記事一覧

近況

実業団選手を引退して1年ほど経つので、陸上競技まわりの近況報告を。 今年度から正式に母校の東大陸上部の長距離コーチとして活動しています。毎月のメニューを学生チー…

S.K
1年前
84

GMOアスリーツを退部します

昨日リリースがあった通り、2022年4月30日付でGMOアスリーツを退部しました。 理由は「昨年度から抱えていた故障が慢性化してしまい、自分自身が実業団選手として立てた目…

S.K
2年前
579

マラソンにおけるペースメーカー

マラソンにおけるペースメーカー(以下PM)について。 色々な意見が出ていて面白いと思ったので、PMに対する僕の視点を書いておく。 僕は今回ケースにあげるマラソンには…

S.K
2年前
233

両立で得られるもの

両立のついての考えを軽くまとめておく。 高校・浪人時代には「陸上選手として自分史上最高の状態で東大に入るか」を最重要視しており、今振り返るとなかなかチャレンジン…

S.K
2年前
91

レースに向けた強化や調整をわかりやすく

陸上競技における、レースに向けた強化や調整に対する理解を書いておく。 レースに向けた強化や調整を説明する際には、色々な例えが用いられることが多い。 「土台を作る…

S.K
2年前
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「最大酸素摂取量(VO2max)が高い人ほど競技能力が高い」のだろうか

「最大酸素摂取量(VO2max)が高い人ほど競技能力が高い」とは中長距離界隈でしばしば言われることだが自分の考えを書いておこう。 VO2maxとは、体重あたり、時間あたりに…

S.K
2年前
106

胸を打つジャンプ

北海道清里町に”さくらの滝”という名所がある。 さくらの滝では6月から8月にかけて、川を遡上するマスが滝をジャンプする光景が見られる。 清里町は大学時代に合宿でお…

S.K
2年前
33

書くことは考えること

前半シーズンは故障の影響でレースに出ることが叶わず、それゆえ投稿のタイミングを完全に逸してしまった。 それなりにしっかりした文章を書くことから離れた結果として、…

S.K
2年前
80

東大生がトップレベルの実業団チームに飛び込んだ話

「はじめまして。GMOアスリーツ監督の花田勝彦です。」 こう始まるメールが、大学3年の箱根予選会が終わった後、自分のもとに届いた。箱根予選会が2017年10月14日、メール…

S.K
3年前
362

ジョグはまとめてやるべき?分割しても良い?|参考になりそうな論文を添えて

タイトルのような質問があったので、自分なりの答えを導き出そうと思う。 同じ距離を走るにしても、1回でまとめて走るべきか、2回に分割するべきか、ランナーによって様々…

S.K
3年前
202

ランニング故障中のクロストレーニング(スイム、バイク)

故障などでランニングができない時、代わりとなる運動で持久的能力を維持しようと考える人は多いだろう。 題名の”クロストレーニング”とは、専門競技以外の運動を取り入…

S.K
3年前
86

びわ湖毎日マラソンを見て競技者としての価値を考えさせられる

びわ湖毎日マラソン、すごかったですね。日本記録更新をはじめ、終了が惜しまれるほど歴史的なレースでした。 様々な点での"すごさ"をSUSHI MANさんがまとめてくださって…

S.K
3年前
254

ランニングシューズの個体差

同じ種類のシューズでも、モノによって履き心地が異なることがある。そんな話だ。 気に入ったシューズが見つかったら、同じ履き心地を求めてリピートする人は少なくないと…

S.K
3年前
89

ようやく走り始め

ニューイヤー駅伝が終わってからは、レースの予定も立てず、休養に専念していた。 右脛の治りが悪いためMRIを撮ったところ、全く痛みのなかった左も含めて、両脛骨疲労骨…

S.K
3年前
81

2021年は利確ラインを決める

久しぶりのノートです。 遅くなってしまいましたが、ニューイヤー駅伝の応援ありがとうございました。 チームは9位、自分は6区区間5位という結果でした。 優勝を目指して…

S.K
3年前
97

早稲田大学記録会5000m

13’36”19、組2着でした。 自己ベスト。日本選手権A標準(13’42”00)突破。 7月のホクレン千歳で13’44の自己ベストを出してすぐに、秋シーズンの目標を13‘40切りに…

S.K
3年前
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近況

近況

実業団選手を引退して1年ほど経つので、陸上競技まわりの近況報告を。

今年度から正式に母校の東大陸上部の長距離コーチとして活動しています。毎月のメニューを学生チーフと相談することに加えて、月2回程度は部活で学生と練習しています。今の東大陸上部は5000m換算で14分中盤〜後半の戦力が充実していて十分素晴らしいのですが、それを更に14分前半、13分台に引き上げるような触媒になれたらと思っています。

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GMOアスリーツを退部します

昨日リリースがあった通り、2022年4月30日付でGMOアスリーツを退部しました。

理由は「昨年度から抱えていた故障が慢性化してしまい、自分自身が実業団選手として立てた目標を達成するのが難しいと判断したから」です。

もともと、実業団選手として競技をするのは2024年のパリオリンピックまでと決めていました。

自分はどちらかというと、これまで強豪校ではない環境で自分の記録を伸ばしてきた、というバ

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マラソンにおけるペースメーカー

マラソンにおけるペースメーカー

マラソンにおけるペースメーカー(以下PM)について。
色々な意見が出ていて面白いと思ったので、PMに対する僕の視点を書いておく。

僕は今回ケースにあげるマラソンには出場していないので、あくまで外野からの考察に過ぎないことは留意してほしい。
それでも、PM付きレースを走ったことがあり、(主がトラックであるが)幾つかのレースでPM経験もあるので、多少の実感は伴っていると思う。

PMについて面白いの

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両立で得られるもの

両立で得られるもの

両立のついての考えを軽くまとめておく。

高校・浪人時代には「陸上選手として自分史上最高の状態で東大に入るか」を最重要視しており、今振り返るとなかなかチャレンジングなことをしていたと思う。
その時の陸上に関するnoteはこちら。
(大学以降は陸上専業に近かったので、両立というテーマで語れることはないです)

2つの物事で成果を上げようとする過程で、閾値や最適化という概念を体得できたのは、今でも財産

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レースに向けた強化や調整をわかりやすく

陸上競技における、レースに向けた強化や調整に対する理解を書いておく。

レースに向けた強化や調整を説明する際には、色々な例えが用いられることが多い。
「土台を作る」や「刀を研ぎ澄ます」という例えは、聞いたことがある方も多いだろう。

各々がしっくりくるイメージで取り組めば良いと思うが、ここでは自分が一番しっくりくる例えを紹介する。この例えで多くのことが説明できると思う。

一人一人に水の入る容器が

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「最大酸素摂取量(VO2max)が高い人ほど競技能力が高い」のだろうか

「最大酸素摂取量(VO2max)が高い人ほど競技能力が高い」のだろうか

「最大酸素摂取量(VO2max)が高い人ほど競技能力が高い」とは中長距離界隈でしばしば言われることだが自分の考えを書いておこう。

VO2maxとは、体重あたり、時間あたりに摂取できる最大酸素摂取量(ml/kg/min)のことである。持久性パフォーマンスの指標として1番馴染みのあるものだと思う。

村澤さんがVO2maxに関する興味深いnoteを書いているのでシェア。このnoteにあるように、一定

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胸を打つジャンプ

胸を打つジャンプ

北海道清里町に”さくらの滝”という名所がある。

さくらの滝では6月から8月にかけて、川を遡上するマスが滝をジャンプする光景が見られる。

清里町は大学時代に合宿でお世話になった場所だ。ホクレンディスタンスが開催される網走から距離が近いこともあり、社会人になってからも顔を出している。

オフの日曜日、今年もガタンゴトンと電車に揺られて清里町へと出向いた。地元の子どもたちと少し走ったあと、さくらの滝

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書くことは考えること

書くことは考えること

前半シーズンは故障の影響でレースに出ることが叶わず、それゆえ投稿のタイミングを完全に逸してしまった。

それなりにしっかりした文章を書くことから離れた結果として、文章力云々ではなく、残念なことに思考能力自体が落ちてしまったと感じる。やはり書くことは考えることなのだ。今回はそれについて書いていきたい。

頭の中で考えていることでも、いざそれについて書け、話せと言われたら言葉に詰まって「自分ってこんな

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東大生がトップレベルの実業団チームに飛び込んだ話

東大生がトップレベルの実業団チームに飛び込んだ話

「はじめまして。GMOアスリーツ監督の花田勝彦です。」

こう始まるメールが、大学3年の箱根予選会が終わった後、自分のもとに届いた。箱根予選会が2017年10月14日、メールが届いたのが10月16日だった。

花田監督の選手時代や上武大学監督時代の実績は知っていたし、自分の中では「テレビに出ているような有名人」だったので、そんな人からメールが届いたのは不思議な感覚だった。多くの場合、まずは実業団の

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ジョグはまとめてやるべき?分割しても良い?|参考になりそうな論文を添えて

タイトルのような質問があったので、自分なりの答えを導き出そうと思う。

同じ距離を走るにしても、1回でまとめて走るべきか、2回に分割するべきか、ランナーによって様々な見解があると思う。例えば、1回で20km走るか、朝と午後で10km*2回にするかといった具合である。

最初に自分の考えを言うと、トレーニングの内容自体(ジョグでいえば、距離、運動時間がメイン)による効果に比べると、何分割するかや、ど

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ランニング故障中のクロストレーニング(スイム、バイク)

ランニング故障中のクロストレーニング(スイム、バイク)

故障などでランニングができない時、代わりとなる運動で持久的能力を維持しようと考える人は多いだろう。

題名の”クロストレーニング”とは、専門競技以外の運動を取り入れる、という意味で用いられることが多い。ランニングであれば、走る以外の運動が該当する。

ランナーのクロストレーニングで代表的なものはスイムとバイクだろう。すでに取り入れたことがある人も多いと思う。この2つを中心に、クロストレーニングに対

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びわ湖毎日マラソンを見て競技者としての価値を考えさせられる

びわ湖毎日マラソン、すごかったですね。日本記録更新をはじめ、終了が惜しまれるほど歴史的なレースでした。

様々な点での"すごさ"をSUSHI MANさんがまとめてくださっているので、引用させていただきます。

一方で、びわ湖まいにちマラソンに限らず、ここ1〜2年の記録水準の急激な上昇によって、記録の価値がわからなくなってきており、持ち記録が競技者としての価値に直結しなくなってきていると感じる。それ

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ランニングシューズの個体差

ランニングシューズの個体差

同じ種類のシューズでも、モノによって履き心地が異なることがある。そんな話だ。

気に入ったシューズが見つかったら、同じ履き心地を求めてリピートする人は少なくないと思う。自分もその1人だ。例えば、ナイキのインフィニティランはもう4足ほど履いている。一度種類が決まれば以降はオンラインで注文することができる。

しかし、同じ種類のシューズでも履き心地が異なり驚くことがあるかもしれない。

シューズの個体

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ようやく走り始め

ようやく走り始め

ニューイヤー駅伝が終わってからは、レースの予定も立てず、休養に専念していた。

右脛の治りが悪いためMRIを撮ったところ、全く痛みのなかった左も含めて、両脛骨疲労骨折という診断だった。これは治癒過程だったこともあり、それほど長引かなかった。

MRI上で白くなっている部分が、骨にダメージがある部分。かなり広範囲に渡って骨がダメージを受けていた。

また、左膝裏の内側(半腱半膜、長内転筋、薄筋が交わ

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2021年は利確ラインを決める

2021年は利確ラインを決める

久しぶりのノートです。

遅くなってしまいましたが、ニューイヤー駅伝の応援ありがとうございました。

チームは9位、自分は6区区間5位という結果でした。
優勝を目指していましたが他のチームは強かったです。結果を受け入れてまた頑張っていきます。

2021年は(正確には2022年ですが)ニューイヤー駅伝優勝、個人区間賞。
トラックでは5000m13分20秒台、10000m27分台を目標とします。

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早稲田大学記録会5000m

早稲田大学記録会5000m

13’36”19、組2着でした。

自己ベスト。日本選手権A標準(13’42”00)突破。

7月のホクレン千歳で13’44の自己ベストを出してすぐに、秋シーズンの目標を13‘40切りに定めた。
これもシーズンイン時点の自己ベストを13秒更新する十分なタイムだったが、レースが終わったあと、まだやれたんじゃないかという思いが自然と湧き上がってきたからだ。

ホクレンが終わって1ヶ月以上にわたる夏合宿

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