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中村文則 王国の感想
月という変わるけれど変わらないものが存在し続けていて、煙という視界を曇らせるものがスパイスとなっているこの作品。
神よりも現実的な存在の、生々しい悪意を何十年も持ち続ける人間に支配された女性が、人生を作られて奪われる残酷さ。
ターゲットになってしまった理由は彼女が美しかったから、ただそれだけ。また、彼女が唯一救おうとしたのは美しく不器用な少年。理由は美しかったから。
対照的な絶対的悪と虚無を
ミュージカルゴースト&レディの感想、祈りとは何か
先日ゴースト&レディを観た感想と震災関連について思ったことを書く。
ゴースト&レディとは藤田和日郎先生のゴーストアンドレディを原作としたミュージカルで、フローレンスナイチンゲールの人生を勇敢な幽霊が支えていたとしたら…というストーリー。
2つはそれぞれ表現方法が異なるため、漫画の忠実な再現ではないと作者が述べていたことを添えておく。
看護師という仕事は何の知識もない貧困女性たちが行うものだと差
差別と区別と思いやりについて
ちひろさんという漫画18話を読んだ。
主人公ちひろが勤務する弁当屋の店主の妻が体調を崩して入院し、失明して退院するところからこの話は始まる。
あれやこれやと気を遣われるのではなく、普段通り接してくれる人のほうがありがたいという言葉を妻は漏らしていて、確かになぁと合点がいくエピソードを思い出した。
ある日、駅で目撃したのだけれど、車椅子ユーザーが電車を降りようとするところに居合わせたサラリーマンが、