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コンサートレビュー

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#オーケストラ

融通無碍の極致 井上道義/千葉県少年少女オーケストラの「運命」

融通無碍の極致 井上道義/千葉県少年少女オーケストラの「運命」

東京芸術劇場コンサートホールで、「千葉県誕生150周年記念 千葉県少年少女オーケストラ第28回定期演奏会」を聴いた。

ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「天体の音楽」  
J.S.バッハ<齋藤秀雄編曲>:シャコンヌ(無伴奏バイオリン・パルティータ第2番より) 
ベートーベン:交響曲第5番ハ短調「運命」 Op.67

【アンコール】
ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ「雷鳴と電光」

指揮:井上道義

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純文学と大衆文学 小泉和裕/九州交響楽団の東京公演

純文学と大衆文学 小泉和裕/九州交響楽団の東京公演

サントリーホールで、九州交響楽団の東京公演を聴いてきた。70周年記念演奏会。

ベートーヴェン/交響曲 第2番 ニ長調 作品36
R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」作品40 TrV190

指揮:小泉和裕

唐突だが、芥川賞と直木賞の違いをご存知だろうか?

簡単にいうと、芥川賞は純文学、直木賞は大衆文学(今でいうエンターテイメント小説)に授与される文学賞である。

小説フリークでなくても知っ

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木を見て森を見ず 高関健/シティフィルのマーラー交響曲第5番

木を見て森を見ず 高関健/シティフィルのマーラー交響曲第5番

オペラシティコンサートホールで、東京シティフィル定期を聴いた。

シベリウス:交響詩「タピオラ」 作品112
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

指揮:高関健
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

20世紀を代表する迷指揮者であり名評論家である宇野功芳の造語に「体臭」がある。

使い方はこんな感じ。

バッハよりカザルスの体臭を感じさせる(指揮作品に関して)。

モーツァルトよりバーン

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お金を払って聴くべき音楽とは 汐澤安彦/足立シティオーケストラのチャイコフスキー

お金を払って聴くべき音楽とは 汐澤安彦/足立シティオーケストラのチャイコフスキー

ギャラクシティ西新井文化ホールで、足立シティオーケストラ第71回定期演奏会を聴いた。

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
リスト(ミュラー編):ハンガリー狂詩曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第4番

【アンコール】
チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」から「花のワルツ」

指揮:汐澤安彦

御年85歳の長老、汐澤安彦が聴きたくて出かけた。足立区に行ったのは初めて、かも?😅

汐澤

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手綱を握った音楽の面白さとつまらなさ 秋山和慶/フィルハーモニック・ソサィエティ・東京

手綱を握った音楽の面白さとつまらなさ 秋山和慶/フィルハーモニック・ソサィエティ・東京

東京芸術劇場コンサートホールで、フィルハーモニック・ソサィエティ・東京第13回定期演奏会を聴いた。

モーツァルト交響曲第39番 変ホ長調 K.543
R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 作品40

指揮:秋山 和慶
管弦楽:フィルハーモニック・ソサィエティ・東京

オーケストラ・ダスビダーニャの公演の帰りに、池袋駅構内でこの公演ポスターを見かけた。こちらもアマオケ。

おそらく小澤征爾が亡

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名画が汚されるのを傍観する人たち 井上道義/NHK交響楽団の「バビ・ヤール」

名画が汚されるのを傍観する人たち 井上道義/NHK交響楽団の「バビ・ヤール」

NHKホールで、NHK交響楽団の第2004回定期公演Aプログラムを聴いた。

ヨハン・シュトラウスII世:ポルカ「クラップフェンの森で」作品336

ショスタコーヴィチ:舞台管弦楽のための組曲 第1番 -「行進曲」「リリック・ワルツ」「小さなポルカ」「ワルツ第2番」

ショスタコーヴィチ:交響曲 第13番 変ロ短調 作品113 「バビ・ヤール」

指揮:井上道義
バス:アレクセイ・ティホミーロフ

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美に存在理由はいらない バーメルト/札幌交響楽団のブルックナー交響曲第6番

美に存在理由はいらない バーメルト/札幌交響楽団のブルックナー交響曲第6番

サントリーホールで、札幌交響楽団の東京定期を聴いた。

指揮:マティアス・バーメルト(首席指揮者)
テノール:イアン・ボストリッジ
ホルン:アレッシオ・アレグリーニ

ブリテン:セレナード~テノール、ホルンと弦楽のための
ブルックナー:交響曲第6番

今年から積極的に地方オケ(なんか都民が上から目線で見てるようで嫌な表現だが)を聴いていこうと思っているが、その第1弾。

下野竜也/広島交響楽団のブ

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大人の芸とそうでないもの ヴァイグレ/読響のワーグナー、R・シュトラウス

大人の芸とそうでないもの ヴァイグレ/読響のワーグナー、R・シュトラウス

サントリーホールで、読響定期を聴いた。

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ
ヴァイオリン=ダニエル・ロザコヴィッチ

ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30

ロザコヴィッチへの不満先に悪口を😅

今夜一番拍手が大きかったのはベートーヴェン。
ブラボーもよく飛んでたけど、私はまった

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サラステ/N響のシベリウスは歌わない サントリーB定期

サラステ/N響のシベリウスは歌わない サントリーB定期

サントリーホールで、NHK交響楽団B定期1日目を聴いてきた(11月15日)。

シベリウス:交響詩「タピオラ」作品112

ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

《ソリストのアンコール》
フィンランド民謡「コプシン・ヨーナス」

シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 作品39

ヴァイオリン:ペッカ・クーシスト
指揮:ユッカ・ペッカ・サラステ

久々に大ハズレのコンサートだった😵

何がハズレか

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ヴァンスカ/東京都交響楽団の尻上がりなシベリウス

ヴァンスカ/東京都交響楽団の尻上がりなシベリウス

東京文化会館で、都響定期を聴いてきた。

シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82
シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 op.104
シベリウス:交響曲第7番 ハ長調 op.105

指揮:オスモ・ヴァンスカ

“蛇頭竜尾”なコンサートだった。つまり、尻上がりに出来がよかったということだ。

こういう類のコンサートはあまり経験したことがない。
だいたい竜頭蛇尾。久石譲のマラ5も第1楽章だけ

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生涯思い出のコンサート

生涯思い出のコンサート

私は17歳のときからコンサートに通ってます。

初めてのコンサートは何度か書いてますが、「功芳のラストリサイタル」🤣

入口からズレてました笑

さて、数えきれないくらいコンサート行きましたね。
私は高校中退して働いていたので、10代のときもそれなりに「遊ぶ金」はあったんです笑

「飲む・打つ・買う」が男の3大趣味。

酒はそんなに飲まないし、打つのも予防接種くらい😅

チケットを買う買う買う

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ハンバーグを盛りつけるには…… ピノックの「ザ・グレイト」 

ハンバーグを盛りつけるには…… ピノックの「ザ・グレイト」 

紀尾井ホールで、紀尾井ホール室内管弦楽団第134回定期演奏会を聴いた。

指揮:トレヴァー・ピノック
管弦楽:紀尾井ホール室内管弦楽団

シューベルト:イタリア風序曲ニ長調 D590
モーツァルト:交響曲第35番ニ長調《ハフナー》
シューベルト:交響曲第8番ハ長調 《ザ・グレイト》

頓知のようなタイトルをつけてしまったが、今回の演奏会の感想は△だった。

ピノックの首席指揮者就任披露演奏会は

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指揮棒は魔法の杖 園田隆一郎の「ドイツ・レクイエム」

指揮棒は魔法の杖 園田隆一郎の「ドイツ・レクイエム」

横浜みなとみらいホールで、日本フィル横浜定期を聴いてきた(こっちは“本物”の感想記事です😅)。

聴いたふりして書いたニセ記事がこちら😂

気を取り直して😅💦

ブラームス:ドイツ・レクイエム op.45

指揮:園田隆一郎
ソプラノ:砂川涼子
バリトン:平野和
合唱:日本フィルハーモニー協会合唱団

日本フィルハーモニー協会合唱団の高齢ぶりを見て、日本の高齢化を実感しました😅💦

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思い出の海外オーケストラ (1)

思い出の海外オーケストラ (1)

私は世界の名門オーケストラをそんなには聴いていない。ベルリン、コンセルトヘボウ、シカゴといったいわゆる一流どころだ。

そのかわり、1.5流というのか、多少お手頃価格で聴ける世界のオケはいろいろ聴いてきた。
当時の鑑賞日記を振り返りながら思い出を書いてみたい。

1997年1 ベルリン放送交響楽団 (ラファエル・フリューベリック・デ・ブルゴス)

最初の海外オケ。宇野さんの影響で前橋汀子を熱心に

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