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日本企業のガバナンスと株主③

前回は、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)はスチュワードシップ・コード(以下SSコード)とコーポレート・ガバナンス・コード(以下CGコード)について見てきた。株主から見て日本企業のガバナンス上どのような問題があるのか厳しく意見していたので、以下備忘のため何回かに分けてメモしながら考え方を整理してみたいと思う。まずは「見かけのガバナンス」について整理したい。
【日本企業のガバナンス上の問題点①:見かけのガバナンスが良ければいいのか?要旨】
日本企業の多くはガバナンスの形式や見かけを整えているように見えるが「やった感」を出しているだけではないか。ガバナンスの見かけが多少悪くても、少数株主と同じ方向を向いているか、また従業員にも株式を賦与しているかなど経営陣のスタンスは重要だ。しかしながら、独立取締役の数や全体に占める割合、各種委員会の設置、独立取締役の委員長就任、政策保有株式削減など、見かけ上の方針・施策は、日本のコーポレートガバナンスが大きく改善しているかどうかと関係ない。ガバナンスを真に改善するためにどうしたらいいのか。改善するためには取締役の責任をもっと重くとらえるべきである。すなわち取締役が責任を履行しなければ株主から訴えられることは当たり前なのだ。独立取締役は何のためにボードメンバーとして取締役会に座っているのか。株主の代弁者として機能すべきだと考える。
【日本企業のガバナンス上の問題点①:所感】
「形式」「見かけ」を整えて「やった感」を出す。これまで多くの日本企業は多かれ少なかれ「東証から要請されたから」「一部の株主から言われたから」「株価が低迷しているから」などの裏事情から、ガバナンス改革に取り組んできたのは事実であり、それまでの経営者はあまり考える必要もないし、大多数の株主あるいは株主名簿の上位を占める大株主からは特段注文がつかなかったのもまた真であろう。むしろ今後3~5年の間に、このガバナンス改革をどう進めるかが現経営陣には求められていると思う。
取締役の責任は重い。株主のために、従業員のために、あらゆるステークホルダーのために、全身全霊をかけて取組むべき、時には人の人生に大きく影響を与えるような決断もしなくてはならずつらい思いをする、場合によっては裁判で訴えられかねない仕事だ。しかしながら、どうも、サラリーマンの上がりのポストとか名誉職とか思う人が未だに多い気がしてならない。SNS上で「本日プレスリリースがでましたが、××株式会社の取締役(社外)に就任することが内定しました」とみることがある。ご本人がSNS上で決意表明して意気揚々としているのを見ると、頑張ってほしいと願う一方、決意表明するのはSNS上の読者に向けてじゃないだろう、どっちを向いているんだ、とも思ってしまう。もちろん、就任時には株主向けの正式なメッセージを出してほしいし、就任後は積極的に株主の声や意見に耳を傾け、真摯に取締役としての責務を務めてほしい、間違っても経営会議でほとんど発言せずお座りしているだけの取締役には決してなってほしくない。独立取締役が真に機能しないと、日本企業のガバナンスはほんとに形式、見かけ倒れになってしまう。選ばれた以上は、当該企業の将来を見据えた経営に資する役割を果たしてもらいたいと思う。


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