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偶然にしては、運命すぎる旅2【夕焼け編】~彼岸花の空と月~


駐車場を出ると…

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「わ〜!何これ〜!
めちゃくちゃキレイ!」

水彩のように美しい空。
ピンクと水色のグラデーション。

その上に
おぼろげなオレンジと
細かく細い斜線上の雲が
彩りを加えていた。

「忘れてた〜!
夕焼け!
ゴールデンタイム!」

台風通過後の夕焼けは
特にキレイだから
見たいと思ってたのに…!

たこ焼きに並んでたら、
すっかり忘れていた。

そうなのだ。
台風前後の空は
普段とは違った色や雲のカタチを
見ることができる。

早く、
夕焼けスポットに行かなきゃ!

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しかし、連休の影響か
道が混んでいる。

これだと
間に合わないかもしれない。
近場に変更するか…。

「間に合うかわからないけど、
一か八か行ってみていい?
パン子ちゃんに
ステキな夕焼け見せたいんだ」

なんと…。

「うん(涙)、ありがとう!」

本当、耳男くんは
自分の利益のためじゃなくて、
「相手のため」に
心と体を動かせる人だ。

ゆっくり進む車から眺める、
夕焼け。
目まぐるしいほど
いろんな表情を見せてくれる。
車内で大興奮。

あっという間に
夕日が明日に沈む。

ピンクと水色の空タイムが終わり、
ネイビーとオレンジ色が強くなる。

次第にパープルも混じり、
神秘的な色に染まる。

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やーっと渋滞を抜けた。
先を急ぐ。

「夕焼け、待ってて〜!」

「間に合うかなあ〜」

もし、
心のスピードで走れるのなら
とっくに到着しているのに。

大通りから小道に入り、
土手に車を止める。

階段を駆け上がると…

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「わっ!キレイ!」

「わぁ〜〜!本当だ〜〜〜!
たこ焼きのせいで
ピンク空には見に合わなかったけど、
すごくキレイ〜!」

そこにはパノラマに広がる
夕焼け。
水面に空が映り、とっても美しい。
嬉しくて
子どもみたいにはしゃぐ。

「パン子ちゃんの笑顔見れた~」
と喜ぶ耳男くん。

「ほんと、笑顔の空だよ~。
連れてきてくれてありがとう!」

「わっはっは。任せなさい」

「今日は
富士山がはっきり見えるね!
赤富士だ〜。
あ、スカイツリーちゃんも!
お久しぶりです。」

景色とおしゃべり。

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「空が燃えてるねー。
彼岸花色の空だね。
…あっ!
あそこに彼岸花があるよ」

「本当だ!
キミはいろんなところに
顔を出すね~。
彼岸の花空だぁ」

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「…ってか、耳男くん。
半袖寒くない?」

昼間とは違い、
冷たい風が強く吹く。
長袖の上着を羽織っている私でも寒い。

「ん?わっ、寒!」

袖を引っ込めて、
服の中で暖をとる耳男くん。

景色に夢中になると
寒さを忘れるって
よくある。

真冬に行った
ヴェネツィアの旅を思い出した。

手先が凍るほどの氷点下の中、
カラフルな街並みに魅了され
手袋をはずし、
写真を取りまくって
走ってはしゃいだこと。

冷静になった瞬間、
手が凍死しそうにカチコチで、
お店の中に走り込んだこと。

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でも。

「忘れるくらい夢中になる」

そんな瞬間が人生には
多いほうがいい。

本当に思う。

病気になってから
すごくすごく、
そう思う。

過去や未来が入る隙もない位、
目の前のことに
夢中になること。

楽しい!嬉しい!
だけしか感じない。

嫌なことや悩みなんて
どっか行ってしまう。
いや、そんなもの
勝手に自分が作り出したもので、
もとからないんだ。

そう思える時間が
心の傷を癒し、
生きることへの希望になる。
心のパワーになる。

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小さく細かい光が
キラキラと並ぶ。
遠くから見る都会の景色は
天の川みたいだ。

今日はいつまででも
夕焼けのグラデーションが美しい。

耳男くんと見る空は
いつだって美しい。

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「キリがないから
そろそろ帰ろうか」

「そだね。
明日も会えるし」

振り返ると、

「あっ、月!
あとちょっとで
まんまるだ!」

明後日は十五夜、お月様。

「本当、もう少しで満月だね。」

夕焼けも月も美しくて
なんだかうるっときた。

「バイバイ、夕焼け」
「また明日」

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帰りの車の中。
明日行く場所を話す。

「明日は鼻高の丘に行くかね~」
「わーい!ありがとう!」

突拍子もなく
やっぱり尾瀬に行くか、
尾瀬の予行練習に
どこかの山に登るか、
ぐるりぐるり考えた結果。

コスモスが見たかったので、
ちょうど見頃を迎えている
群馬にある
「鼻高展望花の丘」に行くことにした。

実は、一度行ったことのある場所。

耳男くんはどうか分からないけど、
とっても気に入った場所だったので
また行けるのが嬉しい。

明日も天気が良さそうだ。

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夜ご飯は、
マルゲリータを焼くことにした。

なかなか苦戦する
まんまる満月のピザ。

上手く生地が出来上がらない。
焼き加減の正解が分からない。

料理は焼き加減によって
美味しさが変わるから
大事な作業だ。

そして
オーブン、フライパン、
最後はレンジを活用。

見た目はアレだが、
まあまあ
美味しく焼き上がった。

(きっと、シンプルに
オーブンの温度を上げて焼けばよかった。
疲れていたのだろう)

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テーブルにあった満月は
半月になり
三日月になり、
あっという間に新月になった。

そんな連休1日目。


3に続く…。

泣き虫 パン子

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