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京都で過ごした大学生活、東京で過ごす社会人生活

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京都の大学生と、鴨川という存在

大学4年間を過ごした京都を離れることになった。入学する頃、「京都で学生生活を送れるなんて羨ましい」と言われたのを覚えているが、4年間を終えた今、本当にそうだと思う。京都で学生生活を送れることは羨望に値する。それくらい、よかった。古語で言えばをかしであり、現代語で言えばエモである。なんとも、言葉でうまく表せないのである。「なんか良い」のである。 そんな京都の学生たちを支えているのは、間違いなく鴨川だと思う。 鴨川が良いなんてあちこちで言われているだろうし、観光客にもその良さは

    • 息切れをした日のこと

      社会人になってからここまで3ヶ月、特に無理もせず、特に怠けもせず、普通にやってきた。自分ができることを、自分らしく。ちょっとだけ勇気を出した日もあったし、ちょっとだけサボった日もあった。そうやって、ここまでやってきた。学生時代に嫌いだった、「成長」という言葉にも、嫌悪感を抱かなくなった。逆に、成長実感が無いことに焦ることもあった。環境に適応し、それなりに頑張ってこれた。 そして今、ここにきて、少し息切れをしてしまった。心の余裕が無い。思い返せばこの3ヶ月、趣味の読書や映画鑑

      • 二人の空気感

        過去に好きだった人と、二人きりで話す機会があった。久しぶりだったので何をどう話せばいいのだろうと思っていたが、案ずる必要はなかった。二人でいれば、二人の空気感が自然と帰ってきた。ああ、こんなだったな。懐かしいな。大切だな。そう感じた。 その人といるときの自分は、他の人といるときの自分とは違っていて、特別だ。そしてまたその人も私といるときは、他の人といるときとは違うのだろう。違っていてほしい、と思う。わがままだろうか。久しぶりに触れたその空気感は、しばらくの間わすれていたもの

        • ただの引きこもり日記

          9:00。ぐったりと起きた朝。家で卒論を進めようと思いベッドから出たが、そういう決意は崩れてしまうことの方が多い。気がついたら部屋の模様替えを始めていた。私の部屋には本が多く、本棚に入り切らない。いや、正確には本以外のモノが本棚を侵食しているといった状況である。お薬箱も文房具もガジェット類も、この本棚に置いてある。断捨離は苦手だ。 12:00。そんなこんなで模様替えが終わり、新しいパソコンのセットアップを始めた。6年間使ったパソコンの余命がいくばくもないことを察し、学割がき

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        京都の大学生と、鴨川という存在

          難しいこと

          11月の末になり、急に時間の流れが早くなった。紅葉は散り、人に踏まれた落ち葉は色を失っている。師走の足音が近づいている。去年までは乾燥しらずだった手が、急にカサカサし始めた。 そんなこんなで大学4年生の終盤になり、身の回りの話題がガラッと変わるのを感じる。未だに就職や結婚という言葉は私の中で現実味を帯びない。大人になりたいわけもない。やりたいことも、特にない。大学生活でやり残したことを聞かれたとき、長期旅行などと答えたが、別にそんなにしたいわけではない。何に追われることもなく

          難しいこと

          学生最後の夏休み

          学生最後の夏休みの半分が終わった。「最後の夏」という言葉は、やりたかったことを実行するのに良い口実になる。そのおかげかせいか、夏休みと言えど普段よりも格段に忙しくなっている。目まぐるしく過ぎていく毎日では、じっくり考えたり、悩んだりする時間さえなくなっている。 朝から晩まで家を空けていることが多くなり、観葉植物の元気がなくなってしまった。私の気持ちの余裕は、この植物が示してくれていると言っても過言ではない。最近は特に辛い感情があるわけではないが、なぜか常に悶々としている。そ

          学生最後の夏休み

          頭に響く声

          四方八方から聞こえる蝉の声に思考もままならない。蝉が鳴いているだけで何倍も暑くなる気がする。京都の夏に蝉がいなかったらもっと快適かもしれないなと思いつつ、山の方の地域で育った私は蝉の声にノスタルジーさえ感じている。それにしても暑すぎる。 立て続けに2つ、夏のお祭りに足を運んだ。どれだけ人が多くても、暑苦しくても、お祭りというのは良いものだと心の底から思う。夜の空に浮かぶ提灯と、なぜか魅力的な屋台の食べ物たち。喧騒に包まれながら、数年前の楽しかった思い出を羨望の眼差しで振り返

          頭に響く声

          思い出せない夏

          ついに冷房をつけた。まだ6月だというのに京都は蒸し暑く、何をするのも気が重い。エアコンの口から出てくる風は、なぜか懐かしさを感じさせる。忙しいようで暇な、気怠いようで楽しいような、いまいち思い出せない夏が頭に浮かぶ。どんなだったか。日記が残っていればいいんだけれど。 深夜のカラオケは混沌としている。翌日のことを考える理性など残っていない状態で眠気と音圧に包まれながら、長いようで短い夜を過ごす。下宿する大学生にとって、友人と朝まで過ごせる場所は、つきまとう孤独感を塗りつぶすの

          思い出せない夏

          鴨川の夜、マジックのお兄さん。

          「鴨川等間隔ってそんなに等間隔でもなくない?」なんて面白くないことを考えている私にも面白い出来事は起きる。いや、私が面白くなさそうだから集まってくるのかもしれない。 ある夜、友達と鴨川でお酒を飲んでいた。いわゆる「鴨チル」というやつだ。四条と三条の間、やや三条寄りの西側。あらゆる大学生がこぞって飲んでいるチャミスルを初めて飲んだ。度数が高いので敬遠していたが、なかなかに美味しかった。そりゃ売れるよな。なんて上から目線で考える。酒弱いくせに。面白くないな、自分。 二人組がポツポ

          鴨川の夜、マジックのお兄さん。

          大学生の回顧録。

          大学に入学してすぐの頃、授業で一緒になった、違う学部の友達と仲良くしていた。近くの人と話してみて、と授業で言われ、なんとなく話していたら意気投合した。人見知りの私だったが、向こうから来てもらえるなら話は別。連絡先の交換までその日にしてしまった。SNSもつながった。別に友達がいなかったわけではなかったが、その出会いには少しワクワクしていた。コミュニティがかぶっていないのをいいことになんでも話せる関係性が、心地よかった。初めは食堂で一緒にご飯を食べる程度の仲だったが、そのうち授業

          大学生の回顧録。

          靄のかかった

          長引いた夏が一気に消えて晩秋のような気候。シャツにニットベストだけじゃ心もとない。着るの楽しみにしてたのにな。床が冷たいからカーペットをかぶせてあげる。布団にもついでにもこもこの服を着せる。衣替えするのは人間だけじゃない。 ふと外を見ると電線にキミドリの鳥。3羽仲良く、と言いたいけれどほんとに仲良しかはわからない。この前お世話になった美容師さんは、飼ってるウーパールーパー3匹にそれぞれイナリ、シャケ、ガリって名前をつけたらしい。人間は勝手だ。ガリにも愛情注げるのかな。と思う

          靄のかかった

          大人になること

          つい2か月ほど前、私は20歳になった。改めて考える。「大人」ってなんだろう。20歳になったから急に大人になれるわけでもなく、誰かが「君は今日から大人だ」と決めるわけでもない。見た目が大人っぽいとか、内面が大人びているとか、そういうのが大人なのだろうか。学生じゃなくなったら大人と言う人もいるが、それは形の話だけだと思う。どうしたら大人になれるのか。なにが大人の条件なのか。 時々、自分のやりたいこと、思っていることを主張している人に対して、「幼稚だなあ」と言う人がいる。逆に、い

          大人になること