レースに向けた強化や調整をわかりやすく

陸上競技における、レースに向けた強化や調整に対する理解を書いておく。

レースに向けた強化や調整を説明する際には、色々な例えが用いられることが多い。
「土台を作る」や「刀を研ぎ澄ます」という例えは、聞いたことがある方も多いだろう。

各々がしっくりくるイメージで取り組めば良いと思うが、ここでは自分が一番しっくりくる例えを紹介する。この例えで多くのことが説明できると思う。

一人一人に水の入る容器が与えられ
「与えられた期間で容器内の水の量を最大にしてください」
という課題が与えられる。
すぐにはいっぱいにならないような容器をイメージしてほしい。

このとき、僕たちがとりうる手段は3つある。

容器に水を入れる
容器を大きくする
容器を丈夫にする

与えられた期間が短ければ、できることは今ある容器に水を注ぐことだけ。
しかし、期間がある程度長ければ、容器を大きくすることでより多くの水が入る余地を生み出せる。
さらに期間が延びれば、水を注ぐ過程で容器が壊れるリスクを考えて、容器を丈夫にするステップを挟むとよりよいだろう。
そして長期的に目指すべきは、頑丈かつ大きな容器に水を注いでいくことになるだろう。

これを陸上競技(長距離)に置き換えると、大まかには以下のようになるのではないか。
他の種目にもそれぞれ対応するものがあるはずだ。

容器内の水の量:レースでのパフォーマンス
容器に水を入れる:レースに向けた特異的な練習
容器を大きくする:基礎的な脂質酸化能力や動作の効率性
容器を丈夫にする:故障予防のトレーニングやケア

留意しておくべきことは、例えば、ジョグのメインの役割は「容器を大きくする」ことだが、ジョグでも少しは水は入るし、容器は丈夫になる。
あくまで重み付けが異なるのであって、0か100かの話ではない。

また、競技でありそうなそれぞれの事例を容器と水で例えてみた。

根本的な実力不足:容器いっぱいに水を入れたものの、容器自体が小さい
故障中に無理して練習:壊れた容器に水を注いでも漏れ出してしまう
レースに向けた調整不足:容器を大きくするor丈夫にすることに注力しすぎて、水が溜まっていない
レースに急ピッチで合わせて故障:水を注ぐ勢いが強すぎて容器が壊れる
同じタイムでも評価が分かれる:同じ水の量でも、容器の大きさが違う

与えられた期間でどのように容器を形作り、どのように水を溜めていくかイメージすることで、トレーニングに対する目的意識が高まれば嬉しい。

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