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#187 「ビジネス頭の体操」 今週のケーススタディ(1月18日〜1月22日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


1月18日(月) 「海のもしも」は99%が間違い電話!?

海上保安庁が2011年から実施ている「118番の日」です。

118番、ご存知でしたか?
海上保安庁で運用している、海上での海難事故、法令違反、不審事象などの緊急通報用電話番号です。
運用開始は2000年(平成12年)からと比較的新しく、浸透していないようです。

というのも、年間の受付件数は約5千件なのですが、間違い電話や即切断(公式資料に書いてある表現です)が約45万件にもなるのです。

つまり、46万件入電するうち、99%の45.5万件が間違い電話なのです。海上保安庁の非常に切なくなる資料を以下に転載します。
(上の薄く赤い部分が有効入電です…)

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ちなみに、110番通報が909万件、119番通報が878万件(いずれも令和元年中。各白書より)ですので、全く規模が異なることがわかります。

あまりにも間違い電話が多いことから、啓蒙活動を積極的にやっているようで、豚まんで有名な蓬莱とコラボした周知活動をしていたりします(今年の1月16日からのようです。118番の日に合わせているのでしょうね)。

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→海のもしも、118番。短期間で低コストで周知させるとしたら、どんな方法が考えられるだろうか?


1月19日(火) 感染症で売上急増のあの家電!

日本電気工業会が2006年に制定した「空気清浄機の日」です。
「い(1)い(1)く(9)うき」の語呂合わせが由来です。

日本電気工業会の最新の統計によると、2020年11月の空気清浄機の国内出荷台数は47万台、前年比167.9%と大幅に増えています。これは8ヶ月(つまり、昨年4月から)連続のプラスだそうです。

マーケティングリサーチ会社GfKの、感染症による家電・IT市場への影響に関する昨年4月のレポートによると、初期に急増したのが電子体温計、次にウェブカメラ、冷凍庫、PC用モニタと続き、4月に入ってから伸びを示したのが空気清浄機となっています。

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日本の空気清浄機は1962年(昭和37年)に松下電器が発売したものが最初とされています。

高度経済成長期で四日市ぜんそくなどの大気汚染が問題となっていた時期です。

その後、1980年頃からは花粉症が問題となり花粉除去を謳うものが、2000年ごろからは衛生意識高まりとともに、除菌を謳うものが、そして最近では各種アレルゲンの分解除去を謳うもの、デザイン性を重視するもの、と多機能化が進んでいましたが、近年は出荷台数は年間210万台前後で微減傾向でした。

実際、感染症前に出された日本電気工業会の「2020年度電気機器の見通し資料」では、空気清浄機について、2018年度実績の214万台から微減の207万台と予測されていました。

それが、11月だけで47万台ですから、急激な伸びであることがわかります。

→感染症との付き合いが長くなることが予想されるが、家電では今後どのような動きがあると考えられるだろうか?


1月20日(水) 2019年に海外旅行者は○○○○万人を超えた!

1965年(昭和40年)のこの日、日本航空が海外団体旅行「ジャルパック」を発売したことから、「海外団体旅行の日」です。

海外旅行。今となってはかなり難しいですが、実は一昨年、2019年は日本人海外旅行者数が初めて2,000万人を超え、2,008万人(観光庁データ)となった記念すべき年だったのです。

2,000万人というのは、2007年の観光立国推進基本計画で2020年の目標として明記されていたものです。

JTBが2019年末に出した「2020年の旅行動向見通し」ではさらに増え、2,080万人と予想されていました。

残念ながらその後急減しているのはご案内の通りです。

どれくらい?というところですが、2016年1月から2020年の11月の月別日本人出国者数のデータがありましたので以下に転載します。(出典:出入国在留管理庁「出入国管理統計」からJTB総合研究所作成)

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さて、2,000万人を超えるまでの推移を長期で見てみましょう。
2017年までになりますが、1964年、東京五輪からの長期データです。
青線が日本人の出国人数、赤線が訪日外国人、いわゆるインバウンドです。2012年から急上昇していることが分かります。

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一方で、今回の主題である、日本から出国する人数は、1996年頃から上下を繰り返しているものの概ね横ばいで推移していたことが分かります。

これらがほぼ蒸発してしまった状況ですが、どのくらいの影響があるのか、日本旅行業協会「数字が語る旅行業2020」によると、2018年実績で、日本の観光収入は421億ドルで世界9位、観光支出は202億ドルで16位、となっています。

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つまり、合計で6兆円以上と大変大きな影響があったことが分かります。

→これまで海外旅行に向けられていた支出は、どんなことに振り向けられているのだろうか?


1月21日(木) 実は2つある!?あの料理番組。

1937年のこの日、イギリスBBC放送で料理番組の元祖と言われる「夕べの料理」の放送が開始されたことから、「料理番組の日」です。
最初の料理番組のメニューは、「オムレツの作り方」だったそうです。

さて、日本で最初の料理番組ですが、1957年(昭和32年)の11月に始まった「今日の料理」だそうです。今も続いていますので、60年以上の長寿番組です。

当時は生放送しかありませんので、色々な苦労があったようです。その伝統か、今でも放送時間の24分30秒ちょうどで収録し、編集などは基本的にしていないそうです。

ちなみに、放送開始時のテレビの普及率は8%。それが5年後の62年には約80%まで上昇しました。

それを受け、60年台前半は、民法各局もお昼の時間帯に料理番組を放映するようになり、「料理番組の黄金時代」と言われたそうです。

その中で現在も続いているのが、1962年(昭和37年)12月にスタートした「キューピー3分クッキング」です。

実は、この番組、全く別の内容のものが2つ存在していることをご存知でしたでしょうか?
日本テレビ系と中部日本放送(CBC)系の2つバージョンがあるのです。

ちなみに、CBC版が放映されているのは、中京広域(岐阜・愛知・三重)、北海道、岩手、宮城、福島、新潟、長野、静岡、石川、熊本、大分、宮崎、沖縄の各地域だそうです。

それ以外の地域は日本テレビ系となっていて、メニューも異なります。
知らなかった…

→スマホ時代、ネットで簡単にレシピが探せる時代、キューピーがこの番組をスポンサーし続ける効果、狙いはどのようなものがあるのだろうか?


1月22日(金) カレー市場は○種に分かれる

1982年(昭和57年)のこの日、全国学校栄養士協議会で1月22日の給食メニューをカレーにすることを決めたことから「カレーライスの日」です。

実際に小中学校の児童約800万人にカレーライスの給食が出されたそうです。

カレー市場には、大きく分けてカレー粉、カレールウ、調理済みカレー(主にレトルト)の3つの市場があります。

全日本カレー工業協同組合のカレー生産実績のデータは金額ベースの公表は平成20年度(2008年度)で終了しているのですが、その時点では以下の通りの市場規模です。

カレー粉:70億円
カレールウ:860億円
調理済みカレー:575億円
合計:1,505億円

なお、平成13年度(2001年度)は合計1,471億円でしたので、この間ほぼ横ばいとなっています。

一方、感染症では特にレトルトカレーの需要が急拡大しました。

日本食糧新聞の昨年7月1日の記事によるとPOSデータ(つまり家庭向け)による売上の変化は以下の通り。

レトルトカレー:2月前年比23.7%増、3月同42.3%増、4月同13.7%増、5月同3.6%
カレールウおよびカレー粉:2月前年比6.0%、3月同7.5%増、4月同13.7%増、5月同3.6%減

ただし、こちらはPOSデータのためあくまで家庭用の市場であり、業務用市場は給食関係は学校閉鎖により大幅に出荷を減らし、外食関連も影響を受けています。

今回、巣篭もりによる買い置き需要などもあってレトルトカレーの伸びが目立ちますが、実は、感染症前からレトルトカレーが伸びていました。

インテージ社のデータによると、レトルトカレーは2017年にカレールウを販売金額で逆転しています(出典:インテージ知るギャラリーHP)。

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この背景には、従来から単身者の需要があったことに加えて、熱湯で温めるタイプに加え、電子レンジで温めるタイプの登場により、高齢者などにも需要が広がったこと、常温で保存ができること、味の改良が進み、リピートする消費者が増えたこと、など社会の変化にメーカーがうまく商品を改良していることが伸びにつながっているようです。

→感染症化で大きく売上を伸ばした食品は他にどのようなものがあっただろうか?そしてその理由はなんだろう?


最後までお読み頂きありがとうございました。

1つでも頭の体操になるネタがあれば嬉しいです。

昨年7月から毎週日曜日にこんな投稿をしています。
だいぶ溜まってきました。
よろしければ過去分も覗いてみてください。
「へぇ〜」がいろいろあると思います。


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