

色狂いなどと揶揄される反面、学問好きで本当は女だとか男だとかの区別なく生きたかった綱吉もまた、将軍という運命に翻弄された人生だった。

一人娘である松姫を幼くして失い、将軍と言えども女と生まれたからには早く次の世継ぎを産むのだ!それがお前の存在意義なのだ!と言わんばかりの父・桂昌院(

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ドラマ「大奥」〜男の園と、修羅の道

ドラマ「大奥」〜男の園と、修羅の道

ドラマ「大奥」は、今期スタートのドラマ中で、今のところ個人的に一番見応えがあると感じている。

舞台は、若い男だけが感染するという"赤面疱瘡"という奇病が蔓延し、男子は女子の4分の1にまで激減した、もう一つの江戸時代。
社会構造は激変し労働も女が一手に担うこととなり、商家の主人も武家の当主も、そして将軍様も女。
貴重な若くて綺麗な男子は囲いこまれ種馬として大切にされ、高値で女たちのために種付を行う

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ドラマ「ブラッシュアップライフ」〜あなたは人生何周目?

ドラマ「ブラッシュアップライフ」〜あなたは人生何周目?

今期スタートのドラマの中で、脚本とキャストが自分の好みだから見始めたのが「ブラッシュアップライフ」だ。

突然の事故であの世の入り口に立った主人公・近藤麻美(安藤サクラさん)は、案内の男性(バカリズム)から、来世は人間ではなくオオアリクイだと告げられ、納得できずに他の道は?と食い下がると、もう一度同じ人生をやり直すこともできると言われ、再び赤ん坊からの人生を始める。

ストーリー的にはファンタジー

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ドラマ「階段下のゴッホ」~絵は言葉のない手紙

ドラマ「階段下のゴッホ」~絵は言葉のない手紙

主人公の都(SUMIREちゃん)は、偶然ギャラリーで見た "赤い絵" に、雷に打たれたかのように強烈に惹かれる。
そこから都は、高校生の頃の夢だった美大を目指そうと決意し、美大予備校に通い始める。

SUMIREちゃんといえば、浅野忠信くんとCHARAの娘として有名なわけだけど、もう彼女が20代後半ということに驚き、あらまぁ大きくなってねぇ…とつい親戚のおばちゃん目線になってしまう。
SUMIRE

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ドラマ「僕の姉ちゃん」にクスッと、ほぐされる

ドラマ「僕の姉ちゃん」にクスッと、ほぐされる

姉と弟による束の間の二人暮らしの記録は、30分にも満たないドラマだけれど、毎回ショートコントみたいな情景が面白い。

弟の順平(杉野遥亮くん)は、素直でスレてなくていい子だとは思うのだが、あまり特徴がないというか…どこか夢見がちでポケッとしてる感じ。
姉は弟には辛辣で、アンタは女のことナンも分かってない、みたいなことをズケズケ言ったり、弟はそんな姉にタジタジなのだが、恋や女性についてのアドバイスを

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ドラマ「初恋の悪魔」〜ルービックキューブ仕掛けの謎は深まるばかり

ドラマ「初恋の悪魔」〜ルービックキューブ仕掛けの謎は深まるばかり

脚本家・坂元裕二さんが刑事物×ミステリーを書くという意外性と、タイトルからして「初恋の殺人者」みたいなインパクトで(こちらのドラマは未見)、今期ドラマの中でもかなり期待を寄せていた「初恋の悪魔」。

回を重ねるごとに謎は深まるばかりで、ルービックキューブのように片面が揃ったと思ったら他の面はバラバラになり、考えがまとまられない状態だけど立ち止まることも出来ず、ストーリーを追うだけで毎週精一杯だった

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ドラマ「和田家の男たち」が面白い

ドラマ「和田家の男たち」が面白い

今期の秋ドラマは何本か観ているけれど、その中で、スルメのように噛めば噛むほど回を追うごとに面白くなっているのが「和田家の男たち」だ。

ストーリーは、勤めていた会社が倒産しフードデリバリーの配達員をしながら食いつないでいた優(相葉雅紀さん)が、亡き母の再婚相手であるテレビマンの義理の父・秀平(佐々木蔵之介さん)と、大手新聞社の論説員でコラムを寄稿している義理の祖父・寛(段田安則さん)と、ひょんな事

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ドラマ「うきわ -友達以上、不倫未満-」〜夢とうつつの間に

ドラマ「うきわ -友達以上、不倫未満-」〜夢とうつつの間に

似てますよねぇ。うわきとうきわ。
サラッとそんな事を言う主人公・麻衣子。

ともするとドロドロの展開になりそうなテーマの中、ゆらゆら漂うような独特の雰囲気で物語は進んでゆく。

麻衣子はちょっと天然で、妄想が過ぎる(笑)。
彼女の数々の妄想シーンは、深刻なはずの現実をふわっと浮遊させる。
門脇麦さんは、少女っぽいかと思えば、生活感が滲み出ていたり、情感漂う表情をしたり、不思議な魅力のある女優さんだ

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ドラマ「大豆田とわこと三人の元夫」最終回〜もう会えなくなった親友のこと

ドラマ「大豆田とわこと三人の元夫」最終回〜もう会えなくなった親友のこと

"見えなかった母の横顔がとつぜん振り返った" そんな気がした、とわ子。
なんと、とわ子の母は父以外に好きな人がいた。
最終回だというのに、そんな重大なエピソードを新たに入れ込んできた坂元さん、最後まで攻めた脚本だった。

母の恋文を見つけてしまい、そこにあった住所を頼りに母の恋人に会いに行く、とわ子と唄の行動力にも驚く。
教えられたアパートに行くと迎えてくれたのは女性だった。母の想い人は女の人だっ

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ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」~いくつもの別れ道

ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」~いくつもの別れ道

ああ、とわ子はやっぱり小鳥遊(オダギリジョー)とは…そうか、そういう結末になってしまったか…という今週9話であった。
前回までの感想はこちら。

オダジョー登場時は、ビジネスとプライベートでのあまりの切り替わりっぷりに一部でサイコパスとまで言われてしまったけど、そんなことはなく、数学を学びたかったけれど17歳から31歳まで自分がない暮らしをせざる得なくて、社長に拾われた後もこの人について行けば大丈

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ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」~それぞれの時間

ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」~それぞれの時間

前回は2話までの感想を書いた。

それから物語は三人の元夫達とその周辺の女性も絡めてどんどん進み、6話では衝撃の展開に。

とわ子と結婚する前から、実はずっとかごめのことが好きだった八作。
自分の人生に恋愛はいらないという、かごめ。
“そういう考えが淋しいことは知っている。実際たまに淋しい。でもやっぱり、ただただ、それが私なんだよ”と言う、かごめ。
たぶん、かごめは八作の気持ちにも気づいていたのだ

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