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これからの人材・組織開発の話をしよう。

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人材開発や組織開発について知ったこと、考えたこと。
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#組織開発

結局、組織はトップ次第であるという言説と品性(インテグリティ)について

結局、組織はトップ次第であるという言説と品性(インテグリティ)について

結局のところ、組織はトップ次第である。組織のビジョン実現を妨げているのは、ビジョンを掲げている当の本人、組織のトップであることは少なくない(ように思われる)。つい、先日も同僚と、「なんとなくあの組織のトップは信用できない。組織の求心力を弱めているのは、当の本人ではないか」、そんな話になった。こうした話は、特別、ぼくのような人材・組織開発コンサルまわりだけのものではなく、みな働いていれば、実感のもて

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【日本的組織開発論】『失敗の本質』に見る日本軍の集団主義的傾向と河合隼雄の「場の論理」

【日本的組織開発論】『失敗の本質』に見る日本軍の集団主義的傾向と河合隼雄の「場の論理」

『失敗の本質』を再読した。先日のnoteで触れた河合隼雄「場の論理」に関連して、さらに思考を深めるために、何かヒントが得られるのではないか、と思ってのことだ。

河合の「場の論理」とは、「与えられた「場」の平衡状態の維持にもっとも高い倫理性を与えるもの」であった。「場の中に「いれてもらっている」かぎり、善悪の判断を超えてまで救済の手が差しのべられるが、場の外にいるものは「赤の他人」であり、それに対

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組織はメンタルモデルで動いている

組織はメンタルモデルで動いている

個々人の異なるメンタルモデルが組織開発の障害になる。最近、そう思うことが増えた。特に、組織間の利害を調整しつつ、組織として一貫した戦略をもち、もっとも組織のパフォーマンスを最大化する。組織開発をそう定義した場合、上記の仮説が立ち現れる。

組織間の利害を調整するとはどういうことだろうか。たとえば、よくあるのは営業と製造現場でのやりとりである。営業は製造された商品が売れない、と主張し、反対に製造部は

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なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

組織開発にすこしでも関心がある方は、クルト・レヴィン(Kurt Lewin)の場の理論(Field Theory)を知っている読者も多いかもしれない。レヴィンは、社会心理学者であり、グループダイナミクスや組織変革の研究で知られている。彼の場の理論は、主に個々の行動やグループの行動を特定の社会的な状況や「場」の中で理解しようとするものだ。

レヴィンの場の理論は、**B = f(P, E)**の式で

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組織開発はなぜ難しいのか

組織開発はなぜ難しいのか

20年と組織開発に携わってきたが、つくづく難しいなあ、と思う。どうすれば、組織は変わっていくのか、機能するのか、どの手法が最善なのか、と頭を悩ませ続ける日々を送っている。が、今だ明瞭な答えは見いだせない。あまりにも難しいせいで、そもそも組織に対して、少なくとも外部のコンサルタントという立場では、変化を起こせないのではないかとも思う。2020年にぼくたちの働き方を変えたのは、組織開発ではなく、新型コ

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ホワイトすぎて離職?時代に組織開発はどうあるべきか

ホワイトすぎて離職?時代に組織開発はどうあるべきか

コロナ禍の影響だからだろうか。新入社員の傾向が昨年と比べて大きく変わっているように思える。どう変わっているのだろうか。それは、以下の記事でも述べられている。

ホワイトで、働きやすい企業に就職した人たちが不安を感じており、離職するケースが増えているのだという。その不安は、社会活動経験が多い人ほど高まるという。この「ぬるま湯」のなかにいて、自分は先々大丈夫だろうかという不安なのかもしれない。

ぼく

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心理的安全性のもうひとつのリアリティ

心理的安全性のもうひとつのリアリティ

マネジメント経験が増えるにつれて、どんな人が成長していくかがわかってくる。それゆえに、自分が携わっている人材開発や組織開発という領域で、どんなサービスが提供できるかを考えている。

最近、よくあたまに浮かぶテーマは”いかに働く人たちの不安を取り除くか”である。最近のトレンドワードでいえば、心理的安全性ということになるのだろうか。いずれにせよ、働く人の不安は仕事のパフォーマンスの低下に大きく影響して

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現場に資する組織開発とはなにか

現場に資する組織開発とはなにか

最近は、自分の生業でもある組織開発を批判的に検証する、ということをおこなっている。社会人になって以降、ずっとこの界隈にいるので、組織開発を批判するということは自身のアイデンティティを批判するということと同義であり、つらい作業である。

とはいえ、批判的の組織開発を再検討することは以下のような理由で求められている。現場のプロフィットセンターで十数人をマネジメントする立場からすれば、組織開発はおおくの

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組織開発のレベルを高めるためにぼくが実践してきたこと

組織開発のレベルを高めるためにぼくが実践してきたこと

組織開発はアートである。このことは、以前にnoteに書いたことがある。

組織開発は多様な課題を対象としており、多様なアプローチをとるものだからこそ、その実践の輪郭はぼんやりとしており、曖昧である。妥当性が高いと思われたソリューションは想定した成果を出せず、むしろ、思いがけない副産物が生まれたり、あるいは、思いがけないアイデアが想像以上の成果を生むこともある。まったく思い通りにいかない。そういう意

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効果を最大化する人材開発および研修設計ノウハウ4つ

効果を最大化する人材開発および研修設計ノウハウ4つ

ぼくは2006年に社会に出てからほとんどの時間を人材開発に費やしてきた。ライフワークと言ってもいい。今は現場に出ることは少なくなったが、営業およびコンサルタントとして仕事をしてきた。社内、社外問わず人材開発、研修設計・実施をしている。

人材開発や研修といえば、効果測定が難しいと言われている。クライアントが研修を受けたら具体的にどうなるのか、よく聞かれる。回答は、人材開発や研修は変数が多すぎて、正

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人材開発や組織開発は永遠だ。

人材開発や組織開発は永遠だ。

ぼくには部下がいる。サービス責任者をしている関係もあって、関係者も含めると10数人だ。ぼくの組織はほとんど文鎮型で、マネジメントに携わっているのはぼくを筆頭にほとんどいない。そんなわけで、ぼくは1日のほとんどの時間をミーティングをして過ごしている。部下の相談に乗ってアドバイスをする。その繰り返しだ。

人材開発や組織開発は永遠だ。ぼくはここ数年、そう考えるようになった。ぼくはキャリアのほとんどを人

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HRTech全盛時代に陥る罠、あるいはデータの消化不良と組織開発について

HRTech全盛時代に陥る罠、あるいはデータの消化不良と組織開発について

これからの人材・組織開発の話をしよう。久々のマガジン記事をお届けする。

数年前から衰えることを知らないHRTech。コロナ禍によってさらにそのトレンドは加速したように思える。HRTechといってもその領域は無数にあり、採用や労務、学習、オンボーディング、人事評価、モチベーション、組織の活性化などさまざまだ。この記事では主に、ぼくの専門分野である“学習”以降の領域についての所感である。

利用が進

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【5分で学べる組織論】組織文化、組織カルチャーとはなにか?

【5分で学べる組織論】組織文化、組織カルチャーとはなにか?

人や組織に関する支援をしていれば、誰もが”組織文化変革”とか”組織カルチャーの醸成”といった言葉を耳にしたことがあると思う。”風土”とか”体質”とった言葉でも表されるもので、とにかく何だかよくわからない組織に内在するなにかといった意味でよく使われている。

よくわからない”組織文化”とか”組織カルチャー”を変える支援は大体の場合、明確な成果をあげることなく終わってしまう。大失敗したり、クライアント

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組織開発は信念のプロジェクトだ

組織開発とはいったいなんなのか?と最近とくに自問自答している。

ぼくはこれまでに、営業、コンサル、サービス開発、事業運営というキャリアを経験してきた。キャリアを積めば積むほど、組織開発とは何か?という問いにはまりこんでいく自分がいる。同時に、組織開発にたいして幻滅に近いものを感じていく自分にもぼくは薄々気づいている。

キャリアを駆け上がるほど、組織開発のむずかしさに悩まされる。そして、問題は根

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