猪瀬 楓

短編小説を書いています。

猪瀬 楓

短編小説を書いています。

マガジン

  • 思い出したくない記憶

    思い出したくない記憶という小説をまとめたマガジンです。

記事一覧

君はまだ

生きろ 生きて、生きて、生き抜け 君はまだ死ぬべきじゃない そう、まだ死んではダメだ なぜなら、君にはやり残したことがある 忘れたとは言わせない あの日、君は誓ったは…

猪瀬 楓
2週間前

壊れた心は二度と…

 もう何もいらないという思いで追いかけて来たはずなのに、いざ手の届くところまで近づくと、崩れ去ってしまいそうで触れることがとても怖い。そして、いつの間にか手の届…

猪瀬 楓
1か月前

最後の贈り物を君へ

泣かないで? 君はもう大丈夫だよ。 私は…ダメだったけど、君の中でずっと見守っているから安心して。 自分じゃなくて私が助かってればよかった…? そんなこと、言わない…

猪瀬 楓
1か月前
1

美しさが死ぬ前に

ねぇ、神様? どうして人なんて作ったの? 朱里、急にどうしたんだ。 君らしくもないことを言って… だって神様… あの子達は、どの群れもしょうもないことで毎日争いを…

猪瀬 楓
1か月前
1

彼を死に追いやったのは…

 昔ね好きな人がいたんだけど、告白できなかったの。  人気者の彼が私のことなんて好きな訳がないと思っていたし…それに何より、彼に嫌われるのが怖かったんだ。  だか…

猪瀬 楓
1か月前
5

最愛の貴方へ

 拝啓 〇〇君へ  この手紙を読んでいるということは、私はもう向こう側に行っているのかな?  私がいなくなって、生活が大変だろうけど早くいい子を見つけて早く幸せに…

猪瀬 楓
1か月前
2

あの日見た虹

 ねぇ、昔さ二人揃って雨に降られて一緒に笑ったこと覚えてる?日照りが強くなり始めた頃に一回あってさ、あの時、雨はすぐ止んだけど服が濡れちゃって、家に帰ることにな…

猪瀬 楓
1か月前

もう味わうことのできない笑顔

 おはよう。  君が覚めることのない、眠りに就いて今日で7年経ちました。  一人暮らしをするのは久しぶりで、君が眠りについた当初は本当に大変だったな。  だけど不思…

猪瀬 楓
1か月前

大好きな君へ

久しぶり、大きくなったね。 あれから十年だもん、そりゃあ大きくなるか。 なぁに泣いてるのよ? せっかくの可愛いお顔が台無しだぞ。 全く、二十歳になるっていうのに泣き…

猪瀬 楓
1か月前
1

信じていたのは

私さ、少し前まで「自信がある」と胸を張って言えるとまではいかなくてもそれなりに自信はあると思っていたんだ。 けれど、前の休日に何もせずぼけっとしていたときにふと…

猪瀬 楓
1か月前
1

生きる意味

 生きる意味なんて、考える様になってしまったのはいつからだろう。  人生に意味など無いということはとっくに知っていたはずなのに、いつも、いつも追い掛けてしまう。 …

猪瀬 楓
1か月前
1

意志を持つ

人にはいつも、運命が付き纏う。 しかし相反する様に人の一部にはそれから逃れようとする者たちが現れる。 けれど、運命は残酷で人々を決して見逃しはしない。 そんな強大…

猪瀬 楓
1か月前

生きること、生きないということ。そして…

世間では「夢を持て」、「若いうちに色んな経験をするべきだ」などと言われるが、今の世の中はミスが許されず、その「夢」や「経験」を得ることが難しい世の中なのだ。  …

猪瀬 楓
1か月前

君はまだ

生きろ
生きて、生きて、生き抜け
君はまだ死ぬべきじゃない
そう、まだ死んではダメだ
なぜなら、君にはやり残したことがある
忘れたとは言わせない
あの日、君は誓ったはずだ
この世の中を変えるのだと
今まで、無理だと思われていたことを可能にできる世にするのだと
そう誓ったのなら、君は生きていなければならない
なぜならば、そういった世の中になっていないからだ

世界の修正力に屈しては君の望んだ、誰もが

もっとみる

壊れた心は二度と…

 もう何もいらないという思いで追いかけて来たはずなのに、いざ手の届くところまで近づくと、崩れ去ってしまいそうで触れることがとても怖い。そして、いつの間にか手の届かないところまで離れて後悔する。
 いつもそう。
 手にしたチャンスを乗り越えられるかもしれない恐怖に怖気づき、自分の心に嘘をつきその手を離し、次こそは手放すまいと決めたのに自分が、自分自身が幸せを奪う。
 ねぇ、どうして?
 どうして、も

もっとみる
最後の贈り物を君へ

最後の贈り物を君へ

泣かないで?
君はもう大丈夫だよ。
私は…ダメだったけど、君の中でずっと見守っているから安心して。
自分じゃなくて私が助かってればよかった…?
そんなこと、言わないで?
私より君のほうが若いんだから君が助かって良かったの。
それに、私と違って君には大切な家族がいるんだから、もし、君が助からなかったらみんな悲しむよ。
え?ああ、そうか…君には言ってなかったね。
私、実は君くらいのときにパパとママ、そ

もっとみる
美しさが死ぬ前に

美しさが死ぬ前に

ねぇ、神様?
どうして人なんて作ったの?

朱里、急にどうしたんだ。
君らしくもないことを言って…

だって神様…
あの子達は、どの群れもしょうもないことで毎日争いを起こして、せっかくの美しい地球を汚すんだもの。
それだけでも腹立たしいのに自分すらも自らどんどん汚していくのよ?
わたし、耐えられない。

まぁ、そう言うなよ。
人の子らにも考えがあるんだろう。
いつか、そういったこともなくなるさ。

もっとみる
彼を死に追いやったのは…

彼を死に追いやったのは…

 昔ね好きな人がいたんだけど、告白できなかったの。
 人気者の彼が私のことなんて好きな訳がないと思っていたし…それに何より、彼に嫌われるのが怖かったんだ。
 だから私は告白しないと決めて、それを"嫌われない為に必要なことだ"と自分にいいきかせて、本当の想いから目を背けていたんだろうね。
 でも、現実は私の浅はかな考えを嘲笑って、容赦なく目を覚まさせるの。
 卒業式の日に彼が手紙を残して、自室で首を

もっとみる

最愛の貴方へ

 拝啓 〇〇君へ
 この手紙を読んでいるということは、私はもう向こう側に行っているのかな?
 私がいなくなって、生活が大変だろうけど早くいい子を見つけて早く幸せになりなさい。なんて格好のいいこと私は言えないけれど、大好きな君には幸せになって欲しいと思ってるのだけど…君はいつも、無茶ばかりするから凄く心配なんだよ?
 でも、私はもう君と会えないから新しく何かをしようっていう時は、この手紙のことを思い

もっとみる

あの日見た虹

 ねぇ、昔さ二人揃って雨に降られて一緒に笑ったこと覚えてる?日照りが強くなり始めた頃に一回あってさ、あの時、雨はすぐ止んだけど服が濡れちゃって、家に帰ることになったんだよね。
 あの時に二人で見た虹は本当に綺麗だった…
 いつか私も深い眠りに就くねむりにつくのなら、君ともう一度あの虹を見みたいよ。

 私達、いつかまた逢えるかな?
 もし逢えたらきっと、前みたいに喧嘩しちゃうだろうけれど、その時は

もっとみる

もう味わうことのできない笑顔

 おはよう。
 君が覚めることのない、眠りに就いて今日で7年経ちました。
 一人暮らしをするのは久しぶりで、君が眠りについた当初は本当に大変だったな。
 だけど不思議なもので、不意に優しい視線を感じることがあってさ、そんな時は「君が見守ってくれているのかな?」と暖かい気持ちになるね。
 君は昔から私を見ては微笑んでいることがよくあって、その笑顔が本当に大好きだったのだけれど、君が眠ったままのこの世

もっとみる

大好きな君へ

久しぶり、大きくなったね。
あれから十年だもん、そりゃあ大きくなるか。
なぁに泣いてるのよ?
せっかくの可愛いお顔が台無しだぞ。
全く、二十歳になるっていうのに泣き虫なのは変わらないままだね。
わたし?
わたしは別にな〜んにも変わって無いよ。
君とわたしじゃ生きる時間が違うからね。
ほら、泣かない泣かない。
あの時は仕方なかったでしょ?
だって君かわたしか、もしかしたらどっちも死んじゃってたんだか

もっとみる

信じていたのは

私さ、少し前まで「自信がある」と胸を張って言えるとまではいかなくてもそれなりに自信はあると思っていたんだ。
けれど、前の休日に何もせずぼけっとしていたときにふと思ったの。
本当に自分自身のことを信じてあげられているのかな?って。毎日、毎日なにも考えずに同じルーティンを繰り返して、自分のことを考えることもないのにね…
それでね、どんなことが信じれてるのかなって考えてみたの。でも、信じれることなんて一

もっとみる

生きる意味

 生きる意味なんて、考える様になってしまったのはいつからだろう。
 人生に意味など無いということはとっくに知っていたはずなのに、いつも、いつも追い掛けてしまう。
 学生の頃は友人と共に生活を送り、充実した毎日だったからかそんなことは考える由もなかったけれど、今となってはそんな友なんていなくなってしまった。
 あの時の様な毎日笑ったり、新しいことに挑戦するような日々は私にはもう訪れないのだろうか…

もっとみる

意志を持つ

人にはいつも、運命が付き纏う。
しかし相反する様に人の一部にはそれから逃れようとする者たちが現れる。
けれど、運命は残酷で人々を決して見逃しはしない。
そんな強大な運命にもたった一つだけ打ち勝つための術がある。
意志
それを持つ者は少ない。だが、必ずいつの世にも存在する。
きっと、運命に抗う定めを持った彼らは自身の…そして大切な人の未来に思いを馳せ、重厚な門扉を押し開く。そんな彼らでも、老いは必ず

もっとみる

生きること、生きないということ。そして…

世間では「夢を持て」、「若いうちに色んな経験をするべきだ」などと言われるが、今の世の中はミスが許されず、その「夢」や「経験」を得ることが難しい世の中なのだ。
 何か過ちを犯せばたちまちSNSで晒され、再び歩みを進めることができなくなる。
 そんな世の中で夢など持てる訳がない。持てたとしてもすぐに潰され、本当に夢のままで終わってしまう。
 経験だってそうだ。
 失敗あってこその経験なのに、その「失敗

もっとみる