Keita Tanahashi

2021年4月から大学教員をしています。それまでの35年間、銀行・証券・総合商社に勤務…

Keita Tanahashi

2021年4月から大学教員をしています。それまでの35年間、銀行・証券・総合商社に勤務してきました。大学では経営分析論、初級簿記、経営入門など講義を担当、専攻分野は管理会計や財務管理です。実務経験に基づく経営分析、経営戦略、組織文化などが研究対象です。

記事一覧

日本企業のガバナンスと株主⑥

前回に引き続き、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)の「親子上場」に関する意見・コメントとそれに対する所感を以…

日本企業のガバナンスと株主⑤

前回に引き続き、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)が日本企業のガバナンス上問題視していた「政策保有株式」に関…

Keita Tanahashi
1か月前
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日本企業のガバナンスと株主④

前回は、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)から、日本企業のガバナンス上問題視した「見かけのガバナンス」につい…

Keita Tanahashi
1か月前
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日本企業のガバナンスと株主③

前回は、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)はスチュワードシップ・コード(以下SSコード)とコーポレート・ガバナ…

Keita Tanahashi
2か月前
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東証改革から1年、ここからが経営者の腕の見せ所

東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)が低迷する上場企業に対して改善策を求めてから1年経った。当初は対象となる企業や本来モノ申すべき投資家に波紋を広げていたが、株…

Keita Tanahashi
2か月前
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新NISAを「投機の器」ではなく「投資の草木」として資産形成を始めてみては

新NISAが始まってから4か月近く経った。巷では賛否両論あり、やるべきか、やめておくべきか、迷っている人も多いだろう。2024年度に入ってからのグローバル株式市場の株価…

Keita Tanahashi
2か月前
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日本企業のガバナンスと株主②

そうこうしているうちに前稿から2週間経ってしまった。先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)はスチュワードシップ・コ…

Keita Tanahashi
3か月前
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2024年度入学式

4月1日、本学の入学式でした。会場は本学体育館、いまやバスケの聖地としてスラムダンクファンが観光で来られるようになりました。これまでの学びと経験を活かして、教員4…

Keita Tanahashi
3か月前

日本企業のガバナンスと株主①

大学が春休み期間中はなるべく知識・情報の整理とインプットに努めている。本当はインプットに基づくアウトプットをしなければならないと気にしているものの、なかなかアウ…

Keita Tanahashi
3か月前
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サステナビリティ関連情報と新NISA

2月19日に開かれた金融庁の金融審議会総会で、サステナビリティ情報の開示や保証の在り方を検討することになった。これを受けて3月中にも新たな分科会を立ち上げ議論が始ま…

Keita Tanahashi
4か月前

大学生教育に生成型AIを活用すべきか

文部科学省は小中高校での生成型AIの扱い方に関する指針を公表している。夏休みの宿題を課す前に、不適切な使い方をしないように、利用を認める方針を初めて明確にした点は…

Keita Tanahashi
8か月前
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ESGの観点でジャニーズ事務所問題を考える

ジャニーズ事務所の創業者である故・ジャニー喜多川元社長の性加害問題を受けて、同事務所の所属タレントを起用したCMなどの広告活動を取りやめる企業が相次いでいる。ES…

Keita Tanahashi
8か月前
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生成AIの利用方針

教育現場での生成AIの利用を「一律に禁止することはしない」とした上で、主に教員に対し、授業などで用いる際の注意点について、東京大学が方針を打ち出した。学生に対して…

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入学式、新年度入り

昨日、本学の入学式が無事挙行されました。会場は本学体育館、映画「THE FIRST SLAM DUNK」で湘北高と山王工高がインターハイでぶっかった会場でもあります。 今年度は4年…

昨日からの寒波で、広島市内も積雪降り止まず、朝から道路も鉄道も大混雑です。普段は車で大学に来ていますが、さすがに冬タイヤではない車は危険なので、徒歩で20分かけてスクールバス乗り場に行き、バスで登校しました。キャンパスは一面雪模様です。

国家戦略としての金融教育をどう考えるか

2022年度の金融行政方針では改めて金融教育について国家戦略ととして推進すると提言された。金融教育は中学・高校の授業に盛り込まれたが、大学生以上には金融商品の営業に…

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日本企業のガバナンスと株主⑥

日本企業のガバナンスと株主⑥

前回に引き続き、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)の「親子上場」に関する意見・コメントとそれに対する所感を以下整理する。極めて日本的なこの問題は海外投資家から見てどのように映っているのか、関心高いテーマでもある。
【日本企業のガバナンス上の問題点⑥:親子上場は「普通」ではない 要旨】日本企業の中には親子上場のどこが悪いのかという意見を持つ経営者

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日本企業のガバナンスと株主⑤

日本企業のガバナンスと株主⑤


前回に引き続き、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)が日本企業のガバナンス上問題視していた「政策保有株式」に関してコメントしており、これに関して意見を整理したい。
【日本企業のガバナンス上の問題点③:政策保有株式】要旨
日本企業の経営者の中で、「政策保有株式を持つことの何が悪いのか」という疑問を呈する経営者がいるが、政策保有株式は安定株主の「温

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日本企業のガバナンスと株主④

日本企業のガバナンスと株主④

前回は、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)から、日本企業のガバナンス上問題視した「見かけのガバナンス」についてコメントしたが、今回は「海外投資家から見たガバナンス」に関する意見を整理したい。
【日本企業のガバナンス上の問題点②:海外投資家はこう見ている?要旨】海外投資家は日本企業の株価を決めるメインドライバーである。海外投資家は「株主価値を上げ

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日本企業のガバナンスと株主③

日本企業のガバナンスと株主③

前回は、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)はスチュワードシップ・コード(以下SSコード)とコーポレート・ガバナンス・コード(以下CGコード)について見てきた。株主から見て日本企業のガバナンス上どのような問題があるのか厳しく意見していたので、以下備忘のため何回かに分けてメモしながら考え方を整理してみたいと思う。まずは「見かけのガバナンス」について

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東証改革から1年、ここからが経営者の腕の見せ所

東証改革から1年、ここからが経営者の腕の見せ所

東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)が低迷する上場企業に対して改善策を求めてから1年経った。当初は対象となる企業や本来モノ申すべき投資家に波紋を広げていたが、株式市場では低PBR企業の資本効率や収益性が改善するとの期待感から外人の思惑買いが広がり、新NISAへの制度変更に伴う新規マネーが流入するなど、思い返せば日経平均株価4万円超えのきっかけにもなったともいえよう。しかしながら、期待外れに終わ

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新NISAを「投機の器」ではなく「投資の草木」として資産形成を始めてみては

新NISAを「投機の器」ではなく「投資の草木」として資産形成を始めてみては

新NISAが始まってから4か月近く経った。巷では賛否両論あり、やるべきか、やめておくべきか、迷っている人も多いだろう。2024年度に入ってからのグローバル株式市場の株価低迷・下落を受けて、「やるべき派」の中には「買った瞬間から含み損だ」と頭を抱えたり、「高くて買えなかった銘柄が安くなった」と新規に買いに入ったりしている一方、「やめておくべき派」が「そら見たことか」と言わんばかり意気揚々としているか

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日本企業のガバナンスと株主②

日本企業のガバナンスと株主②

そうこうしているうちに前稿から2週間経ってしまった。先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)はスチュワードシップ・コード(以下SSコード)とコーポレート・ガバナンス・コード(以下CGコード)についても辛辣な意見を述べていたので、以下備忘メモとともに考え方を整理したい。
【SSコードに対する考え方:要旨】
2014年に制定されたSSコードは「投資家は他

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2024年度入学式

2024年度入学式

4月1日、本学の入学式でした。会場は本学体育館、いまやバスケの聖地としてスラムダンクファンが観光で来られるようになりました。これまでの学びと経験を活かして、教員4年めの自分も新たな気持ちで人材育成に努めます!

日本企業のガバナンスと株主①

日本企業のガバナンスと株主①

大学が春休み期間中はなるべく知識・情報の整理とインプットに努めている。本当はインプットに基づくアウトプットをしなければならないと気にしているものの、なかなかアウトプットのほうは進まない。論文や本の執筆に時間を充てる時期であるはずなのだが、ついサボりがちだ。ただインプットにWebセミナーを受講することができるのは大変便利だ。とかく話を聴いてみたい登壇者が出られる講演やセミナーは東京中心であることは疑

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サステナビリティ関連情報と新NISA

サステナビリティ関連情報と新NISA

2月19日に開かれた金融庁の金融審議会総会で、サステナビリティ情報の開示や保証の在り方を検討することになった。これを受けて3月中にも新たな分科会を立ち上げ議論が始まるようだ。東証プライム市場に上場する企業に対し温暖化ガス排出量の開示を義務づけること、有価証券報告書の中で企業が開示する環境や社会に関するサステナビリティ情報に対して第三者による保証を求める制度を導入することなど検討事項が挙げられている

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大学生教育に生成型AIを活用すべきか

大学生教育に生成型AIを活用すべきか

文部科学省は小中高校での生成型AIの扱い方に関する指針を公表している。夏休みの宿題を課す前に、不適切な使い方をしないように、利用を認める方針を初めて明確にした点は評価できる。「使いこなす力を意識的に育てる姿勢が必要」な一方、著作権の侵害や偽情報・誤情報の拡散、創造性への影響などのリスクを考慮して限定的な利用を認めるのが正しい教育にあり方だと思う。一方、大学生はどうか。文部科学省は生成型AIの大学教

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ESGの観点でジャニーズ事務所問題を考える

ESGの観点でジャニーズ事務所問題を考える

ジャニーズ事務所の創業者である故・ジャニー喜多川元社長の性加害問題を受けて、同事務所の所属タレントを起用したCMなどの広告活動を取りやめる企業が相次いでいる。ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から今回の問題を考えると、サステナブル経営をグローバルに実践する企業はしっかりと議論して、自社がどうするべきかを正しく判断すべきだと思う。CMに起用されたタレントには罪はないし、多くのファンも好きなタレン

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生成AIの利用方針

生成AIの利用方針

教育現場での生成AIの利用を「一律に禁止することはしない」とした上で、主に教員に対し、授業などで用いる際の注意点について、東京大学が方針を打ち出した。学生に対しても今後同様に方針を打ち出すという。自分も遊びがてらChatGPTを使ってみているが、定期試験で出題した問題に取り組ませたら、ほぼ完ぺきな解答を出してきたのには驚いた。このため、論理的思考をつけてもらいたい出題側の立場からすれば、AIが作成

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入学式、新年度入り

入学式、新年度入り

昨日、本学の入学式が無事挙行されました。会場は本学体育館、映画「THE FIRST SLAM DUNK」で湘北高と山王工高がインターハイでぶっかった会場でもあります。

今年度は4年生の卒業論文指導を今年度は担当します。社会に出ても確り貢献できる卒業生を一人でも多く出せるよう、卒論完成までの長い道のりを走るランナーである学生を、メガホンもって応援していきます!

昨日からの寒波で、広島市内も積雪降り止まず、朝から道路も鉄道も大混雑です。普段は車で大学に来ていますが、さすがに冬タイヤではない車は危険なので、徒歩で20分かけてスクールバス乗り場に行き、バスで登校しました。キャンパスは一面雪模様です。

国家戦略としての金融教育をどう考えるか

国家戦略としての金融教育をどう考えるか

2022年度の金融行政方針では改めて金融教育について国家戦略ととして推進すると提言された。金融教育は中学・高校の授業に盛り込まれたが、大学生以上には金融商品の営業になってしまい、真の国民の資産形成を目指すという金融教育になっているか甚だ疑問だ。金融関連業界から大学教育の場に転じた筆者からすれば、硬直化した現場で、単発的に、大学生に金融リテラシーを植え付けるのは到底無理な話だと思ってしまう。自分が大

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