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【第17話】初めてのデート

僕が高校に入学した当時は、まだ道も塗装されていなく、宇和島にあるその高校に行くにはバスで1時間半程かかった。僕の兄と姉が下宿生活をしたように、僕も親戚筋にあたる禅寺に下宿をして、そこからバスで高校に通った。家を離れた生活を送るのは初めてだったので、最初のうちは寂しい思いもしたけど、それもすぐに慣れてきた。
高校1年生の時は、まだ慣れないこともあり大人しくしていたけど。2年、3年になると、授業をサボって友達と喫茶店(当時は純喫茶とよばれていた。アルコールを置いていない飲食店のこと)で過ごしていた。
 
高校2年生の時、国語の宿題で俳句を作ってくるというのがあった。愛媛県は正岡子規、高浜虚子などの多くの俳人がうまた場所であり、俳句が盛んな地域だった。僕は特に俳句に興味がなかった。俳句の響きがいいなぁ、と感じ始めたのはずっと後になってからである。
宿題の俳句を提出してから数週間過ぎた頃、国語の授業の冒頭に、S先生が
「伊藤君の俳句が、愛媛大学の俳句大会で俳句賞を受賞しました。」
と言った。
先生が僕の作った俳句を気に入って大学の俳句大会に応募していたのだ。

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