大成 海
今月の事を、忘れないように、文字にして、残しておくのです。そんな文章たち、ございます。
5年ぶりに出たPOPEYEの京都特集「お久しぶりです、京都。」の中の「僕の京都案内。」にあやかって、勝手に京都を紹介してみよう!
僕が観た映画と日常の関係性について極私的に。
京都を中心に全国各地の看板、揃えます。
2022夏、瀬戸内国際芸術祭、通称セトゲイへ言った記録……というか記憶。
4月1日というのは年度が変わる節目の日で、(大半の人が)二度と背負うことはないだろう「学生」という肩書を降ろし、新たに「社会人」という肩書を背負いなおす、そんな日だ。入社式があったり、初めて会社に出社して仕事をしたりして、4月1日の夜には「新社会人の皆さまおつかれさまです」なんて言葉をよく聞くもんだが、今年は4月1日が土曜日なのでなんだか違和感を感じる。同級生の友人は「今日から社会人になります」だとか、「勤務地の都合で親戚の家に引っ越す」だとか言っている。 ぼくもほんとうは
僕は日の丸を背負い、侍ジャパンの一員として世界と闘うことが夢だった。中学の野球部を引退してからなので、7年ほど野球から離れた生活をしているのみならず、中学時代はまともに試合に出たことがないとは言え、小学生の頃は地域のソフトボールチームでは毎日練習を頑張って試合に出ていたし、高校時代は模擬試験が終わる度、さびれたゲームセンターでゴムボールを手に入れ、友人と近所の川べりでキャッチボールをしていた。なので、ひょっとすると栗山監督から連絡があるのではないだろうかと、微かな(本当に微か
喫茶店のドアを開けると、「この間、来てくれたね」とママさんが出迎えてくれる。バイト先から北東の方向に歩いて約5分。家と家の間にひっそりと佇む“喫茶 杉”が見えてくる。装いは煉瓦造り、お店の前には植物たち。赤と白の、いかにも喫茶店然とした看板がなければ、 “喫茶 杉”を見つけるのは容易ではない。“喫茶 杉”はそれほどに、西陣の町に溶け込んでいる町の「ちょうどよい」喫茶店だ。特に行列ができるような「流行りの人気店」というわけでもないが、町で暮らしている生活者たちが羽を休めたくなる
「やっぱり本は紙でなきゃいけない」という主義を掲げているぼくは、スマホやパソコンで長い文章を読むのが苦手だ。noteに散々文章を投稿しておいて、当の本人がnoteなどweb記事の文章を読むのが苦手なのだと言うのはいささか無責任な話かもしれないけれど、苦手なのだから仕方がない。でも、モノとしての本であれば、長い文章でも読んでいられる。それは文庫本であろうが、単行本であろうが、雑誌であろうが、リトルプレスやZINEのような薄い冊子でもなんでもいい。なぜ、紙の本でないと文章が読めな
僕は京都の中でも北の方に位置する、上賀茂という地域に4年間ほど住んでいた。上賀茂神社から西へ向かい、加茂川にかかる上賀茂味御園橋を渡り、王将に入ってカウンターに座り、餃子とチャーハンとビールをいただく。京都銀行のATMでお金を下ろし、御園橋サカイで冷麺を食べたいなぁと思いつつも、先ほど中華を食べたばかりだということを思い出し、全く車が来る気配がないのになかなか変わらぬ赤信号の前で待ち、畑や住宅、あるいはナベセン家具を右手に、一方で服部歯科や鈴木整形外科を左手に坂を登れば、やが
ある日、思い立った。1日の行動や感情をプレイリストにしてみようと。日記のようなプレイリストを作ってみようと。楽曲は様々な主題をもとに制作されている。例えば、それは愛であったり、夢であったり、希望であったり……。愛の歌があるなら、トノサマバッタの歌もあるはずだし、夢の歌があるなら、画鋲についての歌があってもなんら不思議ではない。知り尽くすには到底不可能なほど、大量に、膨大に楽曲は存在している。ということは、誰かが作った曲たちをうまいこと組み合わせれば、ある程度の物語を生み出すこ
僕はフィルムカメラを所有しており、時たま、気分が向いたときに、そのフィルムカメラをポケットにしまって出かけることがある。でも大体は、誰かと喋っていたり、酒を飲んでいたり、ひとりでいても映画館やレコード屋をはしごすることに夢中になり、フィルムカメラのことは頭の片隅からもいなくなってしまう。それで、1枚も写真を撮ることがなく家に帰ってくるのである。また、パシャパシャと写真を撮ったとしても、写真を撮ること自体を愉しむばかりで、実際にフィルムを現像することがない。現像代は高いし。そん
第1回はこちら 同じ滋賀県内だというのに、琵琶湖を北と南に隔てるとこんなにも天気は違っているのだろうかと驚いてしまうほど、近江塩津は天気が悪かった。悪天候も悪天候。雨かひょうかあられかよくわからないものが降りしきり、空はチャコールグレー1色。この空を視覚的に表すなら、Adobeのイラストレーターを開き、図形ツールで四角形を作り、それをグレー1色に塗りつぶしてしまえばよい。印刷に出すときも、モノクロで刷ることができるから、低価格でお財布にもやさしい。そんな感じの色をした空の下
僕は今、電車の中でこの文章を書いている。今朝、難波で目を覚まし、18時には梅田にいる必要がある。それまで、僕は1日何をしようかと思いながら、とりあえず電車に乗った。ただまっすぐ梅田へ出ても面白くないので、気の向くままに電車を乗り継ぎ、気になる土地に立ち寄りながら、長すぎる寄り道をしてみようと思い立ったのである。 第1回はコチラ 第2回はコチラ 3番ホームの階段を登ると、タイミングを合わせてくれたみたいに、ちょうど電車がやってきた。列の後ろに並んでいたのだけれど、たまたま空
僕は今、電車の中でこの文章を書いている。今朝、難波で目を覚まし、18時には梅田にいる必要がある。それまで、僕は1日何をしようかと思いながら、とりあえず電車に乗った。ただまっすぐ梅田へ出ても面白くないので、気の向くままに電車を乗り継ぎ、気になる土地に立ち寄りながら、長すぎる寄り道をしてみようと思い立ったのである。 奈良駅の電光掲示板を見上げ、次はどこに行こうかと思案する。選択肢は大阪へ踵を返すか、天理の方へ足を伸ばすか、聞いたこともない地域を訪れてみるか、京都へ戻るか。数分悩
僕は今、大阪を走る電車の座席に座って、この文章を書いている。どのような電車かというと、外見が黄緑色で、長い座席が電車の両側面で向かいあているような電車だ。10時30分に難波を出発し、天王寺を越えてどこかへ向かっている。どこに向かっているのかはよくはわからない。 なぜ僕がどこに向かうのかわからない電車に乗って文章を書いているのかを説明すると長くなるので、簡単に言うと、暇を持て余したからだ。もう少し言葉を付け加えると、昨日、梅田にて東京から来た知人と会う約束があり、京都から大阪
今年の抱負を書くなら、多ければ多いほど良い。実現が不可能な抱負であっても良い。しょうもないものがあってもいい。いろんな抱負を2023こ集めました。 1. たくさんごはんを食べる 2. 和田誠展にいく 3. 和田誠展の図録を買う 4. 和田誠展のポストカードも買う 5. おいしい炒飯を作る 6. ラーメンを作る 7. DJをする 8. お餅を食べる 9. 毎日欠かさずお酒を飲む 10. 家ライブをする 11. 引っ越す 12. ピエール・エテックスを観に
今月が終わると、来月がやってきて、今年が終わると、来年がやってくる。赤子にもわかる理論だ。2021年の次は2022年であり、2022年の次は2023年だ。丑年の次は寅年、その次は卯年。なのに、なぜ、12月の次は13月ではなく、1月なのだろうか。毎年大晦日になると、なぜ明日は13月ではないの?という疑問が押し寄せ、それはやがて不信感に変わり、みんなが年越しだと騒いでいる中、僕はひとり孤独に1月と戦い続ける。なんてことはもちろんあるはずはないけれど、なんだかせっかく行列に並んだの
世の中には自分が思いも寄らない仕事があったりする。その中には、収入がよかったり悪かったり、社会的な地位が高かったり低かったり、スーツを着る必要があったりなかったり、資格が必要であったりそうでなかったりする。そんないろいろな要素を考慮し、何かの仕事に就いてお金を稼ぎ、毎日飯を食い、酒を飲む。それが人間の営みだ。 サンタクロースという仕事に資格は必要ない。そりゃ、サンタクロース検定(略して「タク検」)の2級や3級くらい持っていれば、いざサンタクロースになった時に依頼が増えること
京都に住む大学生の大成海はこの頃、オクノ修さん(六曜社珈琲店地下店店主・シンガーソングライターとしても長く活動)の曲を習得しては自身のSNSに投稿している。なぜ今、22歳の彼が、オクノさんの歌を弾き、歌うのだろうか。果たして彼はオクノさんにどのように出会ったのか。その真意に迫るべく、自身によるセルフインタビューを敢行いたしました。(聞き手・編集:大成海) ーー最近、オクノ修さんの曲を練習されていると聞きましたが。 大成:そうなんです。今は「夜がそこまで」「ダーティ・オール
年末が近づいてきたけれど、年末が近づいてきた感覚があまりない。年末が向こうから近づいてきているのか、あるいは僕が年末の方へ近づいていっているのかすらもわからない。そもそも、僕は土曜日や日曜日にバイトに入って働いているし、平日が休みだったら朝から缶のビールを飲んでいる。だからそもそも曜日の感覚もあまりない。そして、今年は海へ泳ぎに行くこともなければ、ハロウィンっぽいこともしなかったから、季節もののイベントからは遠いところにいて、毎晩飲み屋に入っては、いつも同じようにお酒を飲んで