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戯言

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日々のこと、思い付いたことを書いてます。 責任のないことばかり書くので戯言です。
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#エッセイ

乗った記憶のない船

乗った記憶のない船

結婚をしても大きく変わったことは無いけれど、
小さな変化は結構ある。

結婚したことで楽になったのは、やはり男女関係がフラットでいられることが大きい気がする。
そもそも結婚をする、ということは『他の異性とは恋愛感情を持ちません』と堂々宣言をしているようなものなのだ。
大きくいうと恋愛市場から降りれたというか、今までは実際に乗っていようが無かろうか外から見ると大きな船に乗せられていたような、そんな概

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親友が母になった

親友が母になった

6月下旬、親友が母になった。
よくよく考えてみると、私も良い大人ではあるが『人が母になる瞬間』をこんなにも身近に感じたのは、この時が初めてだったかもしれない。

実際、彼女と出会ったのは3年程前のことである。しかし彼女と過ごした期間の濃さは、体感でいうと10年分くらいは過ごしたように思う。

彼女と出会うことになった3年ほど前、私は転職に失敗して毎日泣きながら会社に行っていた。
空気も澱んでいるし

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そんな関係性の人なので

そんな関係性の人なので

数十年と人生を歩んでいると、
「いっとき大変仲が良かったのに関わらず、急に連絡が途絶えた人」
「もっと仲良くしたかったけど、結局仲良くできずに会わなくなってしまった人」など、
様々な理由で疎遠になっていく人がいる。

それはほんの少しタイミングを逃すと、抗えない別れとなる。
私自身も少なからずこの経験で疎遠になった友人がいる。

しかし私の人生には「この人は自分から手を伸ばしてでも縁が切れたく無い

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坊さん、棒を落とす。

坊さん、棒を落とす。

義実家の法事に参加してきた。

法事というものには人生で何度か参加しているので、なんとなくどういったものかは知っている。
しかし今までは自分の親族で、しかもまだ未熟な子ども扱いだった為、大人になり、しかも気遣いながら参加するのは初めてだった。

そういう気持ちがあるのと、未だに義実家へ行く時は気合いが入ってしまうということもあって、朝早く新幹線に乗る時、私は少しピリピリしていた。

ピリピリしてる

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友達がいる、というだけで最近は本当に嬉しく思える

友達がいる、というだけで最近は本当に嬉しく思える

ここ最近、友達についてよく考える。

もっと友達が欲しいな。と強く思うし、反面、大人になって友達を増やすことがとても難しいことだとも思う。
そもそも大人というものは、例え友達が新しく出来たとしても、どちらかの環境が変わってしまえば会う機会が減ったり、物理的に会えなくなってしまったりする。
生まれた時からずーっと聴き続けている「と・も・だ・ち」という響きが、こんなに難しく悩む必要性のあるものだとは随

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生きた心地がする

生きた心地がする

もう今は大きな病気じゃ無いだろうと言われているので安心して読んで欲しいが、
最近身体に不調があって病院に通っていた。

今日は命について、主観的な話をする。
なんとなく覚えておかなければいけない気がしたからである。

最初に症状が出たのは12月頭くらいのことである。ネットで調べたら「原因不明でなんとも無いものか、もしくは癌」という
あまりにもdead or arrive すぎる結果しか出て来なかっ

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狭い世間でもすれ違わない人たち

狭い世間でもすれ違わない人たち

私の自転車はボロボロである。
まず左のブレーキをかけると錆が付いたような甲高い音が町中に響く。
驚くことに、買った当初からそうなのだ。
不良品かと思って店に持って行ったら、「安い自転車はそうなんですよね」と言われた。
そういえば私の自転車は安い。
なにせ店中で一番安い自転車を買ったからだ。
そんなボロボロの自転車を、私はかれこれ6年程愛用している。

そんなボロボロの自転車は絶妙にダサくて、
ボデ

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長生きしてね、おばあちゃん

長生きしてね、おばあちゃん

珍しく長めの休暇を取って、四年ぶりに祖母の家へ遊びに来ている。
ウイルスが流行り出してから、祖母に移しては後悔するという不安でなかなか出向けなかったのだが、最近祖母がちょっとした病気をしたことや、漸く普段の生活が戻り祖母もいろんな人と会い始めたというので、注意を払って行くことにしたのだ。

私はかなりのおばあちゃんっ子である。
小学生の頃は夏休み中祖母の家に居て、帰る時は随分と駄々を捏ねた。
まる

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夏の思い出とbarのマスター

夏の思い出とbarのマスター

去年の夏頃、友達に誘われて人生で初めて本格的なバーに行ったことがある。
なにしろ友達はInstagramから見つけて来た店だということで、メニューを見ても如何にもInstagram出身っぽい映えたドリンクばかりだった。
お洒落なグラスに3色程の水がグラデーションになったものや、スイカそのものに酒が入っているような、なんとも素敵なドリンクばかりで、私たちは高揚感に包まれた。

そもそも『本格的なバー

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優しい先輩になりたい

優しい先輩になりたい

特に何かあったわけでは無いけど、
なんとなく書きたい夜がある。

「性善説」と「性悪説」という言葉。
この例え話に、最近苦しまされている。

これを初対面(関係の浅い人)に対して
性善説の場合→最初から良い人に違いないと思って接する
性悪説の場合→もしかして悪い人かもしれないと思って接する

と例えることがあるが、
私の他者に対する考え方は、残念ながら後者なのだと思う。

もう少し前、私はとても人

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本当は、競う相手なんて居ないのかもしれない

本当は、競う相手なんて居ないのかもしれない

学生時代、
(と言っても私は高校が帰宅部で「社会」という概念を身につける機会が遅かったため大学時代になるのだが、)
私は多分後輩よりも先輩との方が接しやすかったように思う。
この場合はあくまでも接しやすかった、という広義であって、仲の良い後輩は勿論今でも居る。

先輩という存在は、自分の詰めの甘い部分もなんとなくボカしてくれるし、いかんせん文化系でズブズブのぬるま湯に浸かり続けていた私にとって、「

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まさかアマゾンで噛まれるなんて、誰も思っていなかった。

まさかアマゾンで噛まれるなんて、誰も思っていなかった。

今年に入ってから数ヶ月経ったある日のことである。
1年間の功績を労うということで、会社全体での慰労会が行われた。

入社して2年くらいだったら大きな飲み会に楽しさを見出せなかったが、
今回は居酒屋ではなく会場を貸し切るということだし、
何より社会人歴が多くなるにつれて知っている社員も増える。
コロナ禍以降初めての催しだったので、私はその飲み会に参加することに決めた。

最初、どれくらいの人が来るか

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大人だから、友達と写真を撮った。

大人だから、友達と写真を撮った。

先日、海外に留学中の友人が一時帰国するということで、
私たちは大阪へ集結した。

私たち、というのは【海外・大阪・愛知】と見事に散って暮らしている3人のことで、大学1年生からの友達だ。かれこれ10年の付き合いになる。
私たち、はあの頃の名残りのまま「ひろし」という名前のグループLINEで、今もずっと連絡を取り合っている。
このエッセイでは友人2人の名前を、YとMとする。

社会人になると住む場所は

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テキトゥー・ナ・カルボナーラ

テキトゥー・ナ・カルボナーラ

チーズと牛乳が余っていたので、カルボナーラを作ることにした。

「カルボナーラを作る」と、さも小慣れた感じで言ったものの、レトルトを使わずにカルボナーラを作るのは人生で初めてのことである。

チーズはともかく、私は牛乳を単品で飲むことが出来ない。
だから、普段料理で使うときは多少コスパが悪くても使い切れる小さなパック牛乳を買うのだが、今回は4人前のグラタンを一気に作りたかったので仕方がなかった。

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