ままならない、について
この言葉を辞書で引くと、不自由さや思い通りにならないことと出てくる。
私の好きな作品の登場人物の口癖なのだが、現代ではあまり使う言葉ではないし、諦めをまとった陰気な雰囲気がどうにもなぁと思っていた。
しかしながら、彼ら(別の作品で二人の登場人物が使用していた)は、この言葉を難関へのスタートラインに置いてから、クラウチングスタイルを取っていたのだ。
「人生ってのはままならねぇってことに今更気付いちまったけどよ、やれるだけのことはやろうや、さて、どこから手を付けようかね。」
そんな事を紫煙や大きなため息と共に吐き出しながらも全力で最善を尽くしてしまう、器用なのか不器用なのかよくわからない彼らのことを、最高にかっこいいなと感じている。
人間にはそれぞれ役割がある、それが世間的に見て派手なのか地味なのかは人生の価値には関係がなくて、たとえ道化でも全うすることに意義があるのだと、大人になってから漫画を読み返すとそんな学びがある。
特に一筆一筆インクで描かれて、絵筆で彩色されたヒーローたちは漫画家の吐息を感じるようで私はとても好きだ。そのため古い作品を主に読んでいる。
今回テーマにしたのは福本伸行作品の天、藤田和日郎作品のからくりサーカス。
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