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頭に響く声


四方八方から聞こえる蝉の声に思考もままならない。蝉が鳴いているだけで何倍も暑くなる気がする。京都の夏に蝉がいなかったらもっと快適かもしれないなと思いつつ、山の方の地域で育った私は蝉の声にノスタルジーさえ感じている。それにしても暑すぎる。

立て続けに2つ、夏のお祭りに足を運んだ。どれだけ人が多くても、暑苦しくても、お祭りというのは良いものだと心の底から思う。夜の空に浮かぶ提灯と、なぜか魅力的な屋台の食べ物たち。喧騒に包まれながら、数年前の楽しかった思い出を羨望の眼差しで振り返る。

色んなことがどうでもよくなってしまい、深夜までお酒を飲んだり、友達の家で雑魚寝をしたりと、少しだけ羽目を外してみたのが2週間ほど前。その頃は夜に押し寄せる不安をどうしても打ち消せなかった。無茶をしてみて1つわかったことは、自分からは遠いと感じていた世界が意外と身近にあるということだった。

もうずいぶん前から、ひとりで寝る夜には必ずと言っていいほど泣いている。何がそんなに辛いのか。多分もう癖になっているのだ。ちょっとしたことからネガティブの沼にはまりやすいのが原因だが、普段からそんなにネガティブなわけではない。こんなだから、遠くに住む恋人との通話は、睡眠薬のような効果を持っている。

頭のなかで、「そろそろ幸せになっちゃえば?」という声が聴こえる。自分を縛る色々なものを捨ててしまって、もっと楽になればいい。いつだって大切なものは自分の外にあるものだ。そうわかっていても鬱々としているのは、自分の中にある感情こそが自分を内面から形作っていると思いたいからである。

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夏の思い出

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