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【第24話】R画伯との思い出その②
R画伯はうちからもらってくれた、ロン毛の猫『オイ』と、雑種の犬『サクラ』と生活していた。
そして、彼の家の床下には、数年前からアナグマも住んでいた。
ある日、R画伯は食料の買い物を済ませ、家に戻ると玄関の戸が開いていた。台所に入ると、冷蔵庫のドアも開いていて、中の食料が全てなくなっていて、その周りには食い散らされた残骸が残っていた。とばっちりを受けたのは猫のオイで、こっぴどく叱られていた。
それか
【第23話】ご近所だったとある画家との思い出
下の息子が中学校に入学するのに合わせて、10年住んだ棚の川から松本に引っ越すことになった。松本市にある浅間温泉から車で10分ほどにある山の斜面の集落の中にある1軒家。2階建ての大きな家であった。その家はほとんど修理しなくても住める家だったが、1階と2階にある40畳の広さの2部屋だけは、もらってきたフローリング材を張った。同じ集落に住んでいた、とある画家であるR画伯がその家を世話してくれた。
集落
【第22話】住所が存在しない家
棚の川の大家さんの家を借りられるようになり、これから家の改装を始めようと夢を膨らませていたある日、信州新町の役所から3人の職員が訪ねてきた。
誰から聞いたのかわからないが、棚の川の家の事で来たようだ。
職員が発した第一声は
「伊藤さん、あの家には住めません。」
であった。
理由を訪ねると、ひとりの職員がその訳を説明してくれた。
僕たちが住もうとしていた棚の川という村は、毎年冬に大雪が積もる場所で
【第14話】昔の生活スタイル 『Vol.1 井戸水と囲炉裏』
1960年代、僕の田舎では各家々に井戸があり、生活に必要な水はすべて井戸水で賄っていた。中には何軒かで1つの井戸を共有している家もあった。井戸の深さにもよるが、ロープのそれぞれの端に水を汲み上げる桶が取り付けられていて、井戸の上部に取り付けられた滑車にロープを渡し、片方の桶を井戸水の中まで落とし入れ、桶に水が溜まるともう片方の空の桶側のロープを下に引き、水を汲み上げる。井戸水の水位が低いと、水汲み
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