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星野源の音楽と共約不可能性

星野源の音楽と共約不可能性

 科学哲学の分野には、「共約不可能性」という概念がある。もともとは、“いかなる整数比によっても表現することのできない量的関係”を表すための数学用語であったが、人文科学ではしばしば、この「共約不可能性(通約不可能性とも)」という用語が、別のパラダイムを背景に持つ他者との分かりあえなさや、他者理解、共感の限界を示す言葉として使われる。

 そして私は、“共約不可能”という事態について考えるとき、ふと、

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京都の大学生と、鴨川という存在

京都の大学生と、鴨川という存在

大学4年間を過ごした京都を離れることになった。入学する頃、「京都で学生生活を送れるなんて羨ましい」と言われたのを覚えているが、4年間を終えた今、本当にそうだと思う。京都で学生生活を送れることは羨望に値する。それくらい、よかった。古語で言えばをかしであり、現代語で言えばエモである。なんとも、言葉でうまく表せないのである。「なんか良い」のである。

そんな京都の学生たちを支えているのは、間違いなく鴨川

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京都の好きなところ探し

京都の好きなところ探し

最近、週のはじめに目標を立ててそれを達成する、ということをやり始めた。
以前の記事で、今週は早寝早起きを心がけようと思った、と書いたが、それもこれだ。

今週立てたのは、「京都の好きなところを毎日ひとつ探して言語化してみる」という目標。

◯1つめ(2/28)「大学のクスノキ下のベンチ」

自然の風景の中、それぞれが自分の世界に入っていて、気にしてくる人がいない環境で、好きなだけ日向ぼっこできるの

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京都に住むということ

京都に住むということ

 最近よく京都へ行くようになった。何をしに行くかと言われれば、一言で言えば「観光」の部類に入るのだろうが、特に有名な寺社仏閣をたくさん巡る訳でもなく、昔住んでいた住宅地や通っていた大学の周りをうろうろしたり、大好きな下鴨神社や鴨川デルタでのんびりと過ごしたりしている。ただしどれだけの頻度で京都に行こうとも、住むことと泊まることの間には大きな隔たりがあると最近感じるようになった。いくら懐かしい場所に

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自己採点はいつも満点なはずなのに。

自己採点はいつも満点なはずなのに。

机に向かえば、眠気と伸びない英語の点数と睨めっこするしかなくて。

受験シーズンという言葉は正しいのだろうか。この時期になるとよく耳にする言葉。

でも中3の時も、高3の時も春になった瞬間に受験シーズンだったけどな。

なんなら大学受験は2年の秋くらいから受験と向き合ってたはずなのにね。

受験生の皆さん、国家試験がある皆さん、勉強の調子はどうですか?

ノイローゼになってませんか?

睡眠は取れ

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「僕の京都案内。」〜POPEYEにあやかってみる〜

「僕の京都案内。」〜POPEYEにあやかってみる〜

本日発売のPOPEYE 12月号は、待ちに待った「京都」にまつわる特集だ。タイトルは「お久しぶりです、京都。」であり、前回のPOPEYE京都特集「お邪魔します、京都。」からは実に5年の時を要している。この5年、どれだけの人がPOPEYEで京都が特集されることを待ち望み、どれだけの人がPOPEYEで京都が特集されると知ったときに沸き立ったことか。実を言うと、僕もそのひとりだ。実際、今から2ヶ月ほど前

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京都

京都

昨日は落ち込んでしまいそうだったので絶対にからふね屋でパフェを食べると決心して四条河原町へ。

電車に揺られながら椎名林檎の幸福論を聴いて泣いたりした。

ボックス席には窓際の私とその斜め前のおばさんしか座っていなくて、そのおばさんが足をピンと伸ばし続けていたから誰も隣に座って来なかった。
普段ならマナー悪いなあとか思ったんだろうけど、この時はちょっとありがたかった。

18番出口から大丸の前に出

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祇園祭の思い出

祇園祭の思い出

さっき、散歩ついでに街に出向いたら、いつもは静かな住宅街が何やら賑わしかった。
あ、そうだ。祇園祭だ。
狭い通りに鉾の基礎が建てられているまさにその途中で、その様子をカメラにおさめようとする人、じっと遠くから、そして近くから見守る人がみんな鉾を見ていた。
イヤホンを外して、周りの音に耳を傾けていると、「今年は出来てよかったねえ」「ほんとやねえ」なんて会話も聞こえてきた。イヤホン外して良かった。

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京都下宿叙事文

京都下宿叙事文

人間の記憶というものには限界がある。既に我々の記憶容量は、肌身離さず持ち歩いているこのスマホというものに敵わない。僕もいずれ忘れていくのだろうかと思うと幾分か悲しい。いや、すこぶる悲しい。それほど、僕が京都で過ごした日々は愉快で楽しかった。勿論、楽しいことばかりではないのだが、それらも含めて大切な思い出として残しておきたいと思う。それ故に僕はインターネットという手段を用いて書き記すのである。
先に

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京都しみじみ

京都しみじみ

3月11日、ワタクシは4年間住んだ京都のマンションとお別れをした。3月9日に引っ越し業者が来て荷物を一掃し、11日に電力会社や大家との立ち会いを済ませ、最寄りの郵便局で転居届けを出したのであった。
思い返せば大学受験を終え、京都に物件探しをしに来たのがちょうど4年ほど前で、そこからたくさんの思い出を京都という地で積み重ね、気づけば自分の故郷をも超える大好きな地域となっていた。
ワタクシが京都に移り

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東京東側にしか住んだことがなかった私が1週間下北沢に暮らしてみた話。

東京東側にしか住んだことがなかった私が1週間下北沢に暮らしてみた話。

東京で暮らすようになって20年以上、途中転職での引越しなどはあったものの住民票は一貫して東京の東側、いわゆる「江戸」の方に置いてきた台東区在住の私。決して西側が嫌いなわけじゃない、むしろ好きだ。でもちょっと怖い。でも実際住んでみたらどうなのだろう?住んでみたことも無いくせに何か言うのは多分失礼だ。そんなわけで突如、劇団員とミュージシャンの集まる町、下北沢(シモキタ)に1週間住むことにしたのである。

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