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Beyond The Reading

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本を読む先にあるものって、なんだろう。
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2023年3月の記事一覧

動物と機械から離れて、を読んだ。

動物と機械から離れて、を読んだ。

超/絶/大/推/薦/ 今だからこそ再読の価値あり!前回にはなかった気づきがあり過ぎて大興奮。

ChatGPTをはじめとするAIの急速な進化に話題沸騰のテック界隈。自分はこの数年間、テクノロジー業界の一端の人間としてではなく、人類の始原的視座から、AIとはなんぞや?を観察してきたつもり。

メディアで喧伝される通りにAI台頭には賛否両論があるが、もはやこれからのAIは自然産物に近い存在になるのかも

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北関東移民アンダーグラウンド、を読んだ。

北関東移民アンダーグラウンド、を読んだ。

中国人の不法滞在が激減したという。日本との経済格差がほぼなくなり、リスクを冒してまで日本に滞在する理由がなくなったから。代わりにベトナム人の不法滞在が激増しており、その活動拠点はなぜか北関東に集中しているという。

現地のコミュニティに突撃し彼らとのコミュニケーションを重ね、ベトナム人特有の生活観を体得してゆく傑作ルポルタージュ。ハイライトは最終章の最後の一文。これは明らかにネタバレとなるので言及

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クジラ獲りが津波に遭ったとき、を読んだ。

クジラ獲りが津波に遭ったとき、を読んだ。

人間の目的が、この星に生きる意味を生み出す生活世界を創り出し、生きてあることの輝きを維持することだとすれば、それを可能にするのは仕事だ。仕事だけだ。*本文より

捕鯨と聞いて思い出すのは、海外諸国から激しく批判されているクジラの捕獲。個体数が激減している等の理由が挙げられるが、どうやら同じ動物でも、より巨大な種類...たとえば象やシロクマなどを殺めることが際立ってその対象となりやすい。

もちろ

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WIRED#48、を読んだ。

WIRED#48、を読んだ。

retreat...避難、引退、引きこもり 避難所、隠居所、静養所 〔軍隊などが〕撤退、退却、撤収、撤退の。隠れ家、現実での仕事、人間関係、悩みなどのしがらみから離れる自分だけの時間・場所。

単語が持つ元来の意味においては、上述の通りにネガティヴな印象を与えるかもしれないが、わざわざWIREDで特集が組まれるということは、2023年における重要なキィワードのひとつであることは間違いない。ハイライ

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人生後半の戦略書、を読んだ。

人生後半の戦略書、を読んだ。

地位、名誉、権力、金。これらを羨望の眼差しを受けるほど手にしている人々は、老齢期に相当苦しくなる可能性が高い。

美徳には、「履歴書向きの美徳」と「追悼文向きの美徳」があるという。父が亡くなったとき、お葬式に参列いただいた多くの人が涙を流してくれていて、「ああ、自分もこうして人様に見送られる人生でありたいな」と感銘を受けたことを思いだす。

ただ一つモヤモヤが残ってしまったのは、人生の悩みをいつで

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つけびの村、を読んだ。

つけびの村、を読んだ。

忘れもしない。仕事の移動中に上野駅構内の本屋さんで、明らかに異質なアウラを放つ黄色い装幀に吸い寄せられた。手に取り、そのままレジに進んだ。今回文庫化され、ふたたび戦慄のノンフィクションを体感する。

限界集落で発生した凄惨な放火殺人事件を、世間はエンターテイメントとして囃し立て消費したのだろう。怖いもの見たさ、野次馬根性。自分にもそういった大衆的な興味関心がないわけではないが、知りたいのはそこでは

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もしもワニに襲われたら、を読んだ。

もしもワニに襲われたら、を読んだ。

普通に生きていれば遭遇することがない危機的な状況...とはいえ、それは飽くまでも確率論なので、タイトルにある通りにワニに襲われる可能性は確かにゼロではない。

著者が意識しているのか大真面目なのか、さすがにそれはないだろうというシチュエーションが複数登場し、もはやエンタメ狙いという見方もあり。挿絵のフザけ具合も往年のバカドリルを彷彿とさせ、編集者が自分と同世代であることが窺い知れる。

火の熾し方

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変化を嫌う人を動かす、を読んだ。

変化を嫌う人を動かす、を読んだ。

本書は、うまく変化を起こせないという多くの人が直面している問題に対し、人的要素に焦点を当てて解決策を探った点が画期的である。アイデア自体の創出方法やフレームワークを解説する書籍は多くあるが、人間の本質(本性)を認めて、正面から向き合ったことが本書の特徴である。*訳者あとがきから抜粋

弾丸が強く速く進むにはどうすればよいか?強力な火薬を装填し発火すれば良い..これは燃料追加型の発想であり、実は10

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