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2024年3月の記事一覧
〔ショートショート〕 友達図鑑
過ぎ去った年月の中に閉じこもるには、理由がある。でも大勢の人が、それを妨害しようとしてくるから煩わしくなって、それから嫌いになった。
十歳の誕生日に、ボクはその本を盗むことを決めて、17歳のときに実行した。その本は、皆が言うには「みんなの」もので、100ページくらいあり、それほど重たくはない。
本については常識的な共通のルールがあり、それを守るのが普通のことであるらしい。ネタバレをすること
〔ショートショート〕休みの日に妖精はいらない
今朝のアパートの窓からは、雪が舞っているのが見える。向かい合って並ぶアパートの駐車場で、風が空中に円を描いている。それは、雪が踊るようだった。これなら、妖精がくるりと不規則な動きをすると思うのは仕方ないなと思う。停車する車の上にべっとりと積もる雪が、休日のお出かけを億劫なものに変えたがっていた。
むかし、ばあさんが言ってたっけ。「祭りの白粉は子供を獣に変えるためだよ」って。祭りでは獣となって
〔ショートショート〕ひな祭りの主役は、二段目に。
少女が一人。
湿った砂浜に膝を抱えて座り、素足の指と指の間を海水が触っては戻っていくのを見つめる。3月の波打ち際は、まだ冷たい。
当然、少女にとって、そんなことは常識だった。
考え事をするときは、普段からこの海を訪れるから。
今日、彼女は、波打ち際で遊ぶ理由を考えていた。
それは視線の先に、噂に聞いたことのある未知の世界が広がっているからで、ここでその世界を妄想するのが好きだから、そ