大成 海

おもしろがってくたさい。 ○ https://linktr.ee/onarik ○…

大成 海

おもしろがってくたさい。 ○ https://linktr.ee/onarik ○onarik2000@gmail.com

マガジン

  • しかめっ面deレコード収集

    ぼくがいかようにしてレコードを買い集めているか、京都を中心としたレコードショップの話とともに。

  • 僕の京都案内。

    5年ぶりに出たPOPEYEの京都特集「お久しぶりです、京都。」の中の「僕の京都案内。」にあやかって、勝手に京都を紹介してみよう!

  • 今月が終われば、来月がやってくるらしい

    今月の事を、忘れないように、文字にして、残しておくのです。そんな文章たち、ございます。

  • 映画についての極私的な文章

    僕が観た映画と日常の関係性について極私的に。

  • あらゆる看板

    京都を中心に全国各地の看板、揃えます。

最近の記事

【前編】次期日本銀行券における肖像人物の予想

序文 2024年7月3日。この日は、新しい日本銀行券(通称:お札)が流通を始めた日である。お札に描かれている人物と紙幣のレイアウトが一新され、ニュースでの報道や知人・友人との間でも「新しいお札もう見た?」なんて会話で話題になっている。ちなみに、ぼくはまだ見ていない。別に新しいお札がなんだという気持ちの反面、ぼくも早く新紙幣を見てみたいというじんわりとした焦燥感があり、この感覚は数年前に一瞬だけ一世を風靡した「クラブハウス」というアプリが登場したときの感じに似ている(こんなア

    • 七夕2024

      京都の出町にある枡形商店街は、7月が近づいてくるたびに七夕を祝っている。商店街の脇にはいくつかの笹の木が設えられ、そこには近隣の老人ホームにいる老人たちや、幼稚園や保育園に通う子どもたちのあまたの願いが吊るされている。一方は健康や安寧を願うばかりだけれど、もう一方は子どもらしい自由な発想で、「けいさつにになりたい」という子どもらしい願いにはじまり、「ほしいものがほしいです」という人間の欲求の心理をついた哲学的な願いから、「たんじょうびがはやくきますように」という、プレゼントを

      • さらば、愛しきヌートリア

        ぼくはほとんど毎日、川辺を歩いたり、自転車で走ったりしている。それは鴨川であったり、または賀茂川であったり、あるいは高野川であったりする。京都の町には南北を貫く大きな川があるので、日常的にこの川を使う。鴨川を一度でも歩いたことのある方ならきっとお分かりだろうが、鴨川には信号がないので不毛な停車をする必要がないし、大通りのポイントでは道路に出られるようなスロープも用意されている。それはまるで高速道路のようだ。しかも無料なのである(当然だ)。それだから、たとえば今出川から丸太町ま

        • 【企画書】「六山の送り火」

          行事題目:「六山の送り火」 日時:2024年8月16日 20時ごろから 場所:京都市内各地 京都の伝統的文化 古くから日本の中心であった京都という町には、さまざまな伝統的な文化が残っている。まずは毎年多くの人を集める祇園祭や葵祭、御霊祭りをはじめとした各神社の祭り。気が遠くなるほど長い間に渡って続いているこれらの祭りの長所と短所をとりあえずまとめてみた。 ○長所 ・古くからの伝統を絶やすことなく次世代に語り継ぐことができる。 ・京都府内だけでなく、全国、世界中からの観光客

        【前編】次期日本銀行券における肖像人物の予想

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        • しかめっ面deレコード収集
          3本
        • 僕の京都案内。
          2本
        • 今月が終われば、来月がやってくるらしい
          12本
        • 映画についての極私的な文章
          16本
        • あらゆる看板
          3本
        • セトゲイなんて最高じゃないか
          4本

        記事

          休日は 箱を運んで 銭稼ぎ(後編)

          前編はこちら 公園での休憩から事務所へ戻ると、見るからに大学生然とした青年が元気に立っていた。昼から合流するタイミーさんだ。午前からすでに大量の箱を運んでくたびれている我々の目に比べると、彼の目は輝いている。しかも尋常でない輝き方をしていて、俳優の片桐はいりさんのような輝きを放っている。だから、便宜上、この文章で彼のことは「片桐くん」と呼ばせていただくこととする。 昼からは何やら折りたたみのテントの搬入があるようで、路面に駐車した4tトラックから20kgほどの重量のある段

          休日は 箱を運んで 銭稼ぎ(後編)

          休日は 箱を運んで 銭稼ぎ(前編)

          ぼくはコンビニの棚に陳列された数種類の軍手の前で悩んでいた。手のひらの側が全てラバーに覆い尽くされたものがいちばん好ましいように思うが、価格は500円と少し。今日1日しか使わないのに、軍手ひとつに500円も払うのはいかがなものかと、隣にあった150円の軍手を手に取った。その軍手は、街頭アンケートで「あなたの思う軍手とは」という質問をして、返ってくる答えでいちばん多いだろう、よく道端に落ちているような、いかにも軍手的な白い軍手だ。その手のひら側に黄色いラバーのドットが散りばめら

          休日は 箱を運んで 銭稼ぎ(前編)

          甲子園球児を眺めながら呑むビールの旨さ

          「大きくなったら甲子園に出て、プロ野球選手になるから応援に来てください」と、かつて野球少年だったぼくは、いろんな場所で言っていた。両親に、祖父母に、近所の人に、所属していたソフトボールチームのコーチなどに。結局ぼくは、中学校の野球部で周りの部員たちに身長も体力も技術も情熱も、なにもかも追いていかれ、野球部のない高校へ進学した。今となっては夢は夢のままで終わってしまったのだけれど、それはそれでまぁある程度は幸せな夢であったように思う。 そんな野球少年だったぼくも、いつの間にか

          甲子園球児を眺めながら呑むビールの旨さ

          しかめっ面deレコード収集 第3回「給料日の葛藤」

          今は昔……、と言うには少しばかり最近のことのように感じるけれど、これは今年の6月10日の話である。たいてい、ぼくはお給料が入ると、給料前数日間の、我慢を虐げられる生活の中で溜まった鬱憤を晴らさんとばかりに、レコード屋をめぐることを習慣としている。この日もいつものように、某出版社での勤務が終わると、レコード屋が密集している京都の街の方へ自転車を走らせたのであった。 まず手始めに訪れたのは、“Art Rock No.1”。ここは京都市役所の裏のほうのビルの7階にあるレコード屋で

          しかめっ面deレコード収集 第3回「給料日の葛藤」

          しかめっ面deレコード収集 第2回「VSシュガー・ベイブ」

          給料日がやってくると、多少なりとも経済的な余裕が生まれたのをいいことに、ぼくはレコードを収集する旅へと出る。ひとつレコード屋に入ってみるとだいたい10枚ほどのめぼしいレコードに出会うわけだから、5つのレコード屋に入ればめぼしいレコードの数は、複雑な計算を経た結果、500枚ほどになってしまう。そんな膨大な数のレコードを余すところなく連れて帰ることができれば、そりゃいいのだけれど、いかんせんお金もないし、相変わらず部屋も狭い。なので、膨大なレコードのなかから欲しいものを厳選して手

          しかめっ面deレコード収集 第2回「VSシュガー・ベイブ」

          しかめっ面 de レコード収集 第1回「京都を歩けばレコード屋」

          ぼくは休日になれば、町へ出かけ、いくつものレコード屋をめぐるなどして午後からの1日を潰すことがある。と言うと、なぜ午後からなのか、せっかくの休みならば朝からいけばいいではないかと思う人もいるだろうし、ぼくも実際そう思う。朝から夕方までレコード屋巡りができれば、それはそれは幸せなことなのだろうけれど、あいにく京都の中古レコード屋というのは、揃いも揃って開店が正午以降なのである。それゆえに、朝9時のバスに意気揚々と乗り込んだとしても、9時半になるころには目的地に到着してしまい、京

          しかめっ面 de レコード収集 第1回「京都を歩けばレコード屋」

          和田誠に出会い、和田誠に恋をする。

          和田誠。そうきいてピンとくる人もピンと来ない人もいるだろう。実際、ぼくは2年ほど前までは彼の名前は知らなかった。でも、彼の名前を知るまでにも彼が手掛けた本や彼の作品のいくつかには出会っていたので、多くの人がぼくのように知らず知らずのうちに和田さんのなにかしらに触れていることだろう。 和田さんは1936年に大阪に生まれ、幼い頃は外で遊ぶよりもうちのなかで絵を描くの方が好きで、落書きや漫画を作ったりしていた経験からか、小中高校生のころは科目べつにノートを分けず「オムニバス」とい

          和田誠に出会い、和田誠に恋をする。

          【ポートレート・イン・キョウト】 第2回 タカヤマ ダイスケ

          『Portrait in Jazz』という本がある。イラストレーターの和田誠さんが敬愛するジャズマンたちのイラストを描き、それを気に入った小説家の村上春樹さんが、彼らへの愛を書いたという、ただそれだけの本なのだが、ジャズを好み、和田さんと村上さんをそれ以上に好む僕にとってはたまらない1冊だ。この本を読みながらひらめいた。僕も尊敬する京都の人たちをイラストと文章で紹介しようと。そうして生まれたのが、『Portrait in Kyoto』なのである。 みんなが「大ちゃん、大ちゃ

          【ポートレート・イン・キョウト】 第2回 タカヤマ ダイスケ

          【ポートレート・イン・キョウト】 第1回 タブチ ヨウジロウ

          『Portrait in Jazz』という本がある。イラストレーターの和田誠さんが敬愛するジャズマンたちのイラストを描き、それを気に入った小説家の村上春樹さんが、彼らへの愛を書いたという、ただそれだけの本なのだが、ジャズを好み、和田さんと村上さんをそれ以上に好む僕にとってはたまらない1冊だ。この本を読みながらひらめいた。僕も尊敬する京都の人たちをイラストと文章で紹介しようと。そうして生まれたのが、『Portrait in Kyoto』なのである。 河原町丸太町周辺のお店に限

          【ポートレート・イン・キョウト】 第1回 タブチ ヨウジロウ

          満を持しての天満呑み、終電に乗って始発で帰る。

          大阪で酒を呑もうと思えば、僕はたいてい梅田の駅前ビルに行く。梅田第1ビルから梅田第4ビルまでの地下は迷路が張り巡らされたような造りになっており、右を見れば居酒屋、左を見れば喫茶店、ちょっと進めば右にも左にも居酒屋があるといった具合。素面でいても、どちらに向かって進んでいるのかよくわからず、なかなか抜けられない迷路なので、目ぼしい居酒屋にちょこちょこ入りながら進んでいれば、なおさら抜けられなくなる。そして、大瓶を注文しても500円でお釣りが帰ってくるほどの大阪価格なので、ついつ

          満を持しての天満呑み、終電に乗って始発で帰る。

          1年前の『逆光』とこれからの『ABYSS』。

          ちょうど1年前の今ごろは、毎日ドタバタと京都の町を駆けずり回り、行くさきざきでいろいろな人に出会い、くる日もくる日も楽しくて楽しくて仕方がなかった。きっとぼくの目はキラキラと輝いていて、それに伴って世界もキラキラと輝いて見えた。出会う人はみんな楽しそうに過ごしている人ばかりで、とくに根拠はないけれど、ぼくはこれからこの人たちのようにごきげんに生きていけるのだと、漠然と思えた。 というのは、ぼくは1年前の春、『逆光』という名の映画の宣伝配給をしていたのである。『逆光』という映

          1年前の『逆光』とこれからの『ABYSS』。

          社会人の成り損ない

          4月1日というのは年度が変わる節目の日で、(大半の人が)二度と背負うことはないだろう「学生」という肩書を降ろし、新たに「社会人」という肩書を背負いなおす、そんな日だ。入社式があったり、初めて会社に出社して仕事をしたりして、4月1日の夜には「新社会人の皆さまおつかれさまです」なんて言葉をよく聞くもんだが、今年は4月1日が土曜日なのでなんだか違和感を感じる。同級生の友人は「今日から社会人になります」だとか、「勤務地の都合で親戚の家に引っ越す」だとか言っている。 ぼくもほんとうは

          社会人の成り損ない