もう味わうことのできない笑顔

 おはよう。
 君が覚めることのない、眠りに就いて今日で7年経ちました。
 一人暮らしをするのは久しぶりで、君が眠りについた当初は本当に大変だったな。
 だけど不思議なもので、不意に優しい視線を感じることがあってさ、そんな時は「君が見守ってくれているのかな?」と暖かい気持ちになるね。
 君は昔から私を見ては微笑んでいることがよくあって、その笑顔が本当に大好きだったのだけれど、君が眠ったままのこの世界では、そんな至福の一時ひとときを味わうこともできなくってどこか寂しい。
 だから、叶うならば君のみる夢の中にお邪魔したいな。でもきっとそんなことをすると、君は頬を膨らませて怒るからお邪魔するのは、またにするね。



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